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「消えたい」「もう終わりにしたい」あなたへ

 図書館で予約していたこの本。細川貂々さんのイラストで、思ったより手に取りやすい雰囲気でした。

 200ページほどの本で、1ページの文字数も多くはないので、疲れた人も、しんどい人も手に取りやすいとは思います。とはいえ、そういう時に本を読もうと思うか、というところはあるかもしれません。少し落ち着いた頃に手に取るのが良さそうな気がします。
 なぜ「消えたい」「もう終わりにしたい」と思うのかを紐解き、その原因となりそうなことについて、解決策を割と具体的に書いてくれています。例えば 「べき」思考はやめよう、とか、「自分を好き」にならなくても良い、とか、「孤立」などについてです。即効薬にはならないけれど、地道にそれを乗り越えるためには良い本だと思いました。

適切な休養をとることも、必要な努力に含まれます。

p.28

 休養を取る、というのはちょっと罪悪感があったりする。なんとなく有給取るのも申し訳ないというか。でも休養することも仕事の一つ、と私も思うようになりました。それが最終的にみんなが幸せかな、と思います。

「自分に対して無条件の肯定的な関心をもち、ありのままの自分を優しく受け入れる」のが自己肯定感の私なりの定義です。そのために必要なのは、まず、「自分に嘘をつかない誠実さ」です。

p.51

 自己肯定感という言葉があまり好きではないけれど、こういう解釈ならば。そして自己肯定感と簡単にいうけれど、そんなものはすぐつくわけではない。この本でも、他の本でもあるけれどスモールステップで目標をクリアしていき、成功体験を積んでいくこと。でもそれすら、何から始めていいかわからない。
 この本ではまず「自分に嘘をつかない誠実さ」をあげる。これはなかなか難しい気がする。
 自分がこんなことでへこたれるはずがない、こんなことで落ち込んでたりしちゃダメだ、というのも自分に嘘をつかない誠実さとは真逆かな、と思う。自分の感情を否定しないことかな、と思ったりしました。

そもそも、人間は他人にも自分にも、本当に正しい評価を下すことなどできないのです。「正しい評価」などというものは、どこにも存在しないからです。「評価」というのは、そのときその人が下しているにすぎない主観的なものです。絶対的な真実などではありません。ですから、評価に振り回される必要はないのです。

p.53

 「能力のいきづらさをほぐす」でもありましたが、評価というのはとても曖昧なもの。ある場所では良くても、また違うところでは、それは欠点になったりする。それに振り回されてはいかない、というのは理解できます。でも他人の評価に一喜一憂してしまうのも人間。絶対的な真実ではない、と知っておくのは良いことかな、と思います。

自分自身に不満なこと、できないことがまだまだあるとしても、「今は、これでいい」と自分を肯定しながらとりあえず目の前のことに集中し、力を発揮していくほうがよいのです。「今はこれでいい」はマジックフレーズです。

p.28

 ちょっと順番が前後しましたが、「今はこれでいい」という言葉で「私なんか」みたいな考えを一旦横へ置いておこう、というものです。
 今ここで何か躓いているからこそ、「私なんて」みたいなことが出てくるので、そこを「今はこれでいい」に転換するのはちょっと難しいのでは、と思います。個人的には、いま、自分のできることをやろう、何もしないよりマシ、ということ方がのが、実際の動きとしてはある気がします。

「傷つかないためにも、与える姿勢でいる方が良い」ということなのです。
 「与える姿勢」というのは自己犠牲とは違います。むしろ自分のことを守る姿勢です。自分は挨拶をして気持ちよく心を開いた。それに対してどういう反応をするかは、完全に相手の問題なのです。(中略)自分で選ぶことができない相手の反応に一喜一憂するのではなく、自分がどのような心の姿勢を選ぶかに意識を集中したほうが、傷つかずにすむのです。

p.67〜68

 相手の反応は自分で何とかできるものではない。自他境界の話なのかな、と思います。自分でコントロールできないことは手放して、自分にできることをしよう、ということなのかなと。

私は「DOの自信」と「BEの自信」をわけて考えています。「DO」とは、「何かができること」。一方、「BE」は「自分の心のあり方」です。

p.68

 DOの自信とBEの自信。これ私はちょっと理解が難しかったです、BEの自信。DOはわかりますが。DOは条件付きの愛情みたいなものでしょうか。

それよりも、まず自分の内面にある温かい心を感じること(「BE」を大切にすること)が、他人とつながるためにも必要

p.69

自己肯定感をもつための重要な要素は「自分に嘘をつかない誠実さ」と「人にはそれぞれ事情があると理解すること」であるとお話ししました。どちらも「BE」につながることですね。

p.70

 「BE」は存在する、いる、あるという意味で、私が私であること、ということなのだろうか。私が私であるために、自分に嘘をつかない、自分と他人の境界を引く、相手には事情があることを知り、そのままを受け入れる、ということですかね。ここのところは、もしこうじゃないかみたいなのがあれば教えてください。

自分に「もう消えてしまいたい」と思わせるものや人から、逃げたり避けたりしましょう。人生を全体で考えないでできるだけ小さい単位で考えてみましょう。つまり、「こんな一生は嫌だ」というふうに考えるのではなく(もちろん、そう思ってしまうことがあるのは自然だと思いますが)、「とりあえず今日1日生きてみよう」、あるいは「とりあえず午前中は」「とりあえずあと1時間は」というふうにできるだけ課題を小さく刻んでいくのです。そうすることによって、小さな達成感を積み重ねることができ、自分の中にゆとりと、自由な発想が少しずつ育っていきます。

p.106

逃げたり避けたりしながら、今の苦しい時をとにかくやり過ごしていくこと。そのうちに、自分もまわりも変わっていきます。つまり、生きるか死ぬかを今決めなくていいのです

p.106

 よく長期的な視点に立って、と言われるけれど、とにかく日々をやり過ごす、その積み重ねで生きていく、でも良いと思う。それであるとき振り返ってみたら、こんなに遠くまで来れたのか、と思うこともあるかもしれない。それがまた自信にもなるのでは、ということか。
 「消えたい」「終わりにしたい」という苦しさから一刻も早く抜け出したい、と思うところなのだけれど、即効性のある解決策などはなく、小さな一歩を積み重ねるしかない、というのは絶望的にも感じるけれど、誠実な本なのかな、と思う。
 実際長い時間がかかるものなのだろう。正直もうそんな長い時間をかけて解決していくよりも、もう終わりにしたいんだけど、という気持ちもとても分かるので、大変難しいな、と思いました。

同じ著者の「恐れを手放す アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ」「やっぱり、それでいい。人の話を聞くストレスが自分の癒しに変わる方法」は読んでみようかな。

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