⑨落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話
2回目のライブ後、店長とマネージャーから演奏力の低さを指摘された。
指摘されなくとも、文化祭での同級生のライブ、Nodaxのライブからも俺たちは明らかに下手だとわかっていた。
ケンスケ「そうはいっても、今結構いい感じじゃね?こうやってイベントにも呼んでもらえてるし、また呼んでくれるって中々ないよ?」
ユウジ「それはそうだけど。。。」
ユウジは頑固だ。ケンスケは少し呆れていたけど悩んでいた。
演奏力が無いのは俺とユウジだ。
特にユウジが作ってきた曲に関しては、レベルを下げたギターアレンジにしてもらって俺が弾いていて、ユウジは歯痒かったはずだ。
だから、ユウジがドラムをやめたい、と言ったのは自身のドラムの下手さだけではない。バンドに対する思いもそこにはある。
俺は反対することはできなかった。その権利を持っていない気がした。
だけど、こういう時に決めなきゃいけないのも俺だ。
ユウジは時折末っ子の日本代表なんじゃないかというぐらいワガママで頑固だ。
ケンスケはそのバックボーンから兄貴的な面があるけど、最終判断は「お前らが決めろよ」というスタンスだった。でも、最後まで面倒みるよ、みたいな。
挟まれる次男の俺。
もしこれでユウジがギターになると、俺がドラムになるのか?それは余計に演奏力が下がるから無し。
てことは、ドラマー探して、俺がピンボーカルか。別にボーカルやりたくて初めてないけど、演奏力からして俺がボーカルだろうなぁ。
1つだけはっきりしているのは、バンドを止めるという選択肢は誰もなかった。
俺は考えるのが面倒になって
「とりあえず、ドラムが見つかるまでユウジやってよ。見つかり次第、ギターをやるってことで」
と解決してるようで何も解決してない答えを出してその日は終わった。
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