『ジョジョの奇妙な冒険 PART1 ファントムブラッド』 2巻 感想
概要
著者:荒木 飛呂彦
初版発行:1988年
デジタル版発行:2012年
発行所:集英社
Apple Books リンク
発行者による作品情報
感想
ジョナサン、優しすぎる(感涙)
追いはぎに来たチンピラに対しても、父親を謀殺しようとしたディオ・ブランドーに対しても、一切の迷いなく心からの慈悲を与える。そのうえで、「父を救う」という目的を揺るがすことはなく、いかなる障壁も乗り越える勇気やタフさも兼ね備えている。まさに"正真正銘の紳士"。スピードワゴンが惚れ込んで手助けするのもわかる。
しかし、その優しさが通じるのは精神的に"人間"の範疇を出ないものに対してのみ。スピードワゴンをして「生まれついての悪」と称されるほどのディオにとってはつけ入る隙でしかなかったのは皮肉というほかありません。結果的にディオは吸血鬼となり、ジョナサンは父と家を失ってしまいました。
怪物となったディオとの戦いの最中でも、スピードワゴンを逃がそうとする優しさや、どんなにダメージを負ってもディオを倒すことに迷いのない心身双方のタフさは健在。その精神力は味方として頼もしいのは勿論、ある意味敵に回すと恐ろしい存在でもあります。
運も味方し、ジョナサンはディオをジョースター邸もろとも焼き尽くすことに成功しましたが、心身共に相当な深手。スピードワゴンが、役者不足だとわかっていてもお見舞いに出向くのも無理ない。誰だってそうする、俺もそうする。
しかし、そこで運命的な出会いがありました。運ばれた病院には、かつてジョナサンの恋人だったエリナ・ペンドルトンが看護師としていたのです。彼女の献身的な看護もあってジョナサンは意識を取り戻します。「指がふやけ、血がにじむほど」というのは相当な精神力がいる。ここで、エリナの使命感を表すとともに、彼女のジョナサンへの想いはいまだ健在ということも示唆されます。一粒で二度おいしい、流石荒木先生。
そして、一夜にして父も義兄弟も家も、全てを失った直後なのに、エリナに(安堵と共に意識を失いそうになった彼女を骨折している腕で支えながら)「いつだって、ささえるさ」と言えるジョナサン。正真正銘の紳士だ(本日2度目)。空気を読んでクールに去ったスピードワゴンも紳士だ。
一方、ラストではディオがまだ生きていることも示唆されて終わります。毒薬売人が言っていた通り、強運のもとに生まれついているとしか言いようがない。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?