寝台列車『WEST EXPRESS 銀河』に乗って熊野の世界遺産の温泉『つぼ湯』に入ってきた②〜朝の銀河と熊野編〜
ローカル線で行く、一人旅好きの秋野あき子です。
2024/7/22〜7/24にかけて、京都駅から寝台列車のWEST EXPRESS 銀河に乗って和歌山県へと向かい、世界遺産の温泉『つぼ湯』に入ってきました。
この記事は〜京都と夜の銀河編〜のつづきです。
目が覚めると列車は停車していました。夜の間は和歌山駅から紀伊田辺駅辺りまでゆっくり進んで、しばらく停車する模様。寝ているので列車が動いているのか停まっているのか私にはわかりませんでした。隣でほ◯やんが姿勢正しく寝ています。彼女、以前我が家に泊まりにきた時も姿勢良く寝ていたのが印象的で、タオルケットもミイラよろしく身体にピタッと張り付いているので笑ってしまいました。いやかわいいんだけども!
フリースペースに行ってみましたが、まだ海沿いの景色ではありませんでした。6時半ごろようやく海が見えてきます。
串本駅に到着すると周遊バスで「橋杭岩」という名所に連れて行ってくれます。(別料金かかります)
こんな風にわずかな時間でも、各駅付近の名所に行けるのが嬉しいですね!和歌山駅の和歌山ラーメンしかり、ただ電車で通過するだけではなく、ちょっとした観光気分を味わえるのもこの寝台列車の魅力ですね〜。
串本駅で停車中、事前予約しておいたお弁当をゲット。朝から豪勢にいただきます!
和歌山ラーメンや串本の弁当はいずれも事前予約が必要なので、JRおでかけねっと公式サイトを熟読することをおすすめします。他にもイベント情報などもりだくさん載っていますよ。
流れるこんな景色を見ながらの駅弁は格別。けれど徐々に銀河の終わりが近づいていることに気づき切なくなります。
無情にも時は流れ、銀河はゆっくりと新宮駅へと到着。一晩の銀河鉄道の旅は終わりを迎えます…。
約12時間の銀河鉄道の旅でしたが、本当にあっという間でした。振り返っても、あの憧れの寝台列車に本当に乗ったんか??と思うくらい夢のような時間でした…。ちなみに今回は南紀ルートの夜行に乗りましたが昼行きもあります。昼行だと車内でのグッズ販売が充実しているとのことで、昼行も乗ってみたいところです。
ほ◯やんも心なしか寂しそう…「絶対山陽コースも乗りたいッ」と新たなる決意も口にしていました。わかる。
銀河とはお別れしてしまいましたが、旅はまだまだこれから!
さてさて、これから向かうのは
・神倉神社
・熊野本宮大社
・湯の峰温泉「つぼ湯」
です。
和歌山県といえばやはり「熊野詣で」ですね!
壮大な自然の中で生まれた熊野信仰…現在ではその信仰の側面としての風習が廃れつつあっても、古の人たちに思いを馳せて、自分と大切な人の幸せを願って熊野詣でに行くのも素晴らしいことではないでしょうか。
さて、まず最初に向かう神倉神社ですが、熊野信仰の発祥地とされ熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に祀られる熊野権現が最初に降臨したとされる霊言あらたかな神社です。
なんか凄そう!ご利益ありそう!そんな軽い気持ちで神倉神社行きを決定した私達が後ほどあんな地獄を見ることになろうとは、この時は知る由もなかった…。
早速市内バスで神倉神社のふもとまで向かい、降りた停留所からしばらく歩いてふと山の方を見ました。
「ね、ねぇ、もしかしてアレじゃない?」
「え??ま、まさか」
震える私の声に動揺を隠せないほ◯やん。
今から登るのか!?あそこに!?この酷暑の中!?
