空區地車の力学90.健康寿命と地車
先般、健康診断で胃カメラと内視鏡検査を行なった。
胃カメラは口からカメラを入れて胃を診る。内視鏡はお尻の穴からカメラを入れて小腸を診る。
検査3日前にはお腹の中の食べ物や便を取り除くため、食事制限が始まる。うどん、お粥、豆腐など消化に良い主食に、デザートはバナナかプリン。
もちろん完全禁酒だ。つらー。
いわば胃&腸内洗浄で、すっかりカラダは軽くなり、脂気もなくなった。体重も減って、空腹感を味わうことになる。
担当医からは「ポリープがあれば取り除くので1泊2日の入院になるかもしれません」と言われていたが、案の定入院となった。
4人部屋で高齢者ばかり。もちろん私も高齢者なのだが皆さん私よりも10歳以上パイセンだ。同室の3名は食事の介護が必要な方々でほぼ寝たきり。
昼間は静かなのに、夜半を過ぎる頃にはこの病室に限らず、開け放たれたドアの向こうから奇声が聞こえてくる。
奇声のたびに目が覚めるが「みんな生きているんだ」としみじみ感じる。
健康寿命とは、日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。つまり、自分の足で自分の行きたい所に行き、自分の歯で飲み食いできる期間をいう。
カーテンの向こうで奇声を発するパイセンは、健康寿命を過ぎていると思われるが、意識はあり確かに生きている。若い時には考えもしなかったが、こうして入院すると健康寿命の大切さを実感する。
私は若中の世話役の中ではまだまだ若手だ。70代、80代の年寄り連中がゴロゴロいる。いずれの方々も日焼けして色艶もよく、健康寿命の真っ只中といってもよい。健康サプリメントのCMに出てくるエキストラ達よりも遥かに若い。肉体以上に気持ちが若い。
この気持ちの有り様が維持できるのは、1年にわずか2日間だけではあるが明らかに祭りに起因しており、長寿の秘訣となっている。
酒好きの私ですら祭りに備えて
①食事や飲酒に気を使い
②適度な運動をし
③睡眠とストレスの解消に心がけ
④定期的に健康診断を受けている
今回の検査動機のひとつが、地車参加であることは言うまでもない。
祭りは神事である。人と神をつなぐ接点だ。
神は人々の祈りを受け止めて、人にチカラを与えてくれる。言い換えれば、祈る者がいなければ神はその姿もチカラも現すことができない。神と人が共鳴し合うための起爆装置のスイッチこそが祭りであり、神は共鳴者として人を選び、人に生命を与えたのではないかとすら思える。
1年にわずかに2日間、されど2日間。
祭りが生き甲斐となり、参加するために健康であろうと私も含めて若中連中は祈り、健康のための様々な手立てをとり、そうして得た健康寿命に感謝しながら、祭りに興じる。