3・2・5 命題の完全な分析は一つ
○前段
1 : Die Welt ist alles, was der Fall ist.
世界は全てである。あらゆる何か、その現象がそこにあるに依る。
2 : Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
事実、事実は、事態の存在です。
3 : Das logische Bild der Tatsachen ist der Gedanke.
事実の論理上の像が、思考。
3.01 : Die Gesamtheit der wahren Gedanken sind ein Bild der Welt.
真実の思考の総体は世界の絵である。
3.1 : Im Satz drückt sich der Gedanke sinnlich wahrnehmbar aus.
命題では、思考が感覚的に知覚可能な方法で表現されています。
……
3.14 : Das Satzzeichen besteht darin, dass sich seine Elemente, die Wörter, in ihm auf bestimmte Art und Weise zueinander verhalten. Das Satzzeichen ist eine Tatsache.
命題記号は、その要素である単語が特定の方法で相互に関連しているという事実から構成されます。命題記号は事実です。
3.2 : Im Satze kann der Gedanke so ausgedrückt sein, dass den Gegenständen des Gedankens Elemente des Satzzeichens entsprechen.
命題では、命題記号の要素が思考の対象に対応する形で思考を表現できます。
3.21 : Der Konfiguration der einfachen Zeichen im Satzzeichen entsprechen die Konfiguration der Gegenstände in der Sachlage.
命題記号内の単純な文字の構成は、状況内のオブジェクトの構成に対応します。
3.22 : Der Name vertritt im Satz den Gegenstand.
名前は文内のオブジェクトを表します。
3.221 : Die Gegenstände kann ich nur nennen. Zeichen vertreten sie. Ich kann nur von ihnen sprechen, sie aussprechen kann ich nicht. Ein Satz kann nur sagen, wie ein Ding ist, nicht was es ist.
オブジェクトに名前を付けることしかできません。記号はそれらを表します。私はそれらについて話すことしかできず、発音することはできません。命題は、物事がどのようなものであるかを伝えることしかできず、それがどのようなものであるかを伝えることはできません。
3.23 : Die Forderung der Möglichkeit der einfachen Zeichen ist die Forderung der Bestimmtheit des Sinnes.
単純な記号の可能性に対する要求は、意味の決定に対する要求である。
3.24 : Der Satz, welcher vom Komplex handelt, steht in interner Beziehung zum Satze, der von dessen Bestandteil handelt. Der Komplex kann nur durch seine Beschreibung gegeben sein, und diese wird stimmen oder nicht stimmen. Der Satz, in welchem von einem Komplex die Rede ist, wird, wenn dieser nicht existiert, nicht unsinnig, sondern einfach falsch sein. Dass ein Satzelement einen Komplex bezeichnet, kann man aus einer Unbestimmtheit in den Sätzen sehen, worin es vorkommt. Wir wissen, durch diesen Satz ist noch nicht alles bestimmt. (Die Allgemeinheitsbezeichnung enthält ja ein Urbild.) Die Zusammenfassung des Symbols eines Komplexes in ein einfaches Symbol kann durch eine Definition ausgedrückt werden.
複合体を扱う文は、その構成要素を扱う文と内部的に関連しています。複合体はその説明によってのみ与えることができ、これは正しいか正しくないかになります。コンプレックスについて語られている文は、もしそれが存在しないとしても、意味不明ではなく、単に間違っているということになります。文要素が複合体を表していることは、それが出現する文のあいまいさからわかります。この一文ですべてが決まるわけではないことは承知しています。 (一般性の指定には元型が含まれます。) 複合体のシンボルを組み合わせて単純なシンボルにすることは、定義によって表現できます。
○派生図
3001
|……
├201
||├2
||└3
|├1
|├21
|├3
|├4
|├51
|└61
| ├2
| └3
3.25 : Es gibt eine und nur eine vollständige Analyse des Satzes.
命題の完全な分析は 1 つだけです。
3.251 : Der Satz drückt auf bestimmte, klar angebbare Weise aus, was er ausdrückt: Der Satz ist artikuliert.
