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ゲームが好きなのに上手くならない〈11月毎日投稿〉
ゲームは好きだけれど、上手ではない。下手だけど、楽しい。
ゲーム機は買わないという親の方針で、子供の頃は泣いても喚いても怒っても笑ってもゲームは買ってもらえなかった。大人になってからNintendo Switchを自分のお金で買って、初めてプレイしたとき、世の中にこんなに面白いものがあったのかと驚いた。
どうぶつの森、ポケモン、ピクミン、スーパーマリオ、星のカービィ。子供の頃やりたくてできなかったタイトルを、片っ端からプレイした。楽しかった。子供の頃に戻って、あの頃満たせなかった気持ちがいとも簡単に満たされていった。
友達の家に遊びに行ったとき、大人数で遊べるパーティーゲームをやらせてもらったことはあったけれど、RPGや育成ゲームといった、こつこつ1人でやりこむゲームはやったことがなかった。それが自分の手の中にあるのが、夢のようだった。
あー、これがたぬきちか。クリボーってこいつのことね。モーモーミルク、モモンの実とカゴの実とオボンの実と……だめだ覚えられない。
ゲームは、やりこんで上手になった方が楽しい。操作に慣れて、情報をたくさん頭に入れて、やりこんで強くなればたくさん勝てるようになる。たくさんアイテムを手に入れれば、自由にゲームの世界を作ることができる。
大人の私は、仕事の合間で一生懸命ゲームをやりこもうとした。でもうまくいかなかった。仕事で疲れた頭では、ゲームの攻略法をきちんと理解して、こつこつ強くなる努力ができなかった。
子供の頃からゲームをしていて、ある程度の基礎ができている大人なら違うのかもしれない。それは子供の頃からゲームに慣れている友達と一緒に遊んだときに痛感する。
コントローラーの操作技術が違う。ルールや攻略法への理解度が違う。私が3か月やりこんだソフトを、その日初めてプレイした友達と対決して、2回目で追い抜かれる。
どうぶつの森みたいなおとなしくてゆったりしたゲームでさえ、コントローラーのボタン操作がおぼつかない。ゲーム内で歩きたい方向にうまく歩けなくて、ぶつかりながら歩くので移動速度が遅い。他の人のプレイ動画をYoutubeで見たりすると、自分のおぼつかなさにいらいらしてくる。
だけど楽しかった。ゲームの世界の中でもう一人の自分が動いているのを見るだけで、私の中で生きている10歳の私は満足だった。そんな楽しさがぎゅっとつまった最たるゲームがこの「ASTRONEER(アストロニーア)」。
何年くらい未来の世界なのだろう、惑星間飛行が普通になった時代。一攫千金を狙った宇宙飛行士が、資源やお宝を求めてさまざまな惑星を開拓していくゲーム。まさに「宇宙ゴールドラッシュ」というような世界観。
今は一部の限られた人しか宇宙に行くことができないが、「ASTRONEER」の世界では、おそらく海外旅行くらいの気軽さで宇宙を飛び回ることができる。宇宙船で降り立った未知の惑星で、探索したり資源を集めたり、基地を作ったり地形を変えたり。
ゲームデザインはデフォルメされてかわいい感じ。ビジュアルと予告動画でがっしり心を掴まれ、すぐさま購入。時々刻々と色を変える空や、鉱物が光り輝く景色は、この世のものとは思えないほどきれい(この世のものではない)。
宇宙飛行士の主人公も、コミカルで軽やかに動いてかわいい。宇宙飛行士をキャラクター化すると、顔がヘルメットにおおわれて見えないけれど、その分動きが大きくて一生懸命な感じがかわいい。
ただ、酸素がなくなったり攻撃性のある植物に近寄って襲われたり、高いところから落ちたりしてゲームオーバーになるシーンは、結構えぐい。先人が残した基地の廃材らしきものが残されていて、妙に現実味がある。
そんな世界の中で、新しいアイテムをゲットしたり、探索できる範囲を広げたり、巨大な基地を建設したり。
「ASTRONEER」とYoutubeで検索してみると、めちゃくちゃ完成度の高い基地を作っている人の動画がいっぱい出てきて感動してしまう。
私はそういうのは下手だから、おそらくゲームに用意された世界の半分も楽しめていないと思う。でも、宇宙飛行士になった気分で動き回るだけで楽しかった。
地球とは全く違う空は、見れば見るほど不思議な色で、ずっと見ていても飽きない。私が履いた宇宙服のブーツが、見知らぬ惑星の土をこする音がする。私が建てた風力発電用のタービンが、見知らぬ惑星の大気によって回る音がする。
このゲーム、見た目はデフォルメされていてかわいいのだけれど、効果音や環境音が結構リアルなのがいい。風で草が揺れる音、宇宙飛行士の足音、機械を操作する音、基地に立てた装置たちの稼働音など。
通信プレイも対応しているので、友達と同じ世界の中で一緒に探索することもできる。でもそれ以外では、宇宙飛行士が他の宇宙飛行士に出会うことはなく、ずっと孤独に探索を続けるしかない。その孤独さも心地よかったりするのだけれど、孤独さの臨場感を高めてくれるのが、この効果音や環境音なのだ。
そしてなによりBGM。環境音的な役割も果たしながら、場面に合わせた演出もしてくれている。「ASTRONEER」の世界観に合っていて、効果的で心地よくて、音楽としての美しさもある、すごいBGMだなと思って調べてみたら、アンビエントの大御所アーティストによる作品だった。
オランダのアンビエント作家であり、グラフィックアーティストでもあるRutger Zuydervelt。アンビエント音楽については、普段Machinefabriek名義で活動している。
アンビエントは日本語に訳すと、環境音楽という意味。リズムやメロディー、ハーモニーといった伝統的な音楽的要素を排し、環境音のように「ただそこにある」を目指した音楽。作者の意図やメッセージを主張せず、聴く人が能動的に聴いて理解すること強制しない。
確かに。「ASTRONEER」というゲームをプレイしているとき、求めるのはそういう音楽だよな。ただぼーっと画面を眺めながら音楽を聴いて、穴を掘ったり走り回ったりするだけで癒されるゲーム。疲れきった大人にこそおすすめです。
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