パリの年末年始② よそ者は食いつなげるのか
クリスマスシーズンにパリにいると言うと、街は完全に閉まる、死んだように静まり返るぞ、そう聞かされてきた。
そう脅されてきた。
旅行者としては困るけれど、それはそれで見てみたい。
さて、ファクトチェックを。
左岸の中心街サン・ジェルマン・デ・プレの12月25日。
すれ違う人は少ない。
車も走っていない。
ショーウインドーに灯りは点いているが、店は閉まっている。
土曜日だというのに街が寂れている。
まるでロックダウンだ。
少し大げさに言ってみた。
実際のところ、これは一部の光景を切り取ったに過ぎない。
天気は良くなかったが、かなり暖かいこともあってか人出は多い。
リュクサンブール公園は家族や恋人、友人と散歩する人で賑わっている。
食料品をいかに調達するか。
いつもパンを買っているエリック・カイザー。
日本のメゾン・カイザーの本家本元だ。
12/24は早めに閉まって、12/25と12/26は休み。
それ以降は通常営業で1/1は休み。
冷蔵庫がわりに使っている世界最古の百貨店ボンマルシェは12/24は営業。
12/25と1/1だけ休みでそれ以外は通常営業。
ネットで調べるとライバル店のギャラリー・ラファイエットやプランタンも同様だ。
スーパーでは、モノプリは12/24は営業していていつもより早く閉まり、12/25は休み。
駅構内にあるモノプリの小規模店は12/25も営業。
カルフールも12/25営業。つまり基本的に休みなし。
まとめると、デパートやスーパーは、
12/24(金)までは営業
12/25(土)は休み
12/26(日)から12/31(金)まで営業
1/1(土)は休み
1/2(日)からは通常営業
というのが一般的なパターンのようだ。
こちらが思っていたよりも開いている。
旅行者にとってはありがたいが、労働者にとってはどうなんだろう。
さて、レストランやカフェはどうか。
これも脅された。
食べるところなんてないよ。
どこも特別料金でぼったくられると。
オデオンにある人気ビストロ。
12/25でもやっている。
写真を撮っていたら2階の女性がこちらに手を振ってくれているではないか。
こういうささやかな出来事がうれしい。
ドゥマゴやカフェドフロールなどの有名カフェは観光客や地元の人であふれかっている。
なんだ、意外に街は動いているじゃないか。
こちらは12/24と12/25は休業。
この店は12/24の昼まで営業して12/25と12/26が休み。
こちらは年末の特別メニュー。
普段なら最も高くて80ユーロくらいの店で、12/24は95ユーロの特別メニューのみ。
12/31は200ユーロのコースのみ。26,000円か。
こりゃ高い。
レストランでも思いっ切って休む店は12/20頃から年明けまで休んでいる。
開けている店は特別フェアでしっかり稼ぐようだ。
ちなみにイタリアでは12/31の予約キャンセルが相次いでレストランが悲鳴をあげているという記事を読んだ。
日本だと年末年始は、まともな店はほとんど閉まってしまうけれど、こちらでは開いている店は開いている。
レストランの休日は年末年始ではなく8月と2月が多いようだ。
旅行者としてみた年末のパリ。
12/24と12/31さえ乗り切れば、なんとか生きていけそうだ。
日本の年末。
旅行者としてみれば、どうなのだろうか。
よそ者も生きていけるだろうか。
そんなこと、初めて考えた。
旅をしているからこそ、思うこともある。