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平成30年司法試験・民法・設問3・解答に挑戦

平成30年司法試験・民法・設問3・解答に挑戦
第3 設問3
1、遺言の解釈
(1)遺言の解釈については、遺言者が築き上げた財産の処分を最終的に表明する意思表示であることを尊重して、遺言の文言に捕らわれることなく、遺言者の真意を解釈して探求し、確定すべきである。
(2)本問の遺言について
ア、Hの廃除(892)
 Cの子の一人Hは、廃除が確定している。本件遺言④においても、「Hは、まだ反省が足りないので、廃除の意思を変えるものではない」とされており、Hの廃除に変化はなく、相続人から除かれる(894条2項、893条)。ただ、本件遺言④では、Hは「最近、結婚したこと」から、Cの財産の一つたる定期預金200万円をHに贈るとしている。これは相続ではなく、特定遺贈(964条)であり、Hは当該定期預金200万円を取得する。
イ、相続人と相続内容
(1)Cの子、F、G、Hの3人のうち、Hは廃除されていることから、相続人はFとGの二人である。また、Cは、本件遺言②で、いつも気にかけてくれたFにはGより多い1200万円の定期預金を相続させる旨、本件遺言③で、
Gには600万円の定期預金を相続させる旨を明らかにしている。上記2つの遺言は、特定の相続人に法定相続を超える特定財産を相続をさせる特定財産承継(1014条2項)である。この財産相続の内訳は、法定相続(900条4号本文)に異なるが、特定財産承継遺言は、908条によって、相続人はこれに拘束される。何故なら、被相続人は最終意思だからである。したがって、Fは1200万円を取得し、Gは600万円を取得する。
ウ、被相続人の債務の相続について
(1)Cは、Bに対し、300万円の借入金債務を負っている。この債務はどのように相続されるのか。
(2)Cは積極財産についてはFとGの相続割合について2対1にする相続の方法を指定している。これが、Cの遺言の合理的意思と考えられ、300万円の債務も、この合理的意思にしたがって、Fが200万円、Gが100万円を相続によって引き受けることになる。
(3)被相続人の債務について
ア、被相続人の債務については、902条の2によれば、債権者は、相続がどのように分割されようとも、法定相続分を各相続人から取り立てることができる。ただし、債権者が、指定相続分に応じた額を承認すれば、その分だけでもよいとも規定している。
イ、本問では、相続債権者Bに対して、Fが300万円全額を支払っている。このため、Bは債権の取得方法については、既に関心をうしなっている。このため、300万円全額を返済したFが、G、Hに対していかなる求償ができるかが問題になる。
ウ、G、Hのうち、Hは相続人から廃除されていることから、Fが求償権を行使できる相手はGだけとなる。FとGの遺産相続の割合は2対1であることから、債務の相続についても、FとGとの割合は同様に2対1であるというのが
Cの合理的意思と考えられる。したがって、Fが200万円、Gが100万円の各債務を負っているといえる。しかし、Fは単独で300万円をBに返済している。これは事務管理(697条1項)といえ、Fは自己が負っている200万円を除く100万円をGに求償できる。(702条1項)
以上

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