4年半ぶりの香港と33年ぶりの台灣 7日目
今日の行き先は蘇澳の「計程車博物館」と宜蘭の「カバランウイスキー蒸溜所」です。
友人には日本を発つ前に台灣での行き先を伝えていたのですが、予想どおり呆れられました。蘇澳と宜蘭に行くと伝えたら「よく知ってるね!温泉でもきれいな海でもどこでも案内するよ!」と返事をもらったのですが、希望する行き先はマニアックな博物館とウイスキー工場ですからね…。
計程車博物館
なんと言っても今回台灣に来た最大の目的が「計程車博物館」なのです。ここは世界初のタクシー専門博物館という触れ込みで、実際に使われていた車輛が展示されています。
計程車博物館はかなり前からFacebookページでゆる〜く網上オープンしていたのですが、新型コロナの少し前に廃工場をリノベしてグランドオープンしました。ただ、オープンした時期が悪く、程なくして休館を余儀なくされました。
私は「どうなっちゃうんだろう」と心配していましたが、なんとか乗り越えて再オープン。
友人の運転で計程車博物館へ向かいます。台灣は近々總統選挙があり、地元に帰る人で高速が渋滞しないかちょっと心配でした。
一般道には、ビルやガードレールなどあちこちに党の宣伝が貼りつけてあります。紙のポスターではなく、布だかビニールだかに印刷したスローガンをひもで縛りつけてあるのです。その内容はほとんどがハンパないネガキャンなのですが、友人曰く「そんなもん」だそうで。これが通常営業のようです。
渋滞状況も考え開館時刻の10時ちょうどに着くよう出発したのですが、実際には高速も順調でスイスイ。予想より10分ほど早く着いてしまいました。
周りには何もなく、道路だけ広くて閑散としていて、博物館があるような場所には思えません。それでもずっと来たかった場所なので感無量です。
私は写真を撮るのが下手なのですが、ここは撮らずにはいられませんでした。
ご覧の通り、マニア向け、子供向けです。実車はもちろん、これだけの関連アイテムを収集した情熱には脱帽です。
ただ館内は狭いのでこれ以上の展示スペースがなく、セフィーロは屋外展示でかわいそうでした。まだ実車を増やす意欲はあるようですが、建屋を広げないと厳しそうです。
さらに駐車場には廃バスが3台も置いてあり、物置のように使われていました。いずれ整備して展示する予定なのでしょうか?
早く着いたからなのか、平日だからなのか、ほかにお客さんは2〜3人くらいしか見かけませんでした。これで採算が合うのか心配になりますが、屋外にはメリーゴーラウンドがあるくらいですから、休日は子供が押し寄せるのかもしれません。
まだ設立して日が浅いためか、旅行系のブログでもほとんど紹介されていません。実際ここだけの訪問となると、ロケーションも微妙だと思います。蘇澳には冷泉という名物もあるのでそちらをメインにして、ちょっと寄り道しても良さそうです。
今回は友人の車で来ましたが、もちろん鉄道でも高速バスでも来られます。鉄道なら蘇澳新駅が最寄り駅、高速バスなら蘇澳國中のバス停で降ります。
友人の車でまた移動します。途中街中で軽食を取ってから、カバランウイスキー蒸溜所に向かいます。
金車噶瑪蘭威士忌酒廠
蒸溜所に近づくにつれ、田んぼらしきものが目立つようになります。水に恵まれている地方であることがわかります。
ウイスキー工場ですから敷地は広いです。駐車場に車を停めると、目の前にメインホールが見えます。中に入ると、映画館といっていいくらいの大きなスクリーンと多数の客席(日本によくあるミニシアターより大きい!)があり、会社の歴史やウイスキー製造過程などのビデオを流していました。
蒸溜所で見学のできるエリアは全面ガラス張りになっていて、製造過程が見えます。原酒と思われる無色の液体が流れるところに見入ってしまいました。別にそれ自体面白い動きは何もないのですが、小川の流れを見て癒やされるような感じかな?
