「愛は時間がかかる」
引き続きの植本一子さんの本。実はこの本が1番最初に気になっていた本。最新刊。
前に読んだ「かなわない」、「家族最後の日」に比べるとかなり穏やか。日々がどこか落ち着いている気がする。色々と余裕ができたのだろうか。
私も少し落ち着いたからだろうか。鬼気迫るような迫力は抑えめに感じた。
トラウマ治療について、カウンセリングについての本、とのことだったので少し構えていた。トラウマについての考えが間違ってたのかもしれない。
ここに描かれているのはEMDRという眼球運動を使ったもののようで、私が受けているカウンセリングとは違う感じだ。治療の様子も少し雰囲気が違っている。治療効果もなんだか早く出てくる気がしたけれど、この前に5年通っているとのことなので、その積み重ねプラスαということなのかもしれない。
痛いほど自分の傾向をわかっているはずなのに事前にパニックにならないようにとか、回避できる方法は普通にあるはずなのに、なぜかそれをしない植本さんに不思議だな、と思うことが正直あった。わかってても出来ないのか、そういう方法を本当に思いつかないのかは分からないが。
私も仕事を断れとか、仕事を辞めた方がいいと言われるけど、辞めれないし、その時はちょっとできるかもって思ってしまうからな、と。
変に不得意分野で、今回は克服できるかもと変に思いがち。克服しなくてもいいこともある。ただ避けるのみとか。その塩梅が分からなくなるところに、植本さんと同じような何かがあるのかもしれない。
なんでも自分に引き寄せて読んでしまったりするのをやめたいな、と思うことが多い。こういうやり方でしか色々感じられないのは、圧倒的に知識が少ないから、引っ張ってこれるものが自分しかないみたいな気がして嫌な気持ちになる。もっと掘り下げたいのに自分のことばかり考えてしまう。それが自分の限界なのかなと。
なんとなく、植本さんの本をこんなに夢中になって読むのはそういう自分と似た感じがあるからなのかもしれない、とぼんやり思った。
私がこの本を読んで思ったのは、「かなわない」「家族最後の日」で読んだ石田さんの大きさ。石田さんは色々ありながらも優しく見守っていたんだろうな、と思うと感慨深い。
自分は1人だ、とか思うこともあるかもしれないけれど、ここまできたのは確かに人の助けがあって温かく見守ってもらっていたり、手を差し伸べてくれたりしたおかげなんだ、人に助けを求めていいんだ、ということを改めて認識することもカウンセリングの効用なのかな、とも思った。
他の本を読んでこの本を読むのと、これを単体で読むのとかなり感じ方が違うだろうから、何かの縁で先に他の本を読めていてよかったかなと思う。(元はこの本単体で読むつもりだった)
植本さんの本は出会えてよかったな、と思う。他のものも読んでみたい。
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