CIRGO GRINCOのデビュー曲「Sweetest Revolution」について
本日、私がプロデュースしているCIRGO GRINCOのデビュー曲「Sweetest Revolution」の配信が始まりました。この曲の制作意図について書いてみたいと思います。
音楽的にはコンテンポラリーを超えて最先端のR&Bを作る気持ちでやりました。
R&Bという意味ではフィロソフィーのダンスと同じなのですが、違いはオマージュをやらないと言う事です。フィロソフィーのダンスの時は、今回はホール&オーツをやろう、次はアシッド・ジャズ、次はニュー・ジャック・スイング!などネタ探しをスタッフでやっていました。
それはそれで楽しいけれど、本当にオマージュはクリエィティブなんだろうかと思った事です。それと知ってる自慢になりがちなのも品がないと思いました。それとカクバリズムの角張さんも彼もオマージュはある時からやめたと書いていた事にも影響されました。
R&Bではジャネール・モネイとH.E.Rが素晴らしいと感じていたので、これをうまく一般層にも受けるようにカスタム出来ないかと思っていした。
歌詞を先作ったのは過去の僕のnoteにも書いたので、それも読んで欲しいのですが、作詞を依頼した、いしわたり淳治さんが参加するブラック・バンドが歌詞先がコンセプトだったり、歌詞が先の方が個人的にも作業していても作品の行き先が分かる感じがしてストレスが無いです。
いしわたりさんへの歌詞の発注は恋愛要素はなし、女性が励まされるメッセージ、全体のトーンとして強さが欲しいのでゲームやギャンブルをメタフォーにして欲しい、名言として使えるような台詞を考えて欲しいと言う事を伝えました。
メロディーのコンペの場合はコンペシートと言って曲のイメージを参考曲やイメージを伝えるのですが、僕の場合は「これと似た曲を作って下さい」と言っているだけのような気がしてクリエイティブではない気がしています。なので以前寺嶋由芙の曲で80年代の夏のイラストをいくつか集めて「これがジャケットになるような曲をお願いします」と言うような事もやりました。
でも今はプレイリストが便利ですね。今、サブスクでのヒットは人気のPLに入り事も大きな条件なので「このPLに入って違和感がない曲をお願いします」が一番分かりやすい曲の発注なのではと思っています。
ちなみにこれがその時の参考曲と並び事をイメージしたPLです。
https://open.spotify.com/playlist/60Kvtd6IKgDWoNO0k5vkxk?si=f36057f22c064065
その歌詞を作曲家のコンペに出しました。全くの新人なので、何人の方が応募してくれるか不安だったのですが60曲の応募がありました。
コンペの良いところは新人でもベテランでも全く並列で聴ける事ですね。選ばれたYuki Takishitaさんは女性で一般的なお仕事と生活をしながら作家活動をしている方で、この作品が初めてのメジャーでの採用とは思えない完成度でした。
影響を受けたアーティストはと聞いたところ、菊地成孔さん、冨田恵一さんの名前が上がったは納得でした。
こういったスィート・ソウル系で恋愛の喜びを歌うのが普通だと思うのですが、こういったエンパワーメント系の歌詞が乗るのも新鮮なのではないでしょうか。
それと最近、プロのコーラスという文化が損なわれている気がしています。それこそ昭和歌謡の時代はそのコーラスの声で分かる伊集加代子さんというレジェンドがいたり、当時のニュー・ミュージック、今でいうシティ・ポップでは山下達郎さん、吉田美奈子さんが様々なレコーディングで参加していて楽曲の奥行きを醸し出しています。
ですが今はコスト・カット、あるいは多少下手でも修正出来るのでメンバーが自分でやってしまうケースが多いように思います。
今回はコンペの応募時の仮歌が良かったのでコーラスも、その方にお願いしようと思いました。お伺いしたらメジャー・デビューもしたことのある実力がある方で、コーラス・アレンジも出来て、レコーディングもリモートなので手間も経費もかからず、さらにクオリティーもアップと良いことしかなかったです。
ボーカルのレコーディングはいつも三茶のクロス・ロード・スタジオで一人2時間づつ来てもらい終了。
ミックスとマスタリングはTENDERやあいみょん等を手がけるyasu2000さんにお願いしました。
ミックス・チェックも初めてリモートでやりました。僕とTakishitaさんはアAudio Moversでつないでもらって進めたのですが、ほぼストレスがなかったです。こだわりはコーラスのバランスが曲が進むほど微妙に大きくなる事です。曲の後半のオケやコーラスが厚くなるというのは手法としてあるのですがオケが大きくなるという初めてやってみました。
カップリングは新曲をカップリングにすると埋もれてしまってもったいないと思っています、なのでカラオケ(メインのボーカルだけがないもの)インストルメンタル(ボーカル・パートが全てないもの)の2バージョンをカップリングにしました。ここではその理由は書けないですが、皆様よろしくお願いします。
ジャケットはもうスマホの画面上での勝負で、昔は店頭で目立つようになんて考えたものですが、今はスマホ画面のPLで5mm角のサイズで目に止まってクリックしてもらわないといけないわけです。
それと画面に出ているので情報として曲名、アーティスト名はジャケットに要らないですよね。これからのリリースでのジャケットに関しては思いついた事があるので気にしていて下さい。
ちなみにCIRGO GRINCOのビジュアルやデザインは全て女王蜂等を手がける平野哲央氏(もとコンテンポラリー・デザインにいらした聞いてびっくり)にお願いしています。
これからも色々面白い事が出来ればと思っていますので宜しくお願い致します。今回もお読みいただきありがとうございました。