『上京生活録イチジョウ』 5巻 感想
概要
著者:三好 智樹、瀬戸 義明
原作:萩原 天晴
協力:福本 伸行
初版発行:2022年
発行者:森田 浩章
発行所:株式会社 講談社
Apple Books リンク
発行者による作品情報
感想
山田くんの淡い恋心から始まり、今回は上京した若者の「あるある」的なほっこりするエピソードが多かったです。
最も共感したのは第36話「散散」でチャーハンを極めようとした一条の姿。「一人暮らし(もしくは"同世代2~3人でのシェアハウス")の経験」と「(少なくとも"素人ではまあまあ上手い部類"程度に)料理の腕前」を兼ね備えた方なら、特定の料理を極めようとしたことはあると思います。
僕は一人暮らし当時はカレーでしたが、今はチャーハン作りが熱いです。チャーハン作りって人を惹きつける"何か"がありますよね。「最低限のものなら、ご飯と卵と塩コショウさえあれば作れる"手軽さ"」と「アレンジの方法は無限大で、より良いものを作ろうとすればキリがない"奥深さ"」が数多の人々を虜にするのでしょうか(いわゆる"沼"ってやつです)?
また、第38話「身丈」で一条が村上樹(村上のいとこで、漫画家志望の高校生)に抱いた「樹には『身の丈を弁えて欲しい』と同時に『身の丈を弁えないでもいて欲しい』」という矛盾した気持ち、ちょっとわかる気がします。自分はなんの責任も負えない"外野"だからこそ無責任に焚き付けるようなことは言えないし、とはいえ(多少大言壮語なくらいでもいいから)"夢"や"理想"は抱いていてほしい。「安定志向から『将来の夢は会社員(または公務員)』と答えた子供」に対する思いのようなもの…と言えばわかりやすいでしょうか?
その相反する気持ちを上手いことまとめて言語化したのが「理想はパーフェクトに、過程は具体的に」なんですかね?
ちなみに原作『カイジ』シリーズファンへのサービスに定評のある本作、今回もありました。第37話「彼奴」に出てくる"This Man"(都市伝説のひとつ。縁もゆかりも無い複数人の夢の中に同一の男性が現れたというもの)役で坂崎(『賭博破戒録カイジ』に登場。カイジと共闘した)が抜擢されました。でも坂崎さんと"This Man"ってそこまで似てないような…。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?