空間の共有
山はもう寒いね
”そうだね このブランケット使いなよ”
ありがとう
”私が何も考えたくない時は大きな川を見に来るんだ”
どうして川に?
”静止している山の風景もいいけれど、絶えなく流れ続ける水流を眺めてい ると脳内の考え事が一緒に流れていくの”
そうね 確かにいつの間にか頭が空っぽになるわ
どれだけ大切な人を近くに感じても
人間同士の理解には限界がある
他人の心の100%を感じたくて涙する時も
他人に踏み込まれたくない自分のコアな60パーセントを守りたくて筋違いの怒りに包まれる時も
本当は分かっている
ただ、そんな頭の理解を感情が凌駕してしまうと
意識的に少し寂しい真実を遠ざけてしまう
繋がりたい
私の感情を独りぼっちにしないでほしい
多感な時期に心に居座り続けた手懐けられない透明な怪物
今は私の横で静かに寝息を立てている