カスタマーサポート用の社内ナレッジベースでNotionをフル活用している話
STUDIOのユーザー数は2021年8月時点で15万人を突破しました。日々、様々な方から幅広いご相談が寄せられており、迅速かつ的確にサポートできる体制づくりを目指しています。
その一環で、Notionを活用した社内ナレッジベース構築に取り組んでいます。日々アップデートしており、現時点での運用・活用方法をご紹介します。
STUDIOのカスタマーサポートチームとは
STUDIOではお問い合わせ窓口をチャット(Intercom)に一本化しています。この窓口でのコミュニケーションを担っているのがカスタマーサポートチームです。
「STUDIOで〜はできますか?🤔」
「制作していて〜ができません😢」
...といったご相談が寄せられますが、紐解くとほぼいずれかです。
1)案内・解決できる質問 ... 難度 高〜低
2)プロダクトへの要望 ... 優先度 高〜低
3)プロダクトの不具合 ... 緊急度 高〜低
窓口のメンバーだけで正確に答えられるご相談ばかりではありません。要望や不具合であれば、それが今どういう状況なのか...改善目処、回避策、ご案内方針など...を、携わる全員が正しく把握していなければなりません。
効率化してチャット対応の品質を高めるには、こうした情報をしっかりまとめていく場所が要ると考え、社内で元々活用しているNotionの中に社内ナレッジベースをつくり始めました。
Notionのデータベース機能を用いた社内ナレッジベース
このような見た目です。現時点で、1670件のアイテムがありますね。
Notionの検索機能( Quick Find )が強力です。Command + P で起動し、検索対象をこのデータベースに絞ってキーワード検索できます。
例えば「公開サイトをスマホで見た時に、なぜかうまくスクロールできません」とご相談があった時、検索するとこのページが見つかります。
すると、「既に、案内用のヘルプ記事があるのか」「似てる厄介な事例もあるんだ」など、経験の浅いメンバーでも把握できます。
ちなみに、かつてご相談ごとに「なぜ縦幅をautoにすると良いのか」をご案内していましたが、件数が増えてきたのを機にヘルプ記事を作成した結果、ご相談自体も減り、来たとしても記事の案内で完結できるようになりました。
社内ナレッジベースを用いたチャットフロー
大まかには、次の流れで対応しています。
■ データベースにアイテムがある場合
1. ご相談内容で思い当たるアイテムがあれば先に開き、なければ検索
2. アイテムの内容を参考にご案内
3. 案内終了前にアイテムへURLを記入、必要に応じアイテム内容を更新
4. 案内終了、クローズ
■ データベースにアイテムがない場合
1. ご相談内容を確認し、アイテムがないか検索
2. なければヒアリングしつつご案内し、不明点は開発メンバーに相談
3. 案内終了前に、アイテムをデータベースに新規追加
4. 案内終了、クローズ
社内ナレッジベースを用いた要望・不具合情報の開発共有
要望、要改善(要望の中でも優先度高いもの)、不具合に関しては、週1で開発メンバーに共有し、対応方針を協議しています。
※緊急性の高い不具合は割り込みで対応します
要望・不具合アイテム追加用のテンプレートがあり、追加時点では「CS確認中」が付与されます。そして、サポートチームリーダーのチェックをへて開発メンバーの「検討待ち」へと溜まっていきます。
週1の共有会の中で、やる・やらない・できないを整理。
やるものについては、開発メンバーにBacklogとして起票したものをすぐ紐づけてもらった上で、「共有済み」にします。
開発チーム側でも「リリース情報をNotionで管理する」取り組みを試みていて、サポートチームが起票した要望・不具合アイテムをNotionのリレーション機能で参照できるようになっています。
そして、プロダクトのリリース情報は、社内Slackで全員に周知されます。
アイテムに紐付けてあるチャットのリンクをたどって、ユーザーに実装・改善のご報告をするようにしています。
社内ナレッジベースのメリット
• なかった頃は過去のチャットを遡って相談に対するご案内例を探していて、プロダクトの変化が早いため古い情報をお伝えしてしまうリスクがあったが軽減できた
• サポートチームに新しく加入するメンバーが、「どんな質問が多く、どのように応対しているのか」をあらかじめ予習しやすくなった
• サポートメンバーが開発メンバーに何度も同じ相談をする可能性を減らせた
• 「以前直した不具合のはずなのに再発(デグレ)している」「既知の不具合に似ているが原因が違う」のように、過去のデータをもとに、サポートメンバー側でも状況を把握した上で開発メンバーに相談できるようになった
• 溜めた情報を元に、サポートチーム内での記事の作成や改善を検討できるようになってきた
• 溜めた情報が、実際にプロダクト開発・改善のロードマップ検討のひとつの材料として役立ちそうになってきた(CMS改善にあたり、過去どんな質問や要望が寄せられていたかを参考にする...など)
■ Notionを使うメリット
• とにかく手軽に更新できるし、検索もできる
• 目的に応じ、件数順、ステータス別、カード・リスト表示などさまざまな view でデータを参照できる
• 誤操作しても、Page History 機能で復活できる
• 全く別のデータベースの情報をリレーションやロールアップ機能で参照したり、されたりできて便利
• ツールがまとまって楽(元々ドキュメントツールとしてNotionを使っている
社内ナレッジベースの課題
• 手作業に頼っている部分が多い。記入ミスや誤操作による削除が起こり得て、必ずしも正確な情報が手に入るとは限らない
• 相談内容の表現・抽象化の揺らぎによって、検索しても的確にアイテムを見つけられないことがある。対策としてアイテム内に検索キーワードを散りばめる試みをしている
• 現状、日本語版のみ。Global問い合わせも全て日本メンバーで対応しているが、今後は…?
• 属人性・属チーム性が高く、このデータベースを社内全員が個々に活用しきれる仕組み、文化までは培えていない
また、今後更なる窓口の効率化や自動化を模索した時、データベースアイテムを別のSaasやシステムに移行する時期がやってくるかもしれません。Notion APIを活用すればあるいは…?と思えど、そこに時間を避ける開発メンバーや、API活用知識のあるサポートメンバーはまだいません。
最後に
サポート体験もプロダクトの重要な一要素であり、最高の体験を提供していきたいと考えています。サポートチームは、ただご相談の受け答えを担当する存在ではなく、ご相談いただくユーザーとプロダクトに関わるSTUDIOメンバー全員とを橋渡していく重要な役割があります。今回紹介したナレッジベース構築もその一環です。
また、得られたフィードバックやニーズなどを基に、ユーザーができるだけ迷わずWebサイトを公開できる環境の整備 ... ヘルプサイトの抜本改善やツール内外のオンボーディング改善など ... も、CS(カスタマーサポート、カスタマーサクセス)チームとして取り組んでいきたいと考えています。
STUDIOというツールの特性、そして私たちの体制の未熟さゆえに、ご応募いただく方に求めるスキル幅が広くなっていますが、ぜひご興味をお持ちいただけたらお気軽にご連絡ください。
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