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兄夫婦と行くイタリア旅行 フィレンツェ編(4)
サンマルコ修道院
フィレンツェ観光最終日の今日はまず午前9時予約のにサンマルコ修道院へ向かう。連日暑い中、フィレンツェは歩いての観光が基本だ。七十代の兄は暑い中を歩いて辛そうだ。階段を上ると、休憩が必要となる。自分もあと10年経てば、そうなるとか思えば、足腰を鍛えておくのが、旅行を楽しむ秘訣のように思う。
ホテルから徒歩15分程度でサンマルコ修道院に到着。1階の回廊をめぐり、2階への階段をのぼろうとすると、目の前にフラ・アンジェリコの美しい受胎告知が突然のように姿を現す。兄嫁がこの受胎告知が気に入っているようだ。一般の絵画と違い、壁に描いたフレスコ画は、その場に行かないと本物には出会えない。
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受胎告知の絵では、天使ガブルエルが、マリアの前に現れて「Ave Maria,...」と受胎を告知すると、マリアは突然のことに驚いて身をよじる姿が描かれることが多い。一方、フラ・アンジェリコの受胎告知ではマリアは落ち着いた様子で、「我は主のはしため、仰せの如く我になれかし」と受胎告知を素直に受け入れている雰囲気の絵となっている。この様子がとても気に入っていて、何度見ても飽きがこない。
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2階は修道士達の僧房となっているが、各僧房の中にはフラ・アンジェリコのフレスコ画が描かれている。聖書の幾つかのエピソードがテーマだ。修道士達もそんな絵を見ながら祈りを捧げていたのだろう。そんな僧房を覗いて絵をひとつひとつ見ていく。修道院自体がそんなに大きくないのだが、全て見て回るのには結構時間がかかった。
ピッティ宮殿 パラティーナ美術館
ピッティ宮殿へと向かう途中、フィレンツェ名物の猪のコインチャレンジをやってみる。口の中にコインを置いて、それが上手く排水口に入れば幸運に恵まれるとか。しかしながら、コインは跳ね返り、失敗に終わる。
アルノ川を渡り、坂を上ってピッティ宮殿に到着する。パラティーナ美術館にも有名な絵画が目白押し。フィリッポ・リッピやラファエロの絵画が並んでいる。フィレンツェはルネサンス芸術の地なので、この街の芸術品を鑑賞しようと思えば、どれだけ時間があっても足りないだろう。フィレンツェでの4日間、芸術作品にどっぷりと浸かった日々だった。
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ボーボリ庭園
最高気温38度の昼間にボーボリ公園を散策する。日向を避けて歩こうとしても無理がある。庭園内に陶器の博物館などもあるが、あまりの暑さに軽く散策して退散した。もちろん庭園としては美しいのだが、広い庭園を隅々まで見るのは、真夏には辛すぎる。今度はいい季節に訪れたいものだ。
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この庭園は映画「インフェルノ」でラングルトン教授が敵のドローンに追いかけられるシーンが撮影された所だ。そしてボーボリ庭園から秘密の回廊を通り、ベッキオ橋からベッキオ宮殿へと逃げるシーンがあった。我々一般人はそんな回廊を通れないので、強い日差しの中を歩いて戻る。
ジョットの鐘楼
兄夫婦の事を考え、大聖堂と鐘楼を登る日を別の日に設定していたが、大聖堂のドームに登ったのが余程こたえたのか、鐘楼には登らないと言う。ホテル近くまで一緒に帰り、私と妻だけで鐘楼に向かう。
鐘楼の方は幾つかの階層に分かれており、いっぺんに登らずに、休憩ができるようになっている。何度かの休憩を挟み、一番上まで辿り着いた。大聖堂のドームの上の景色も素晴らしいが、ただ、鐘楼からは大聖堂が見えると言う特典があるのが良い。
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夜はアンティノリのワインと共に夕食を済ませた。明日は朝から列車でアッシジに向かうので、フィレンツェとはお別れだ。
前回の投稿はこちら。