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「侍タイムスリッパー」

安田淳一監督作品映画「侍タイムスリッパー」を見た。幕末の会津藩の侍が現代にタイムスリップをするという話だ。タイムスリップものは映画では1つのジャンルだし、江戸時代の人が現代にタイムスリップするというのも今までもあるように思う。

この映画では侍が現代の時代劇撮影所に迷い込み、「斬られ役」として現代に居場所を見つけるという話となる。本物の侍が時代劇の侍役、それも斬られ役を演ずるのだ。剣の腕が立つこの侍は、殺陣を見事にこなし、徐々に頭角を表す......。

タイムスリップものにお決まりの「時代ずれ感」もそこここに散りばめられてはいるものの、その辺りがメインではない。この映画は時代劇が下火になりつつある今にあって、時代劇に関わり、時代劇を愛する人たちの思いが溢れているように感じる。

文字通り真剣で撮影にのぞむ最後の撮影シーンは迫力十分で凄みを感じる。現実の侍の決闘シーンに見える。こういう風に時代劇の素晴らしさを見ることができるのが、この映画の一つの魅力だ。

監督ひとりで何もかもやらざるを得ない、低予算映画と聞く。確かに、画面に現れるだけで存在感があるような有名役者は出ていないし、あちこちのロケというわけにはいかず撮影場所も限られてはいるが、それがこの映画の足枷にはなっていない。映画の良し悪しというのは、予算で決まるわけではない、という良い例だろう。

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