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「深夜バスに100回くらい乗ってわかったこと」

 このかたも全然知らなかったのだけど、「家から5分の旅館に泊まる」という本が良いと聞いて探したが見つからず、タイトルが面白そうだったので、図書館でこちらを。
 若手飲食シーンの大本命、とか著者のことが書かれていてやや不安ではあったのだけど、このタイトルお酒の話だけではないよね、と読んでみた。

 乱暴にまとめれば、町の飲食店で食事をして話をしたり、昼からスナックに行ってみたり、フェリーに乗ってみたり、なのだけれど、妙に楽しくて面白い。人生っていろんな楽しみ方があるんだな、という感じ。
 その人生の楽しみも人それぞれで、なんというかお金はそんなにかけてないと思うのだけれど、とても豊かな世界が広がっている。
 なんでも面白がれば、どこでも楽しくやっていけるのかな、と。

 上野動物園が飲食持ち込みOKというのも知らなかったが、上野動物園で飲み会をしながら動物をみよう、みたいなのもなんというか、盲点の楽しみ方だな、とおもった。そしてこの著者はやはり飲むのが好きみたいだ。

 著者は「チェアリング」の開祖、とあって、「チェアリング」とは?と思ったのだが、これは持ち運び用の椅子を片手に好きな場所を探し歩き、そこに椅子を置いて腰掛け、のんびり過ごすこと、らしい。
 お酒やおつまみ持参て、自由さと、屋外で爽やかに過ごせる、というのが良いらしい。そして椅子さえあれば誰でもできる手軽さが良いみたい。確かに!
 公園のベンチも最近通称いじわるベンチが増えて、ゆっくり座ってのんびりするのもちょっと難しいところもあるので、良さそうな。

 なんとなく軽いみうらじゅん風味も感じなくはない。面白い。

 近所の町中華でラーメンを食べてみる、というところの味の表現が面白くて思わずクスッと笑ってしまった。

 食べてみる。うおー!なんとも言えない。いや、少なくとも私の基準からして全然マズくはない。なんというか、味がこっちまでやって来ずに交差点の向こうで手を振って、少し微笑んでどこかへ行ってしまったような。追いかけても掴めない味わい。

名前のないラーメンを探して

 交差点の向こうで手を振ってるのに、結局来ない味ってなんだろ。

 終電後に街を歩く、というのも良かった。これは男性だからできることかな、と思いつつ、都内は結構歩けるから良いなぁ、と。これ楽しいと思う。
 私も昔は夜中2時くらいまで仕事をして、家まで歩いて帰っていた時期がある。良い気分転換になるし、夜の首相官邸前を通ったり、夜の街を歩くのが割と好きだった。警察官にもよく声をかけられ、気をつけて帰ってね、など言われつつ、昼間と違う景色を見るのが結構楽しかった。
 密かな楽しみだったのだが、何かの拍子にポロッとこのことを会社で話してしまって、上司にバレ、絶対タクシーを使うようにと叱られて辞めたのだが。夜の散歩は楽しい。

 食やお酒の楽しみが多めではあるが、自分も色々面白がりたいな、と思った。特に最近食の楽しみを感じられなくなってきつつあり、食周りのことが億劫なので、なんとかしたいな。
 もっといろんなこと楽しんでみて、面白がって良いんだよ、と言われた気がして、読んで良かったな、と思う。

 しかし、当たり前かもしれないけれど、みんな文章がわかりやすくて、面白い。最近読んだ「平熱のままこの世界に熱狂したい」もそうだが、どうしたらそんなふうに書けるんだろ。

 これで感想のストックが終わり。最近なんとなく書けないし、本も読みきれていない。集中力の低下と興味が減退気味。

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