議員会館にロビイングに行ってみたら
noteでも書いてきた北陸新幹線京都延伸問題、先だって与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の高木毅委員長(自民党)が全工区で条件が整わなくても可能な工区で着工すべきとの考えを示したと京都新聞が報道してくれた。これは明らかに法令違反で無茶苦茶な話。
この問題、国会議員の中でどのくらいの方がご存知なんだろう?あまり知られていないうちに無茶苦茶に進められては困る!というわけで、6月7日に北陸新幹線京都延伸を考える市民の会の3名で東京まで資料をどっさり持ってロビイングに行ってきた。
京都から東京は遠いしお金もかかる。
だからなるべく国会議員さんが地元に帰ってらっしゃる時に関西の議員さん中心にお話に回れたらと思っていたけれど、参院選前で議員さんはみなさんとてもお忙しいそうだし「これは東京に行くのが早いな」と判断し、最初に無所属時代からのお知り合い、れいわ新選組の大石あきこ議員にメッセージをお送りした。
お忙しい中、7日なら確実に部屋にいる、とお返事いただき、続いて会の仲間の尽力で共産党・倉林あきこ議員、社民党・福島みずほ議員、服部良一幹事長とのアポも取れた。
川田龍平議員にもご協力いただき、衆議院環境委員会筆頭理事の立憲民主党・田嶋要議員の秘書さんにもアポが取れた。それで行こう!とバタバタ準備して出発。
地下鉄丸ノ内線・国会議事堂前で降りたら地下から雨に濡れずに議員会館にいけるようになっていて、国会議事堂の向かいに衆議院第一、第二、そして参議院の議員会館が並んでいる。
京都からは遠いから、ほぼ初めて。
社会見学みたいな気分になりながら入り口へ。
入り口で空港みたいな持ち物チェックがあり、その後、区役所みたいなテーブルで訪問議員ごとに書類を記入し受付へ。
受付で各部屋に確認の電話をされた。
それから入館証をいただいてまずは大石議員のお部屋へ。
大石議員と秘書の中島さんが丁寧に話を聞いてくださり、中島さんは要点をノートに取ってくださった。
「話は知っていたけれどこんな全長140キロのほとんどがトンネルだとは知りませんでした。これはえらいことですね。れいわは公共事業をすべて否定はしていないのですが、これはあきませんね。」
「そうなんです。公共事業をするなら防災とかグリーンリカバリーとかそんな方向に税金を使ってもらいたいです。こんな大きな環境破壊をして水涸れや陥没のリスクは計り知れません。京都だけでなく大阪の問題でもあり、吉村知事は推進派です。ぜひ反対の発信をしてください」
大石議員とそんなやり取りをして資料を託した。その後、全国会議員さんの分、700部準備してきた資料を地下の議員ポストにポスティングしたい旨をご相談したら、中島さんがご協力くださるとのことで一緒に地下まで行ってくださる。
けれど今、ポスティングは大変厳しくなっていて市民のポスティングは原則禁止だそうで秘書さんがポスティングするのも申請がいると職員さんに言われて、私たちが諦めかけたら中島さんが「上の事務所に話にいきましょう」と言ってくださり、職員さんに何とかならないかと相談してくださった。
結果、ダメだったのだけど、ポスティングできないことについては「なんでやねん?」と納得いかないながらも、中島さんの姿勢が素晴らしくて感動しながら参議院に移動。
最初は共産党の倉林議員のお部屋へ。
参議院は本会議の最終日でお忙しい中、秘書さんはニコニコと部屋に通してくださり、倉林さんが戻られるまでお茶をいただいて待つ。
京都でお会いしたことのある倉林議員は「お待たせ!久しぶり〜!」と帰ってこられ、さすがこの問題も熟知されていて、
「盛り土規制法案の修正案を今、頑張って出しているところ。建設現場で出る大量の残土の処分先が確保されるまで工事の許可を出さないよう法規制したい。北陸新幹線みたいな大規模な工事は残土の処分先が確定するまでできなくなる」
「国土交通委員の方々に会って話すのが効果的やね」
「自民党のPTチームの方にも私からも話しておきますけど会いに行って話しをすべきやね」
と具体的なアドバイスをくださった。
帰ってから調べたらこの盛り土規制法修正案は、共産党、立憲民主党、れいわ新選組、有志の会が共同提出されているようだ。
国会議員さんたちも動いてくださっていることを知って心強い。
知らなくてすみませんでした、、、。
ロビイングはポイントを絞って具体的に法整備の提言や政策提言をしていくのが有効なのだなと実感。
社民党の福島議員と服部さんは、社民党の政策発表記者会見の直後、お時間を取ってくださった。
「リニアについては現地にも行って地元の市民の方と一緒に動いてきたんですがこの件も同じ状況ですね、よく知っていなくてすみません。市民の皆さんも連携してくださって、それに連携して議員も動いていけたら」と福島議員。
またぜひ京都の現地にもいらしてください、とお願いをした。
そして資料をポスティングしたいことをご相談したら、福島議員の秘書さんが尽力くださってこちらは衆議院より緩やからしく、全議員さんのポストに投函することが出来た。
衆議院会館2箇所と参議院会館を行ったり来たりして、14時過ぎに参議院会館の食堂で参院選ラーメンを食べていたら、京都から電話。
