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朝、ひとり、映画
昨夜、明日から学校が始まるということから
いかに目を逸らすかを考えていた。
いや、それを考えている時点で既に相当学校を意識している。これはいけない。と、私はダラダラと夜8時から漫画を読んだり、youtubeで動画を観たりと、なるべく意識を遠くへ飛ばしていた。
そしてふと、私の大好きな伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」が映画化したな。いつ公開だろうか。
と思い調べた。
なんと、明日公開ではないか。
明日は、学校。
いや、午後から2限だけだ。
朝も久しぶりの学校で疲れるだろうとバイトも入れていない。
午前中は、完全に暇。
明日、学校の前に観ようかな。
今までそんなことはしたことがない。
基本的に学校が午後からの日は午前中はバイトをしているし、そもそも私は行動力がない。
無駄かもしれない、疲れるかもしれない、とか考えているうちに諦めた方が楽だと結論付けている。
ワクワクしていた。
日々を楽しくするのは自分次第だ!なんて
ベタなことを考えていた。
映画の時間を調べると、学校が終わる時間も考えて、明日観るならやっぱり朝イチの回が丁度いい。
…やってみるか。
元々映画館は好きで、ひとりで観てみたい
なんて考えていたから、ひとりで行くことはなんの抵抗もなかった。
この機会を逃したら、また行動力のない自分に戻って一生、アイネクライネナハトムジークが観れないぞ。
そう考え、明日8時に家を出るために22時には目を閉じた。
友達からもらったパックをしたし、明日はいい日になるな。
なんて考えて、ワクワクしながら目を閉じたから、全くねれない。
たかがひとりで朝から映画を観るだけなのに、遠足気分だ。
自分の頭の中でしおりが出来ていた。
着いたらすぐにチケットを買って、ポップコーンは本当はマストだけど、朝からはちょっと、でも、コーラは買おう。
映画館でストローで飲むコーラが大好きだ。
それで、観終わったら、映画館の前にあるガチャガチャをどれか一つやって、ナナズグリーンティーでマグロ丼を食べよう。
そしたらそのまま学校に行って、、、、。
結局寝たのは午前3時だ。
それでも睡眠不足で重い身体を起こしてハムエッグと熱い紅茶を流し込んで、せっかくパックしたんだから、お化粧もちゃんとして、予定の8時に家を出た。
予定通りの電車に乗り、チケットとコーラを買って、座席についた。
予告はしっかり観るタイプだ。
映画の予告は映画並みに面白い。
映画の内容は、1年前に読んだ小説だから、その記憶を取り戻しつつ、あぁ、この登場人物は相変わらず愛おしいな、そんな人物を生み出した伊坂幸太郎は天才だ。
なんて、薄い感想を頭の中で並べながら、知っている内容なのに涙して、涙するのを分かっていた私が事前にカバンから出しておいたハンカチでマスカラが落ちないように涙を押さえる。
小説を読んだことない人にも、是非映画も小説もみてもらいたい。
エンドロールが終わる頃には気持ちはもうガチャガチャだ。
しかし、私の財布には小銭がなかった。
なぜコーラを買うときにきっちり小銭で払ったのだろうか。
このあと学校が控えてる私にはお札を崩している時間はなかった。
ガチャガチャは、お預け。
急いでナナズグリーンティーへ向かった。
海鮮が好きな私は、事前にマグロ丼、そして、ほうじ茶が好きな私はほうじ茶ラテ決めていたが、ランチセットはそれにデザートも付くらしく、ぜんざいを頼んだ。
マグロ丼も、ほうじ茶ラテも久しぶりで、美味しくて、あまり噛まないで食べてしまう私は、セットメニューなのにも関わらず10分で食べ終えてしまった。
ガチャガチャは出来なかったものの、私は誇らしい気持ちで学校へ向かった。
行動力のない私が、朝からひとりで観たかった映画を観て、好きなものを食べて、そのまま学校へ行った。
ものすごい達成感だ。
何よりも楽しかった。
行動を起こせば、何かしら楽しいことがある。
当たり前かもしれないが、普段何もしない私にとっては、大発見だ。
そして、朝イチで平日に映画を観る人は意外と多いことがわかった。
シニアが多かったが、中年、学生も多く、たまたまかもしれないが、女性が多かった。
そして、きっとみんな朝映画の常連なのだろう。
みんな行く前にトイレへ行き、エンドロールが終わった途端にすぐ出口へ向かっていた。
慣れている。
私なんてハンカチをしまって濡れた眼鏡を拭いて、上着をしまうか着るか迷ってなんてしていて、劇場にひとりぼっちになったくらいだ。
奥深い、朝映画。
朝映画はいいかもしれない。
また、朝映画をしよう。