中で作業している人は見かけなかったので、かなり自動化しているようです。
また、全体的にエアコンが効いているようで寒いです。
さてここでお楽しみ、ウイスキー試飲であります。(友人は運転ですからもちろん飲めません。ゴメンね)
試飲はいくつか用意された商品のうち、2種類を選べます。
金車社は新興の会社にもかかわらず、海外のウイスキー品評会などでいくつも賞を取っています。私はその辺詳しくないので、どれが賞を取ったかもわからず適当にチョイス。
うん、たしかに美味しい。ちょっと甘い薫りでスパイシー感は弱めかな。普段あまりウイスキーは飲まないのですが、これは好みです。
(でも、お高いんです。)
さて、金車社はもともと飲料、特にコーヒー関連では老舗で、台灣最大のシェアを誇っています。
もちろんここの工場にも喫茶コーナーがあるので、コーヒーを飲みながら休憩することに。
昨夜の友人との会話は飲みながらだったのでテンション高めでしたが、今日は一応シラフなのでもう少し落ち着いた話をしました。彼が台灣に来た経緯などはある程度知っていたのですが、あまり深い話はしたことがなかったのです。特に、彼の以前の仕事の話はいろいろ参考になるものでした。
1時間くらいくつろいで台北に戻ります。
帰りの車の中でも話は尽きませんでした。新竹はビーフンの生産地で有名ですが、現地ではほとんど食べないらしいとか。少数民族の若い女性は都会でタレントや水商売(風俗を含む)をする人が多いとか。最近の台灣はトヨタをよく見かけるとか。私は裕隆(日産)のほうが強いイメージだったのですが、それは昔の話なのでしょう。ディーラーも減っているようだと教えてくれました。裕隆「飛羚」(台灣初の独自設計車)の思い出を語ったら、やっぱり呆れ顔でした。結構タクシーで見かけたんですが、計程車博物館に展示されないかな?古い車だし、生産台数があまり多くないから無理かな?裕隆の本社工場に残ってないかな?
台北
ホテルに戻りました。
友人は別の用事があるということで、再会を誓ってここでお別れです。きっとまた来るよ。
明日帰国ですから荷造りします。オンラインチェックインも済ませました。
最後の晩御飯なので、フロントの女性におすすめのお店を聞いてあったのですが、いざ行ってみると満席でした。
奥の丸テーブルで宴会を開催中のようです。待っても空きそうにありません。残念、中華圏でぼっち飯は厳しい。
あまりあてもなく街を歩き、なんとなく入ったお店で牛肉刀削麵を食べます。メニューに色鉛筆でチェックして注文するお店だったので会話もなし。お味はまあまあ。でももうちょっと贅沢してもよかったかな。
信陽街
さて、これから33年前に3週間ちょっと過ごした信陽街へ向かいます。Google mapで場所をチェックすると、歩いて行けそうな距離です。
私の記憶だと、昔の信陽街はK書坊(自習室)だらけで学生の多い街です。また、交差する南陽街には当時お世話になった薬局があったはずです。
キョロキョロしながら歩き始め、15〜20分くらいで着きました。
ダメもとでいろいろ探します。
さあ、富國大旅社は残っているかな?見当たりません。そりゃそうでしょうね。それでは南陽薬局はあるかな?やっぱり見当たりません。しょうがないよね。
あれだけあったK書坊も2〜3軒くらいしかないみたいです。
一応まだ学生の街っぽいところはあるんですけどね。
昼間の表情がわかりませんが、道もキレイですから屋台もなさそうです。昔は臭豆腐の屋台があって、辺り一面にニオイをまき散らしていました。
もちろんこの結果はある程度予想していました。時間の経過を考えれば当然という感じで、特にショックということもありません。
そういえば、昔台北のどこでも見かけた檳榔の吐き捨てたやつも見かけなくなりました。ビキニの檳榔売りも規制が入ったそうで、どこにもいません。野犬もいません。目があえば「按摩〜按摩〜」と声をかけてくるおっさんもいません。
やっぱり33年は長いな。
長かった旅もそろそろおしまい。明日は帰国日です。