『上京生活録イチジョウ』 4巻 感想
概要
協力:福本 伸行
原作:萩原 天晴
漫画:三好 智樹、瀬戸 義明
初版発行:2022年
発行者:森田 浩章
発行所:株式会社 講談社
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発行者による作品情報
感想
「何者にもなれず、何もできず」。一向に改善しないその状況ゆえ、一条がだいぶ暴走しています。いやまあ、「大学に進学できしなかった自分を嘲笑った地元の連中よりのし上がる」と息巻いて上京し、早2年が経とうとしているのにこの状況はこうもなる。ただでさえ二言目には「この俺が…」が出る程度にはプライドの高い一条ともなればなおさら。
それにしても、一条20歳の誕生日を描いた第29話「二十」と成人の日を描いた第30話「芦田」はこっちまで精神的に参ってくるレベルの荒れようでしたが。起きた途端に村上もドン引き&戦慄するほどの圧倒的自虐…なんてのはまだ序の口。村上は勿論、バイト仲間の美沢と山田、挙句の果てには通りすがりの帝愛社員・芦田をも巻き込んで大荒れの20歳を踏み出しました。
とはいえ、一条にとっても(読者にとっても)実りがないわけではなく、作中で初めて一条の「無駄に高いプライド」を指摘されます。芦田さんの言葉もそれに対する一条の反応も完全に"ギャグスピンオフ"のそれだったので、話自体に重さはないのですが、一条同様(彼ほどではないにしても)「『成し遂げたこと』と比べて『プライド』が高い」(簡潔かつ嫌な言い方をすれば「口だけ番長」)という自覚が少なからずある方々にとっては、耳が痛かったと思います(僕も人のことは言えませんが…)。
とはいえ、第24話「雪日」や第28話「蒸整」のような、完全に肩の力を抜いて読めるほっこりエピソードもあるのでご安心を。個人的には「雪日」が大学進学1年目の冬(といっても東京ではなく札幌でしたが)を思い出して懐かしいような心が躍るような、不思議なテンションになりました。
さらに、「蒸整」ではあの大槻太郎(一条と同じ『カイジ』シリーズの名悪役にして、『1日外出録ハンチョウ』の主人公)がチラチラ出演しています!『ハンチョウ』でもスーパー銭湯を扱ったエピソード(第16話「極楽」)があるからだと思われますが、これは心憎いファンサービス。時系列は気にするな。
完全に余談ですが、表紙を見ればわかる通り、モモ太(ジャンガリアンハムスター)の作画が萌え〇ぬくらい可愛いです。それだけでも十分すぎるくらい俺得です。
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