【Le Coq & Fils】鶏そのもののおいしさに寄り添う料理
こちらで生活していると、情報が、刺激がびゅんびゅん飛び込んでくる。
色んなことをぐるぐる考える。
インプット過多だ。
吐き出すように書いていきたいけれど、ブログの更新が日々の出来事に追いつかない。
どうしても時差ができてしまう。
クリスマスなので、鶏のことを書こう。
クリスマスに食べたわけではない。
モンマルトルの鶏料理専門店Le Coq & Fils。
https://lecoq-fils.com/
ミシュラン掲載店。
ムーラン・ド・ギャレットがあった場所の斜め前。
ランチで2回行った。
フランスでは珍しいカウンターキッチン。
もちろん、奥にはテーブル席もある。
1回目のランチは、アラカルトで注文。
前菜というほどでもないが、まずは鶏のブイヨンをショットグラスで。
単なる出汁をシンプルにメニューに載せる。
ほほう。
たいした自信だともいえるし、チャーミングな遊び心とも思う。
くいっと飲み干す。
うん、まあ、これだけではようわからんな。
前菜を一瞬で飲み干して、やや手持ちぶさたに。
シェフの手際を拝見する。
これこそカウンターの醍醐味。
シェフはフランス系。
それ以外の調理はアフリカ系が担当。
たまにみるパターンだ。
みんなマスクをせずにばんばん話している。
カウンターの難点。
まさか料理人からの感染を警戒しなくてはいけないなんて。
メインはこちら。
シャラン産の鶏を焼いたもの。
110日間と書いてある。何の期間なのかはよくわからない。
110日間育てたっていうことなのかな。
薄い薄い味付け。
日本だと唐揚げや鶏南蛮のように味をどんどん足していくけど、こちらは鶏そのものの味をしっかり食べさせるスタイル。
がっつくような吸引力はないが、毎日食べられるような穏やかさ。
料理を作っている人がいかに鶏を知り尽くし、愛しているのかが伝わってくる。
付け合わせの根菜もとっても穏やか。
心が弾むおいしさ。
おいしいので、うっとりしてしまう。
昼なのに勢いに乗せられてデザートまで頼んでしまった。
洋梨のコンポート。
これまた極上の味。
水のようにすっと口に入るのだけれど、しっかりと存在感を感じさせる輪郭がある。
本当に料理がうまい人が作っているのがわかる。
気に入ったので、曜日を変えて再訪。
今度は昼の定食を頼む。
本日のランチはCOQ AU VIN。鶏の赤ワイン煮込み。
玉子のタリアテッレ添え。
これで18ユーロは安いと思う。2,000円と少しか。
モンマルトルを単なる観光地と侮ってはいけない。
ピガールの喧騒も、坂を少し駆け上れば別世界。
観光客が通り過ぎるのを横目に、こういうしっかりとした店がある。
隣の先客は、僕と同じ一人客の女性。
旅行者のようだ。
静かに食べていたが、会計時にスタッフと言葉を交わしていた。
「超オススメって聞いてやって来たの」だって。
ああ、同志だと思った。