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『上京生活録イチジョウ』 3巻 感想
概要
著者:三好 智樹、瀬戸 義明
原作:萩原 天晴
協力:福本 伸行
初版発行:2023年
発行者:森田 浩章
発行所:株式会社 講談社
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発行者による作品情報
悪魔的パチンコ台「沼」の主・一条にもあった、燻っていた若き日‥!終電を逃して深夜の徒歩帰宅‥!後輩・村上は新たな夢のロケットを発射‥!夏の終わり‥九十九里浜で心の洗濯‥!一条&村上による上京生活録第3巻‥!
感想
今回は「雨降って地固まる」的な終わり方をする話が多く、比較的ほっこりすると同時につい「一条頑張れ」と応援したくなります。「そういえば福本先生ってデビュー当時は"人情もの"を比較的多く描いていたんだよな」ということを思い出しました(福本先生はあくまで「協力」ですが)。
個人的に共感したのが第19話「塩水」で、散々だったTOEICの結果に対して、前に進もうと心の中でした言い訳のせいで泥沼に陥ってしまうシーン。「あるある」までは行かないものの、僕も失敗したときに似たようなことをして余計凹んだことはそこそこあるので、気持ちはわかります。
そういう時はもう、下手に取り繕ったりしないで流れに身を任せてしまう方がいいんですよね(この場合は物理的に流されていますが)。一条も物理的に流され、水浸しになった結果、第20話「街光」では見事立ち直って前へ歩み始めました。
他にも、第18話「夢片」や第21話「降曲」など、燻っている若者ならではの、笑いあり光るものありなエピソードが収録されています。
オチが秀逸だなと感じたのは、21話。一条と村上によって激エモな曲ができたはいいが、それを世に放つ手段がないために曲は日の目を見られない、というオチです。脱力的と同時に、二人がまだ何もない存在だということを思い知らせる哀しさもありました。
次巻では、東京に雪が降るそうです。雪の夜はなんかいいぞ。