『ジョジョの奇妙な冒険 PART1 ファントムブラッド』 3巻 感想
概要
著者:荒木 飛呂彦
初版発行:1988年
デジタル版発行:2012年
発行所:集英社
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発行者による作品情報
感想
この巻から「波紋」が登場し、よりバトル漫画らしい展開になっていきます。
主な展開は、「師匠(ツェペリ)の登場→波紋の修行→修行の成果の披露」。こうして見ると、かなり王道色の強い展開です。
この巻に出てくる「戦いの思考」は、相手が存在する物事全般に応用できます。
まずは、「『もし自分が敵なら』と相手の立場に身をおく」思考。これは言わずもがな、戦いにおける基本中の基本です。
つづいて、「『勇気』とは『怖さ』を知ること・『恐怖』を我が物とすること」。これは、恐怖に惑わされない自制心のことでもありますが、個人的には「怖さ・恐怖」は「弱点」のことでもあるんじゃないかと思っています。己の弱点を知れば、自ずと自分がどう立ち回るべきか、相手がどう動くかもわかる。それを紐解くことで、自分にの持ち味を生かせる戦い方もわかっていき、それが「勇気」に繋がっていくんじゃないかということです。
最後に、「北風が勇者バイキングをつくった」という考え方。ノルウェーのことわざで、簡単に言えば、「逆境こそが人を成長させる」という意味です。逆境に置かれたとき、成長する人は「どうすれば逆境を乗り切れるか」「どうすればピンチをチャンスに変えられるか」を考えて行動します。所謂"火事場の馬鹿力"もありますが、そのときの能力は(普段がどうであれ)凄まじいもの。そうしてピンチを乗り越えた経験は、自分の中に蓄積され、己を高めてくれるということです。
そして、ラストではスピードワゴンの「覚悟」の強さも見て取れます。
ディオの気化冷凍法によって凍ったツェペリさんの腕を溶かすため、自分の腹にその腕を押し付けたのです。もちろん、彼のお腹は急激に冷やされて低温やけど。それを厭わない決死の覚悟によって、ツェペリさんの腕は回復します。
これまではコメディリリーフとしての出番ばかりだった彼ですが、本人も言っていた通り「足手まといになるためについてきたんじゃない」という覚悟は本物。(ツェペリさん含め)これまで見くびっていた方々は熱い手の平返し間違いなしです。