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プロヴァンの中世祭
プロヴァンは中世の町並みが良い状態で保存され、世界遺産にも登録されている街。
毎年6月下旬にはフランス最大と言われる中世祭がおこなわれる。
ちょうどパリ滞在のタイミングと重なったので、行ってみることにした。
パリからは東駅発の列車に乗って1時間と少し。
小川が流れる、静かでこじんまりとした街。
イギリスの田舎町を思い出させる。
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旧市街全体が会場になっていて、12ユーロの入場料を払う仕組み。
年に一度の祭とあって、すごい人出だ。
そしてマスクなんて誰もしていない。
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中世の雰囲気をぶち壊さないように、プラスチック製のゴミ箱には「昔風」の布切れがかぶせてある。
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交通標識まで布切れで隠す。
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時代劇の撮影でもするかのような徹底ぶり。
手製の伝統工芸品が販売されていて、販売する人も伝統衣装を身にまとっている。
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さてさて、祭の目玉であるパレードがついに始まった。
中世の衣装を着た住民たちが昔の生活を再現しながら行進する。
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住民の皆さんはこの祭のためにかなりの時間をかけて準備してきたのだという。
終わったらもう来年のことを考え始めるのだろう。
1年の生活がこの祭を中心にまわっているのかもしれない。
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観察していてわかったのだけれど、パレードは決してこの街の中世の暮らしを再現するものばかりではない。
これはイタリアの街の旗で、演じているのもイタリア人とのこと。
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そしてこちらは伝統衣装を着た中国の人たち。
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つまり、プロヴァンの暮らしに限定せず、広く「中世」がテーマになっている。
ローカルな祭ではなく、「中世」を楽しむグローバルな祭というわけだ。
もう1つ興味深いのが、観客も仮装している人が多いこと。
街には貸衣装屋がいくつかあり、昔風の衣装を貸してくれる。
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だから王や姫の衣装をきた観客が農民の行列を見守るといった奇妙な逆転現象が起きている。
祭に参加する観客自身がパフォーマーとなって、祭を盛り上げる。
まさに参加型観光といったところだろう。
出店しているショップでは、手製でオーセンティックな伝統工芸品が売られている。
対照的に、パレードはどこかチープさが漂い、ディズニーランドを思わせる。
両者をつないでいるものは何なのだろうか。
いずれにせよ、考える材料をたくさん持ち帰ることになった。
収穫の多い小旅行だった。