二人の間に迷いが生じました。階段を登ることは事前に調べてわかったいましたが、どう見ても崖の中腹。大暑の候、滝汗流るる背中。完全に下調べ不十分です。
石段は五百数十段にも及び、しかもこの石段も熊野古道の一部なんだとか!昔の参詣者たち凄すぎィ!!石段はだんだんと階段のテイを成さず、ごろごろの岩が積み重なっているだけの状態に。傾斜も中腹へ向かうほど急になっていきます。もはや手を使わずには登れない、ロッククライミング状態でした。中腹で高齢の男性が休憩しており、「ここが中間地点や、もうすぐ楽になりますよ(どういう意味??)」「私?毎日ここを往復してんねん」と人外のお言葉をちょうだいしつつ、ゼハゼハ言いながらやっとこさ頂上まで登りました。
半泣きになりながらも来て良かったと心から思えたのは、この荘厳さと美しさを目の当たりにできたからでしょうか。古の人々がこの神の宿る岩をありがたがってこの険しい崖を登った気持ちがわかる気がします。
二人で遠巻きに岩を眺めていると、Tシャツ短パン姿で頭にねじったタオルを巻きつけた地元のおじいさんが近づいてきました。
「あんたら御神体を触ったんか?触らんと力は得られんで。ついておいで」
そう言って、崖をカサカサ駆け上がっていきます。一度下山しかけた私たちだったので「また登るのォ!?」と戸惑いつつおじいさんの後について行き御神体のすぐ下まで辿り着きました。
「ええか?御神体に触れながら名前と住所を名乗って願いを言うんや」
地元のハイパーじいさんのおかげで御神体からとんでもないパワーを得た私達。この旅が最高の思い出となることを確信しつつ下山します。しかしこの下山の方が恐ろしかった!何しろ崖なので、お尻をつきながら一つ一つ石に足を踏みしめて降りなければならない。
じいさん「降りるコツはな?下を見んことや。次に足をつける石だけ見て降りること」
そんなアドバイスを忠実に守り、やっと下山。
もうこの時点で私たちのライフは0だったのですが、せっかく熊野に来たのにここで諦めるわけには行きません。次は熊野本宮大社へと向かいます。幸い新宮駅からバスで約1時間ほどかかるので、バス内で休憩もできますし。
バスはだんだんとうねる山道を進みます。私もほ◯やんも気がついたら寝ていて、いつの間にか熊野本宮大社前へと辿り着いていました。
かつてこの大斎原のイチイの巨木に三体の月「スサノオノミコト」「イザナミノミコト」「ハヤタマノオノミコト」が降臨し、ここに社殿が建てられたのだとか。のちの明治時代に大洪水に見舞われ、この大斎原から500mほど離れた現在の他に、熊野本宮大社が建てられたという歴史があるそうですよ。
まともな階段とは。
ついさっきまでロッククライミングしていた我々にとって、どうということのない階段でした。
神々を拝礼し、なんだか清らかな心を得た私たち。ちょうどお腹も空いたので、隣の「瑞鳳殿」にある「茶房 珍重庵」で昼食をいただきます。清らかな心を得たとて、空腹は必ず訪れるのです。
この「もうで餅」はこしあんをつきたてのお餅で包み玄米粉をまぶした和菓子だそうです。素朴ながら上品な味わいでお抹茶とよく合います。「水もうで」はわらび餅バージョンですね、どちらも美味しかった。
茶房のすぐ隣にはわりと大きめのお土産屋さんがあります。熊野の旅のお土産はここで調達できました。
さて、この後はいよいよ世界遺産の温泉「つぼ湯」へと向かうわけですが、ほ◯やんがずっと「秋野さん、熊野古道は歩かないんですか?」「お土産も配送にしたんでしょう?熊野古道歩けますよね?」「熊野古道歩かないつもりですか?」と熊野古道推しムーブメントをかましてきます笑 さすが若い。
当初の予定では、熊野本宮大社から「大日越コース」という熊野古道を約1時間かけて歩き、湯の峰温泉まで行くプランも立てていました。しかし大暑の候、熱中症にでもなったら大変だということで、バスで向かうプランも立てていたのです。そして午前中は神倉神社でのロッククライミングの洗礼を受けて当然私のライフは0だったので、ほ◯やんには申し訳ないですが「頼む…私は無理や、バスで行かせてくれぃ」と懇願し、バスで湯の峰温泉へと向かうことになったのです。ごみんね、ほ◯やん。
ちなみに大日越コースですが、
歩けるかぁ😭
そんなわけでバスで湯の峰温泉へと向かいます。
熊野本宮大社前のバス停から約20分ほどバスで揺られ、湯の峰温泉へと到着。
湯の峰温泉ですが、開湯1800年の日本最古の湯とされています。四世紀ごろに熊野の国造、大阿刀足尼(おおあとのすくね)によって発見され、後に歴代上皇の熊野御幸によってその名が広く知られる様になりました。古の人々は熊野詣の旅の途中、湯の峰で湯垢離(ゆごり)を行い、聖地での禊ぎと旅の疲れを癒しました。日によって七回も湯の色が変化するといわれている天然温泉の岩風呂「つぼ湯」は参詣道の一部として世界遺産に登録されています。(熊野本宮観光協会公式ホームページ丸々引用)
ついに世界遺産のつぼ湯と対面できた喜びに旅の疲れも吹き飛びます。しかしこのつぼ湯、世界遺産なだけあって整理券を購入し順番を待たなければ入れないほど有名なので、まず宿で荷を下ろし身支度を整えてから世界遺産に裸で入らせていただきたく思います。
ここでほっと一息です。荷を下ろし、腰を落とすと猛烈に疲労が込み上げます。時刻は16時頃。素泊まりプランなので、すぐ近くの湯の峰食堂いう唯一の食堂兼売店で夕食をとる予定となっています。それまでに付近を散策し、つぼ湯に入ります。身体を横たえたほ◯やんを容赦なく起こし、タオルと財布を持って散策に向かいます。私ら修行しに来たんかというくらい足を使う旅となりました。
宿の露天は貸切なのでまた後ほど楽しむことにして、まずは散策散策〜♪
ということで、つぼ湯の記事だけでみっちりになりそうです。