枯葉のような男 銀化の俳人006 彌榮浩樹
俳句結社『銀化』に集う個性ある優れた俳人たちの秀句を鑑賞していきます。第6回の今回は『銀化』第一同人・彌榮浩樹の一句を鑑賞します。
照りつける西陽の下、イーストウッド扮するガンマンに銃口を向けられて顔中脂汗のメキシカンハットの悪党どもは、季節に譬えるなら差詰め晩夏か。
だが、イーストウッドだけはいつ如何なるときもシープスキンのベストにブーツとポンチョという冬仕様。そして、風と共に何処からともなくやって来て、また何処へともなく風に吹かれて去ってゆく。まさに枯葉のような男、それがクリント・イーストウッドなのだ。
「佳句なのか凡句なのか、それすら判らない」——銀化入会前の体験句会で初めて彌榮俳句に触れたときの、それが僕の第一印象だった。鑑賞はおろか、取り付く島さえ無かった。だからこそ、この結社で俳句を学び直したいと心を決めた。
「俳句は意味じゃないんだ」——独特の写生、鮮烈な譬喩とともに、彌榮俳句はいつも僕たちにそう語りかけてくる。(了)
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