「自民党高木議員の部屋に『環境影響評価を待たずに工事云々』発言に対する質問状、届けて」と。
こちらはアポを取っていなかったけれど、質問状をお渡しするだけだし、ということで1階の受付でアポを取ってもらう。
受付の方が「質問状をお渡ししたいそうです」と電話をしてくれて、「どうぞ」と入館証をいただき向かう。
入り口のインターホンを押すと女性が出てきて扉を半分しか開けず、顔を覗かせて、強い口調で
「ダメダメ、そんなの受け取らない、帰って」と言われた。
しばし唖然、、、。
「え?市民が質問状を持ってきているのですが受け取らないんですか?」
「だってアポ無しで突然来てダメよ」
「他の議員さんには事前にアポ取ったのですがそれはお話をする時間の相談で。こちらには質問状のお届けだけでしたから受付でアポとりましたけど。」
「なんでうちだけアポ無しなの」
「だからこれをお渡しするだけですから1階の受付でそのようにお伝えして入れていただいているんですよ」
「急に来てもダメよ」
「アポ無しだから受け取らない、ってことですか?私たち京都から来てるんですよ。私たち3人の後ろには3万筆の署名をされた府民がいらっしゃるんですよ。みなさん自分たちの町がどうなるか心配しているんです。それをアポが無かったと言って受け取らないんですか。あたながた公職ですよね、国民がわざわざ足を運んできたのを門前払いするんですか。そんな対応をされたと公表することになりますよ」
「またそんなこと言う、もう。なんなの?あなたたち誰なの?どこの人?私じゃ判断できないしダメ」
「受け取るだけ受け取るべきじゃないですか?お返事するしないは議員が判断されたらいいでしょう。受け取らないのはおかしくないですか」
というようなやり取りをした挙句、両者にらみ合うような形となり、結局、彼女は受け取らずに扉を閉めた。
怒りというようりは面食らって整理ができないまま帰ってきた。
帰ってきてから日本国憲法を開いてみたり国会法を調べてみたりした。
憲法第三章第十五条には
『公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。公民の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。』
とある。
「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」というのは現在は、私たち市民が我が行政に対話を求めたり意見書を提出したりする際によく聞くあの言葉を連想させる。
「一部の方のご意見だけお聞きするわけにいきませんので」というやつだ。
「一部の方のご意見だけ聞くわけにいかない」のなら、どうしているかというと、選挙で選ばれた議員が決めているというわけで、
「民主的な選挙で選ばれ信任を得ていますので」
となる。
「民主的な」選挙の投票率は40パーセントを切ろうとしていて、民主的かどうか怪しい。
全体の奉仕者であろうとすると、それは現実には大変難しいことで、かなり綿密な仕組みが必要だし、仕組みを維持行使するための教育が必須だと思われる。
今のところ、全体の奉仕者だよ、という理念だけがあって仕組みが抜け落ちているのではないだろうか。
国会であれ地方自治体であれ、一個人(これも全体の中の一人であり、つまり全体に含まれるはず)が意見を伝えたい時は、請願や陳情書や意見書を利用するようルール化されている。
それでも不十分な時に、市民はデモや署名や座り込みや今ではSNSで対抗する。
もう一つ、有効なのがロビイングだろう。
企業や団体だけでなく昔から多くの市民が議員会館を訪問してきたのだと思う。
けれど(昨今、日本でも政策提言をするロビイストが職業になりつつあるようだけれど)それとは別に、草の根の市民運動がロビイングをして、意見が通ったり政策に盛り込まれたり、法制化した例はどのくらいあるのだろう?
民主主義という曖昧な理念だけが声高に教えられてきたけれど、それを行使するための仕組みが無いのではないか?
そもそも仕組みが無い中で市民はえらく苦労してきたのではないか?
国民主権という大切な理念も、現実に機能しているとは言えないし、「主権者ある国民の声をしっかりと聞きなさい」とはっきり明記した法律も私は見つけられなかった(あったら教えてください)。
議員会館は巨大で、堅牢で、ほどほどに高級感があった。
あそこに入る時点で権力を手に入れたと実感する議員は少なくないだろうと想像する。
建築は権威と結びついていると改めて実感。
建物自体をもっと民主化できないだろうか?って、、、わが町の市役所は改築が終わったところだ。
困ったなあと思いながら目に浮かぶのは大石さんや中島さん、倉林さんや福島さんの姿で、地方自治を自分たちの町でなんとか作っていけたらと思うと同時に、国政に関しては信頼できる人に議員になってもらうことがほんとに大切だなと実感。
そもそも選挙制度が変だし、全体であり一人である国民の声を聞くのに政党は本当に有効なのかな?という疑問はあるけれど。
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