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私の人生を語る〜高校生編⑤〜

いよいよ待ちに待った夏の甲子園への切符をかけた予選が始まった。2回戦、3回戦、4回戦順当に危なげなく勝ち進み迎えた5回戦。試合は今大会初めて先制点を許す展開になる。不安ばかりがでかくなるが気が付けばコールドゲームこそ逃したものの大差での勝利となった。数日後の準々決勝へ弾みを付けた。そして迎えた準々決勝。相手は昨年秋の大会県予選決勝で敗れた相手だった。お互いにプロ注目選手がいたこともあり試合前の練習からテレビカメラの数が異常だった。事実上の決勝戦とも言われいつもとは球場の雰囲気がまるで違った。そんな中ゲームは始まった。この試合も先制され、追加点まで許してしまった。しかしこちらも負けじとホームランで追い上げる。均衡した試合が続く中まさかの7回に大量得点を奪われここで万事休す。私の夢は県予選準々決勝で終わった。負けた実感が湧かないくらい呆気なく私の夏は幕を閉じた。ベンチ前で相手の校歌を聞いている時一気に負けた実感が押し寄せ涙が止まらなかった。この2年半振り返れば正直苦しい事しか思い返せなかった。私はよくこんな自問自答をしていた。「これで甲子園に行けなかったらこんなきつい練習意味あるの?」と。試合に出るどころかベンチ入りすら中々難しかった高校生活。練習しながらこんな事を本気で毎日のように考えた。しかし負けたこの瞬間この私が行ってきた過程全てに意味があると感じた。それは普通の高校生では経験できないような日々を送った自負があったからなのかもしれない。ただこの苦しい日々を思い返すと負けて高校野球生活が終わりどこかホッとした自分がいたのも事実だ。毎日の不安との戦いともおさらばたからだ。そんな色んな感情の中この2年半の思い出と共に校歌を聴き終えた。側から見れば素晴らしい高校野球生活とは言えないかもしれないが私にとって人生で素晴らしい経験の数々だったのだ。大学へ進学する事も決まっており大学では必ず結果を出したいそう思い最後のグラウンドを後にした。

→大学生編へ続く

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