【Le Bel ordinaire】塩辛い左岸
今宵はLe Bel ordinaire Rive Gaucheへ。
https://www.lebelordinaire.com/
ムフタール通りをあがりきったところにあるミシュラン掲載店。
店名にわざわざRive Gauche(左岸)とあるが、右岸にも店舗があるわけではなさそうだ。
左岸らしさが売りということなのだろうか。
この日は朝からばたばたしていて、ディナーの予約ができていなかった。
最悪の場合はホテルの近くでちゃちゃっと済ませるしかないと諦めていたのだけれど、夕方ようやく手が空いたので、ぱぱっと調べてみたら、さくっと予約することができた。(オノマトペが多い。)
救われる思いで喜び勇んで店へと向かう。
メニューはこちら。
真面目なビストロという印象だ。
前菜はmulet(ボラ)のセビーチェ。
セビーチェはもともとは南米発祥の料理のようで、生の魚介にレモンをしっかり絞って、玉ねぎやトマトとともに食べる料理。
ボラはハマチのような食感。
ハマチほど脂は乗っていない。
酸味が強い。
とにかく酸っぱい。
酸っぱいだけであまりおいしい感じがしないのは、塩が利いていないからだろうか。
キウイの酸味は変化球としては面白いと思ったけれど、コリアンダが何のために入っているのかがよくわからなかった。
工夫をしようという心意気はわかるにしても、実験はキッチンで終わらせておいて欲しい。
トータルでおいしいとは思わなかった。
小さな帽子のようなかわいらしい袋にはパンが入っている。
メインには仔牛をとる。
仔牛では連戦連勝。
いまのところ外れはない。
最近はメインに魚ではなく肉をとることが増えてきた。
肉のほうが外れがないし、その店の味がわかる。
肉を喰らい続ける覚悟のようなものが出てきたのかもしれない。
皿が運ばれてくる。
前菜から一転して今度は塩が強い。
仔牛の塩漬けかと思うほど塩が利いていて、旨味を感じない。
食べ疲れる。
ソースは栗とフォアグラとのこと。
このソースにも塩が利いている。
葬式帰りのような気分になってくる。
付け合わせのキノコ類も味が強くて逃げ場がない。
お腹が膨れすぎないように、パンにはなるべく手をつけないようにしているのだが、この塩味ではパンに頼らざるを得ない。
パンが進む進む。
前菜は塩が足りない。
メインは塩辛い。
メインの塩分の半分を前菜に振り分けてくれていれば。
日本では夏場は汗をかくので、料理の塩分を多めにすると言うけれど。
寒風吹きすさぶムフタール通り。
凍えながら帰り道を急ぐ。
辛酸を舐めるという言葉があるけれど、今宵は塩をたらふく舐めさせられた。