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車を売るのが嫌になっちゃった話

このnoteに車の話なんて書くつもりは無かったのですが、今日はちょっとイレギュラーな事があって。
Amazonで先月買ったウイスキー。確認不足で定期購入になっていたようです。

毎月届いても困るのでとりあえず定期購入を取り止めて、なんとか消費せねばならぬと思い肌寒い時期のウイスキーはお湯わりで頂きます。

なんだか、定期購入に追われて消費する構図が今の車業界に似てるなーと思いながらこの記事を書いています。


毎月送られて来ても困る

私は車業界で20年ほど働いています。もともと車が好きな訳でもなく、車の販売と修理を通して人と関わる事が好き。
それなので車屋という職業は結構気に入っています。

けれど、ここ最近は車を販売するという部分に対して楽しみを見出せずにいました

リセールバリュー重視の車業界

希少性のあるものに値打ちがつく事は自然なことであり、プレミア価格が付いている車は昔からありました。
それ自体を否定はしませんが、最近の自動車業界はリセールバリュー重視が過熱しすぎて車は乗り物ではなく投資の対象に。
新車のアルファードが中古市場で新車以上の値をつけたなんて話は珍しくありません。
円安や新車の生産の遅れなど様々な要因で中古車価格は高止まりしています。

こんな事を言ってしまうと元も子もない話なんですが、車ってそんなに頑張って生産する必要ありますか?
乗り物としての車は日本では十分足りてると思うのです。
余剰の車が増えれば増えるほど国土が狭くなっていくと考えると、車は購入も生産も規制が必要ではないでしょうか。

この自動車の社会的費用は車に乗る人も乗らない人にも是非読んで欲しい一冊です。

自動車がいかに社会で優遇されているか、自動車に関連することで国民はどれだけの経済的損失を押し付けられているのか。

車なんて無駄に場所をとる物に本来の目的以上の付加価値をつけるなんて、なんて社会的にコストのかかる愚かな事をしているのかと珍しく世を憂いてしまうのです。

まあ、短くまとめるとウイスキーのお湯割りを飲みながら世の中を憂いて格好をつけたい訳です。僕みたいな人間は。

そのプレミア価格はどんな価値?

新車の販売も結局はメーカーが作った製品を小売店が売るだけの仕事。
お客さんが値切れば販売店の利益が減るだけで、それを防ぐために販売店は数字を複雑にしてはぐらかします。
安くするには仕掛けが必要です。ローンやリース、さまざまなパック商品を作って車を販売するという行為を膨らませて全体を分かりにくくします。

販売店によってはとにかく販売台数が欲しいので「数年後に売ってもほとんど値段が変わらない」などと半ば投資商品を売るような売り文句で商談をします。

もはや、何を売っているのでしょうか。

本音としては、半年後には高く売れたからと売られてしまうと、なんとも残念な気持ちになります。
売るのはお客さんの勝手なんですけどね。

しかし、ウイスキーのように熟成して上がる価値と短期の投資商材のように価格が上がっている今の自動車の価値の理由は全然違います。
今の自動車の価格の高騰は身近な自動車を使った投資商材としての販売だと認識した方が良いのではないでしょうか。

車の販売から車を使った体験を売る仕事へ

そんな事をここ何年か考えていましたが、先日車の購入に来てくれたお客さんから嬉しい一言が。
「せっかく買うならアンタから買いたい」
車屋を始めた頃のやる気にあふれていた気持ちを思い出させてくれた一言でした。

車を道具として利用する人の為に僕は車を売りたいし直したい。
こんな事を言っているから僕の店は一向に大きくなっていかないのですw
しかし、人口減少が確定している現代の車屋の役割は変わっていけなければなりません。
車はあくまでも道具です。お客さんの必要なシチュエーションに合わせた道具の使い方を提案する事で喜んでもらえるニーズはまだまだあります。それを行う為に今までの車屋の形に捉われる必要はありません。

生活の質を上げるような提案を車を通して行うこと。それは地方が直面している交通インフラの課題や、車の維持にお金がかかりすぎる現状。
車は個人所有という概念を解きほぐして行く事も面白そう。


これを解決するアプローチは私が現在行なっている公園を使った事業で人同士のつながりを利用したカーシェアリングや、来年に予定している宿の事業とレンタカーのセットや、旅行客を車移動が必要な質の高いレストランへ送迎する付加価値など、車を絡めてまだまだ面白い仕事が出来る。

車屋という職業はもっと熟成して様々な味へ変化させることが出来そうです。
そんな事を考えながらウイスキーのお湯割りを飲む連休最終日の午後でした。

おしまい


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