『ハンティング・タイム』
ジェフリー・ディーヴァーの『ハンティング・タイム』を読んだ。「懸賞金ハンター」コルター・ショウのシリーズ最新作だ。
今回ショウが探しだすのは、元夫のジョンの追跡を逃れようとする母アリソンと娘ハンナ。ジョンは以前は市警で表彰までされた優秀な刑事だったが、ストレスからアルコールに溺れ、妻のアリソンに暴力をふるって重傷を負わせ、服役となる。その後、模範囚として早期に釈放されるものの、逆恨みから「元妻を殺す」と周囲にもらし、アリソンを追う。
一方、元妻アリソンは優秀な技術者で、ジョンが早期に釈放されたことを知り、娘と共に身を隠すべく慌てて家を出る。優秀な元刑事のジョンの裏をかいて逃げようとするアリソン、裏の裏をかいてアリソンに迫るジョンと殺し屋、そして依頼を受けて母娘を探す懸賞金ハンンターことコルター・ショウの追跡劇に思わず引き込まれる。
この追跡劇と並行して、裏社会の犯罪組織、殺し屋、麻薬の売人、不良警官などが現れては、物語は二転三転を繰り返す。ついにショウはジョンに先んじて母娘を確保するが、追手に囲まれて万事休すことになる。ジェフリー・ディーヴァーの常として、結末までにかなりのどんでん返しがあるのは言うまでもない。
「懸賞金ハンター」コルター・ショウのシリーズも回を重ね、彼の家族や生い立ちなどバックグラウンドは説明され尽くした感がある。そのため、今回はそういった説明抜きの物語となっている。探す対象も行方不明者とは違って、元夫の追跡を逃れている母娘であり、しかも頭脳明晰なエンジニアの母親と思春期の娘という設定が目新しい。
最後の最後まで気を抜かずに読み、どんでん返しのサプライズに備えて欲しい。
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