令和2年司法試験・民法・設問1基礎知識
令和2年司法試験・民法・設問1基礎知識
【契約の内容に適合しない売買】
→1、562条1項→追完請求権
→2、563条→代金減額請求権
→3、564条→415条=損害賠償請求権、541条=催告による解除、542条=催告によらない解除
上記条文を暗記する方法を紹介します。
ゴムニ(562条)=ゴム人形は壊れている→直して(追完請求権)
ゴムサン(563条)=ゴムサンダルが壊れやすい→安くして(代金減額請求権)
ゴムシ(564条)=ゴムシするな、損害賠償(415条)や契約解除(541条、542条)を
ヨイゴ(415)=ヨイコが殺された、損害賠償だ。
ゴシイ(541条)=ゴシ、ゴシ解除だ。1は催告後に解除だ
ゴシニ(542条)=ゴシ、ゴシ解除だ。2はすぐに解除だ。
【契約不適合責任の意義】=重要
→売買契約で引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合→①追完請求②代金減額請求③損害賠償請求④契約解除
【契約不適合とは、どう判断する】=重要
→引き渡された物が「契約の内容に適合しない」と言えるかは、契約の性質、目的物、契約締結に至る経緯など諸般の事情を考慮要素として、当事者間の契約を解釈して契約の内容を確定する。その契約内容と目的物が適合しているを判断する。
【追完請求権】
→目的物の修補、代替物の引渡し、履行の追完
(買主の追完請求権)
562条
1項=引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2項=前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
【代金減額請求権】
→履行の追完の催告の催告をし、その期間内がないときは、買主は、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる。563条1項
→催告することなく、代金減額請求ができる。563条2項
(1)履行の追完が不能(2)明確に拒絶(3)定期行為の定期を超えたとき(4)履行の追完の見込みがないとき
→代金減額請求権は形成権→買主の意思表示が必要。
→代金額の基準は?→契約時に決めた価格でしょ。
【損害賠償請求権】
→564条、415条1項←415条1項だけじゃなくて、564条が必要。
【契約解除】
→564条、541条又は542条
【債務者の債権譲渡者に対する抗弁と譲受人への対抗】
(債権の譲渡)
466条
語呂→大切な債権を譲渡されて白目向く(466)
(債権の譲渡における債務者の抗弁)
468条
1項=債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
2項=第四百六十六条第四項<催告の期間内に履行がないとき>の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三<譲渡人に破産手続開始の決定があったとき>の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
語呂→債権譲渡で、ヨーロッパ(468)に言えることはアメリカにも言える
抗弁→既発生の抗弁ばかりでなく、抗弁権発生の基礎となる事実までを含む。
例=債権譲渡の不成立、取消し・解除などによる債権の消滅、弁済、時効の完成、同時履行の抗弁権、相殺の抗弁
重要→趣旨=債務者は「対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由」を譲受人に対抗することができるところ(468条1項)、債権譲渡に関われない債務者の地位の保護、すなわち、債権譲渡により債務者が不利な地位に置かれない趣旨の規定であることから、抗弁事由が既に発生している必要はなく、抗弁事由の発生の基礎となる事実が存在していれば足りる。
{判例}最判昭和42年10月27日
神戸市内の店舗兼住宅の建築請負工事をめぐる案件。原告は、昭和38年6月、訴外M会社が被告に対して有する工事代金80万円の債権の譲渡を受け、被告は、これを承諾した。しかし、被告は建物の未完成部分の代金なので解除したとして債権譲受人たる原告に支払を拒否した。
【要旨】 〔最高裁判所民事判例集〕
未完成仕事部分に関する請負報酬金債権の譲渡について、債務者の異議をとどめない承諾がされても、譲受人が右債権が未完成仕事部分に関する請負報酬金債権であることを知つていた場合には、債務者は、右債権の譲渡後に生じた仕事完成義務不履行を事由とする当該請負契約の解除をもつて譲受人に対抗することができる。
【債権譲渡と債務者の相殺権】
(債権の譲渡における相殺権)
469条
語呂→
重要語呂=債権譲渡における相殺権は余禄(469)は大きく、適用範囲は拡大。
1項=債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。
2項=債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
3項=第四百六十六条第四項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
{解説}469条は、債務者の相殺権の範囲を拡張している規定
1、1項=対抗要件具備時で自働債権が発生していればよい。
2、2項1号=対抗要件具備時よりも後に取得した債権でもOK→後の債権であっても、前に原因があれば、OK
3、2項2号=対抗原因具備時よりも後の原因に基づいた債権でもOK→将来債権
語呂→債権譲渡に対抗できる相殺は本当に余禄(469)が大きい!
(設問1の解答に挑戦に続く)