命題は、表現する内容を具体的かつ明確に述べた方法で表現します: 命題は明確に表現されています。
3.26 : Der Name ist durch keine Definition weiter zu zergliedern: er ist ein Urzeichen.
この名前はいかなる定義によってもさらに細分化することはできません。それは主要な記号です。
3.261 : Jedes definierte Zeichen bezeichnet über jene Zeichen, durch welche es definiert wurde; und die Definitionen weisen den Weg. Zwei Zeichen, ein Urzeichen, und ein durch Urzeichen definiertes, können nicht auf dieselbe Art und Weise bezeichnen. Namen kann man nicht durch Definitionen auseinanderlegen. (Kein Zeichen, welches allein, selbständig eine Bedeutung hat.)
定義された各文字は、その定義に使用された文字を示します。そして定義はその方法を示しています。原始記号と原始記号によって定義される記号という 2 つの記号は、同じ方法で表すことはできません。名前を定義によって分離することはできません。 (それだけでは意味がありません。)
3.262 : Was in den Zeichen nicht zum Ausdruck kommt, das zeigt ihre Anwendung. Was die Zeichen verschlucken, das spricht ihre Anwendung aus.
記号で表現されていないものは、その応用によって示される。記号が飲み込むものは、その応用によって表現されます。
3.263 : Die Bedeutungen von Urzeichen können durch Erläuterungen erklärt werden. Erläuterungen sind Sätze, welche die Urzeichen enthalten. Sie können also nur verstanden werden, wenn die Bedeutungen dieser Zeichen bereits bekannt sind.
原始記号の意味は説明を通じて説明できる。説明はオリジナルの記号を含む文章です。したがって、これらの文字の意味がすでにわかっている場合にのみ理解できます。
3.3 : Nur der Satz hat Sinn; nur im Zusammenhang des Satzes hat ein Name Bedeutung.
命題のみが意味を持ちます。名前は文の文脈の中でのみ意味を持ちます。
あ、ちょっと呼吸が許された。ひとごこちつけました。「命題の意味が成立する」を「完全に分析される」としてしまっていいんですね。これは助かる。まぁ本当にただのひとごこちだけど。
命題が言い表すのは像、写像を介しての事態。名前は像、写像を介してのこと・もの。そして一方で、脳内では像・写像がまたこと・もの化してもいたりする。この辺は五蘊について考えた時、色・受・想・行・識のうち受以下を意識した瞬間それは「色」化する、と感じたのにも通じる。ヴィトゲンシュタインを通じてうまく五蘊も座標化したいけど、やや目盛りの刻まれ方が違う気もする。
一応今のところの感覚を書いておこう。
色(物質)=事態もしくは世界
受(感受)=像
想(感得)=写像
行(反応)=思考
識(認識)=命題
こう言う感じかな。もちろんここには変にこだわりすぎない。違うものを下手にこじつけすぎてもそれはそれで不自由が生じるものだし。現に俺が2で像や写像に関して得た疑問(像を構築し写像として感得する「私」はどこに位置するのか)についての話は5とか6のようだし。
名前を単純記号とするのは、すなわちこと・ものが単純である、という話にまで立ち返る。単純なものを言い表すのだから、それを言い表す言葉だって単純なはずだ、と言うことだ。
ただし、たーだーし。
こと・ものは単純なのだが、我々はこと・ものについての形式、配置しか本来的には語れないはずだったのである。ならば単純記号をどれだけ単純記号単品で用いようとしても「単純記号によって指示されたこと・ものの存在について論じる」という命題にくるまれざるを得ない。
命題という「言語空間」において名前は特定の形式を帯びて配置され、各名前との関わり合いを包括することによって初めて存在する。これが文章であり、文法である。ここで「名前を定義によって分解することができない」とするのは、定義が「名前たちが複合された時の位置づけまでも込みで包括し、別の事態として現出させる」ことなのだから。ということ? どうなのかしらね。
いったんこう置いて、さらに先に進むのだ。