まどろみの世界VOL.5(音楽フード理論、元祖はなぜ尊ばれ古びないのか?)
有楽町を歩いていたら「ピザ・トースト元祖の店」という看板を見つけて思い出した事があります。
レスランランや飲食店「何々元祖の店」「何々本家」「何々発祥の店」というような看板を出している所が時々あります。これって意味があるのかと常々思うんです。
その店が始めたから美味しいという保証は何もないですよね。
レシピに特許はないので他の店で同じ物は出せないという事はないと思うし、むしろ、それをもっと研究して美味しくした、店の方が美味しいと思うんですが、人はなぜか元祖、本店というような言葉に惹かれてしまうのはなぜなんでしょうか
昔、宇多丸さんのラジオのウィークエンド・シャッフル時代、チェーン店のレストランの1号店を訪ねるのが趣味のDJの人が出てた事があって長崎までリンガーハットの1号展、愛知県清須市のCoCo壱の1号店とかなり辺鄙な所にまで訪ねて行く話をしていて、内容までは覚えてないですが、記憶に残っているということは自分も興味を惹かれたんだと思います。(ちなみに富士そばの1号店は渋谷の文化村通りにあった店舗だそうです。(この番組を聞いた後に僕もつい行ってしまいました)
自慢ですがシアトルにあるスターバックスの一号店に行った事は割と印象に残ってます。
牛丼のチェーン店というのも今の人はもう知らないかもしれないですが吉野家が80年代初頭に見受けられようになり、暫くしたら松屋が出来て、こちらは同じ値段で味噌汁がついていると貧乏学生だった僕たちは喜んだもので、僕的には、すき家はかなり最近の印象です。そして僕は牛丼なら圧倒的に吉野家派なんですが、それも元祖に人は惹かれると理由かもしれません。
余談です。吉野家好きのコレクターズの古市コータローさんによれば、吉野家は以前が店長、社員、バイトは被る帽子のラインの数が違い、店長がよそった物は美味しさが違うそうで、今はそれが分からなくなってしまって残念だそうです。
話を戻します。音楽のことは大体、料理に例えると説明がつくというのは僕の自論なんですが、これが音楽にも当てはまると思っています。
ある音楽やスタイルを初めてやったアーティストなぜか古びないんです。これも初めてやったアーティストより、それを元にしてブラッシュアップしたアーティストの方が良くなると思うんですが、それがそうはならないんです。
今では当たり前ですがビートルズに世界が一番驚いたのはメンバー全員が楽器を演奏しながら歌うというスタイルなんです。
スタイルだけではなく、音楽性はバッド・フィンガー、ELO、オアシス、日本でもチューリップなど多くのアーティストに影響を与えた(ちなみに山下達郎さんは聞くと絶対に影響を受けるのであえて聞かなかったとラジオで発言していて驚きました)ましたがビートルズを音楽的にもセールス的に超えているかと言えば超えてないです。
レッド・ツェッペリンは歪んだギターリフ、それまでのブルースの影響下にあるロックではあり得ないテンポの速さ、高いキーでのシャウトというスタイルを発明して、いまだにかっこいです。
パンクロックとして認知されたのはアメリカのラモーンズ、イギリスのセックス・ピストルズですが、どちらも古びてはいません。
他にもクラフトワークは1977年に電子音楽にダンス・ビートつけるという発明をしたのですが、これは今では、言ってしまえばほとんどの音楽の構造だと思います。
レゲエを世界的に認知させたアーティストはボブ・マーレイ(伝記映画楽しみ!)ですが、彼を超えるレゲエ・アーティストも思い当たらないです。
ニルバーナもグランジの元祖と言われてますが、彼らのTシャツは、着てる人が分かっているかどうか分からないですが1週間に一度くらいは見かけます(それよりJOY DIVISIONのTシャツも良く見ますが着てる人が分かってないと思います)日本の若いバンドでかなりまんまのグループがデビューしたのも驚きました。
はっぴいえんども日本語をロックに乗せたオリジネーターと言われますが、いまだに日本のロックのベスト・アルバムに挙げられます。
他にもボブ・ディラン、マイケル・ジャクソン、ルーリード、ローリング・ストーンズ、ピンク・フロイド、ザ・バンドなど新しい音楽のスタイルを初めて作ったアーティストは古くならないんです。
なので若いミュージシャンには新しいレシピを作るつもりで音楽を作りなさいと伝えています。
今回もお読みいただきありがとうございました