妊娠後期の最大の悩み。
眠れない。最近本っっ当に眠れない。
ただ今妊娠９か月、妊娠後期と呼ばれる期間に入った。
お腹が息苦しいとか、立ち上がりにくくなったとか、トイレが近くなったとか、足がつりやすくなったとかマイナートラブルは何かとあるものの、最近のもっぱらの悩みは夜眠れなくなってしまったことである。
産休に入る前は、長時間の昼寝や朝に寝すぎなどの場合を除いて、ベッドに入るとものの数分で、すやあっと眠りの世界に飛び立っていた。
が、今はどうだ。
脳内に幾匹の羊に柵を越えさせても、大海原で泳ぐ鯨を思い描いても、ちっとも訪れる気配のない眠気。
ちょっと～待ってるんですけど～。
どこで道草食ってんだか、わたしの眠気。
そのうち、昼間に目にした情報が脳内を駆け巡る。
○○さん、元気にしているかなあ。
インスタで見かけたあのレシピ作ってみたいなあ。とりとめのないことがわんさかあふれ出す。
しばらくすると、書きかけのエッセイのぴったりくる表現を思いついてにやにやしたり、他に書きたいエッセイのネタが顔を出したり、と部屋を真っ暗にして大人しく眠りを待っているのに、脳内はてんやわんや忙しくなる。
そんなこんなしているうちに、枕元のケータイで時間を確認するとベッドに入って２時間経過、とかざらである。
もはや、寝るとは何なのか、以前のわたしがどうやって寝ていたのかわからなくなってきた。
いっそのこと、起きてさっき思いついた言葉たちをキーボードでカタカタやった方が有意義な時間の使い方なのでは思うものの、そうなると、ますます目は冴えてしまうのは分かっている。
なので、いつやってくるか分からない眠気をこうやって律儀に大人しく待つしかない。
そしてようやく明け方近くとろとろと眠りに落ちたかと思えば、今度は３時間後くらいに目が覚める。
妊娠後期によくあるらしい、胎児が大きくなるに従って膀胱が圧迫されて夜中トイレに目覚めることも、胎動が激しくて目覚めるということも今のところわたしにはない。
ただただ寝付きにくく、そして勝手に３時間後目が覚める。
なんでも身体とは不思議なもので、出産後の３時間ごとの授乳に備えて妊娠後期はこういった症状が出てくるらしい、と情報を得た。
いやいや、そんなリハーサルまだええねん。
生まれたら、頑張るからさ。寝れるときは眠らせてくれよ…わたしの身体。
そして３時間後またしばらく起きるものの、寝不足には違いないから鈍く頭が痛い。
このまま起きるのはしんどいから、また、しばらく経ってから眠りに落ちる。
そして次起きたら、もう午前中が消え去っている、という有様である。
病院がやっている午前のマタニティヨガのクラスは、折角予約していても寝不足でしんどくてキャンセルせざるを得ないことが3回続き、まだ１回も参加できていない。
友人とのお昼の予定も、起きてすぐ活動するものだから、お腹が張ってしんどくて、約束の時間を大幅に遅らせてもらうこともしばしば。
その上、夕方頃もなんだか眠くて、昼寝してしまうこともある。
午前中はほぼ寝ているわけだから、寝れない、と冒頭で嘆いたがトータル睡眠時間的には結構寝れているな…。
ともかくそんな調子だから、１日の活動時間がこの上なく、短い。家事と各種病院行脚と、僅かな執筆と読書で日が過ぎてゆく。
以前、「産休に入って、１番したいこと」なんて書いた。
ねえ、消化不良のエッセイの大量の下書きは…？
積み上げられた大量の本は…？
毎日何かしら書いてはいるものの、当初予定していたよりも全然足りない…！！
このままではだめだ…！ということで、先日ついに、眠れない対策最終奥義、夫に「寝れないよう。」と泣きつき、わたしの寝かしつけに召喚した。
ちなみにわたしと夫はそれぞれの部屋にベッドがあって別々に寝ているから、出張寝かしつけサービスである。
いい香りのアロマスプレーを枕元にふってもらい、小さく波の音のヒーリング音楽を流してもらい、頭をなでさせ、腕をさすらせ、足を揉ませ、といったこれ以上ないくらいのVIP待遇。
以前、つわりで寝付きにくかったときにも度々こうやって寝かしつけてもらっており、夫の優しさには頭が上がらない。その時は、心地よさに瞬殺され、長くても１０分かそこらで眠りに落ちていた。
が、今回は足裏、揉まれるの気持ちいいねえ〜と心地よさに身を委ねるものの、待てども待てども、やって来ない眠気。
しぶといやっちゃ…。
万全の体制で待ってんだから、そろそろ来てくれなきゃ困るんだけど。
１時間弱後、献身的に寝かしつけ続けた夫は、力尽きてわたしのベッドでうたた寝しながらごうごうといびきをかいている。
真隣で、いびき音を聞いていれば、ますます眠れなくなる気がする。
「ありがとうね、もう眠れそうな気がするから大丈夫…。」
と言いながら、彼を自分の部屋のベッドに戻るように促した。
「頑張ったのに、まりさん寝ない…。」
と、夫はしょげしょげしながら、自分の巣に帰っていった。
彼は明日も朝早くから仕事だというのに貴重な睡眠時間を奪った上に、自己有用感まで下げてしまって非常に申し訳ない。
日中歩いてもっと身体を疲労させるとか、アロマオイルの活用とか、ギャバ入りチョコレートを大量摂取するとか、出来そうなことはいろいろやってみようかと思う。
でももし、いずれも効果がなければ、大人しく今の期間は仕方あるまいと１日の活動時間が減ることを受け入れよう。
とりあえず、産休期間＝夢の自由時間だ、やっほいやっほいと喜び勇んで、「やりたいことリスト」を存分に書き連ねた１か月前のわたしに、おい妊婦はそんなに甘くないぞ、とグーパンチをかましたい。