Atary

音楽に関する物語と日々の雑感。物語は実話を元にしたフィクションです。

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最近の記事

⑨落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話

2回目のライブ後、店長とマネージャーから演奏力の低さを指摘された。 指摘されなくとも、文化祭での同級生のライブ、Nodaxのライブからも俺たちは明らかに下手だとわかっていた。 ケンスケ「そうはいっても、今結構いい感じじゃね?こうやってイベントにも呼んでもらえてるし、また呼んでくれるって中々ないよ?」 ユウジ「それはそうだけど。。。」 ユウジは頑固だ。ケンスケは少し呆れていたけど悩んでいた。 演奏力が無いのは俺とユウジだ。 特にユウジが作ってきた曲に関しては、レベル

    • ⑧落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話

      Nodaxはシンプルな4ピースパンクロック。SEにも使ってたゼリ→の影響を受けてるのか、コーラスでシンガロングできるスタイルだ。ボーカルはチバユウスケから影響を受けたであろう、髪型と声の出し方だった。それでも可愛らしい顔立ちのせいか、本人のオリジナルのように見える。 途中、ランシドの曲をワンフレーズだけぶっこんできた瞬間、その遊び心に俺とユウジは拳を突き上げていた。 ただ、これだけじゃない。 Nodaxはうまい。特にドラム。 見た目はギャル男か?と思ったけどな。 後

      • ⑦落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話

        女子アジカンみたいなバンドが始まった。 ギターロックにがなるボーカル、みたいな。 なんと形容していいかわからない。俺はなんとなくメンバーそれぞれの「自分かっこいいでしょ?」みたいな雰囲気が好きになれなかった。 そういや、ギタリストの吉沢とユウジはどんな関係なんだろう?と気になって周りを見てもユウジはいない。 ユウジは極端に自分の過去の話をしたがらなかった。俺とケンスケが中学の友達の話をしても、笑って聞いてるだけで、エピソードらしいエピソードは一つも聞いたことがない。

        • ⑥落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話

          文化祭から数日後、タケ君からCDをもらって、俺たちはいつものカラオケ部屋で聴いた。 音は良いとは言えないけど、初めて録音した俺たちの曲に興奮した。 そして、俺は2人にジャケットは証明写真を使おうと提案した。 俺たちなりの文化祭に対する抵抗だった。 フォトショなんて当時も今も使えないから、ワードで「CAWLING LARGE」「バックドロップ」の文字を印刷してそれらを目を隠すように貼り付けて、ジャケットは完成。ピストルズの真似をしたジャケット。先輩達もよくやってた。

          ⑤落ちこぼれバンドやるってよ

          初ライブを無事に終えた調子ノリに留まるところはなく「デモCD必要だよなー」という俺の意見でレコーディングをすることとなった。 しかしここでユウジが「レコーディングスタジオでやる自信がない」と言い出した。 俺はケンスケと説得を試みたけど、俺もあんまり上手くできる自信がない。レコーディングってどうやるの? すると「じゃあ、俺の先輩に聞いてみるよ」とケンスケがどこかに電話をかけた。 「タケ君、お疲れさまです。あの、俺たちレコーディングしたいんですけど、まだレコーディングスタ

          ⑤落ちこぼれバンドやるってよ

          ④落ちこぼれ、バンドやるってよ

          俺たちは落ち込みながらいつもの練習場所に向かった。 俺は「あいつら見る目ねーな!とくに青フレームのやつ!」と悪態つきながら、ユウジに習ったばかりのハイキックを出した。 全然足があがってなくて、2人が爆笑してた。つられて一緒に笑いながら一通り文化祭実行委員の悪口を言いあった。 落選した理由は3つ。青フレームの山岸さんは一切悪くない。 まず大きな理由は「三年生優先」というものだった。これは仕方ない。三年生にとってはラストチャンスだから。 2つ目は、ライブは体育館のステー

          ④落ちこぼれ、バンドやるってよ

          ③落ちこぼれ、バンドやるってよ。

          エントリーにはデモテープとメンバー写真が必要だった。 デモ音源は無理矢理pcにマイクを挿して録音した。ゴイステとグリーンデイの二曲。みんなでマイクの位置を試行錯誤しながらやった。 写真は証明写真機にみんなで顔つっこんで撮ったものを提出した。 本当は東京タワーで撮ったんだけど、カメラ屋に持っていったら現像することができなくて、そのままカメラ屋の前にあった証明写真を撮った。 俺たちは「衣装どうする?」とか「タイミング合わせてジャンプしようぜ」とかもう受かった気分でいた。 夏

          ③落ちこぼれ、バンドやるってよ。

          ②落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話

          前回のつづき。 俺とユウジに加え、ケンスケが加入することになった。一応バンドが結成された瞬間。 ケンスケは不良だったけど、どこかオシャレなやつだった。着こなしが上手で同じ制服でも「なんか違う」感があった。お母さんが美容師をやっていてオシャレだった。その影響があるのかもしれない。 そんなケンスケが二つ返事で俺たちの誘いに乗ってきた。今なら理由はわかる、彼は彼なりになんとかして2回目の2年生を楽しもうとしていたんだ。 結果から言うとクラスメートとは大して仲良くはなれなかっ

          ②落ちこぼれ同級生でバンドを組んだ話

          落ちこぼれ同級生でバンド組んだ話

          『ゲージュツなめんな!』 汚い映像に映る俺はたしかにそう言っていた。 俺の高校には芸術学科というものがあった。ゲージュツと呼ばれていた。俺もそこにいた。 特別進学、進学、普通、総合芸術。これは入学時に選ぶものが普通だと思うけど、俺の高校では、学年をあがる時に別の学科に進級するという生徒も少なくなかった。 1年生普通→2年生から進学(特進)がよくある。先生から「良い大学に行くためにレベルをあげたらどうだろう」と言われて決める生徒がほとんどだ。そこまで直接的に言われるかは

          落ちこぼれ同級生でバンド組んだ話