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大統領の料理人ーフランス料理讃歌!ー

 彷蜃斎です。映画「大統領の料理人」を観ました。
 この映画については、色々感想めいたことを記さずに、主人公が納得した上で作り上げたフランス料理の数々をできるだけ、登場順に紹介していくだけにしたいと思います。なぜなら、異論があるかもしれませんが、彷蜃斎にはこの映画の主役は料理(しかも、ヌーベル・キュジーヌではなく、伝統的な昔ながらのフレンチ)だと思われるからです。

〈Ⅰ〉
スコットランド産サーモンとロワールの人参のファルシ
「ファルシ」というのは「詰め物」という意味ですが、どうやら和製フランス語のようです。こんなサイトを見つけました。https://celebstyle.jp/p/lifestyle/gourmet/17751/
 サント・ノーレ
 有名な通りにちなんで名付けられたケーキのようですが、作中では主人公オルタンス・ラボリの祖母のレシピに従ったネネ(ネネとはフランス語で祖母のことです。)クリームを使っているようです。「グレーテルのかまど」で再現した模様。
https://www.nhk.or.jp/kamado/recipe/124.html

〈Ⅱ〉
アスパラガスとチャービルのポタージュ・スープ
 
 チャービルというのは、なんでもパセリに似たフランス料理ではおなじみのハーブらしいです。
牛フィレ肉のパイ包み焼き 
 https://cookpad.com/recipe/3696628
ジロール茸のクリーム煮
 ジロール茸は、日本ではあんず茸とも呼ばれる文字通りあんずに似た酸っぱい香りが特徴。クリームとの相性が良いようです。
赤いベリーのタルトとピスタチオのヌガティーヌ
 タルトはご存じの方が多いと思います。ヌガティーヌは水飴や砂糖をキャラメル状に煮詰めて薄く伸ばしたものですが、このデザートは赤と緑の配色が食欲をそそりそうです。

〈Ⅲ〉
トリュフとボルチーニ入りマカロニ・グラタン
 この映画は主人公オルタンスが、大統領の専属シェフをやめた後、南極観測基地の料理人になるのですが、一年間に及ぶ仕事の最後の一日と大統領の料理人だった二年間が、フーガのように交互に描かれます。このメニューはその昼食です。ちなみに、トリュフは交代要員が持参した新鮮なもので、ボルチーニ(茸)はフリーズドライとのことです。

〈Ⅳ〉
仔羊のロースト
 https://cookpad.com/recipe/6542154
ジュリアのじゃがいも
 おそらく、上の料理の付け合せだと考えられます。ちなみに、「ジュリア」とはオルタンスの祖母の名だというセリフがありますので、〈Ⅸ〉の「おばあちゃん風」と同義だと思われます。
チーズ(アラビスのとも?)
 何度聴き直しても、「チーズはアラビスのとも」と聞こえるのですが、具体的には分かりません。ご存知の方がおられたら、ご教示のほど、お願い申し上げます。
マリメロのゼリ
「マルメロ」とは、別名「セイヨウカリン」とも呼ばれる果実のようです。
https://cookpad.com/recipe/1516521
ペ・ド・ノンヌ(尼さんのオナラ)
 揚げシューの砂糖まぶし、子供の頃よくおやつに食べた揚げたさつまいもの砂糖まぶしを思い出します。クックパッドからの引用ばかりでは、芸がないので、シュー記事のレシピも検索できるURLにしました。
https://recipe.monteur.co.jp/rp/details/00684

〈Ⅴ〉
美しきオーロラの枕
 映画中、大統領の子供の頃の愛読書エドワール・ニニヨン著「フランス料理讃歌」に記された料理のようで、「フランス料理讃歌」と思われる書籍をオルタンスが「子牛と豚肉の赤身の背脂、ブレスさんの雛鳥と若鶏のレバーと胸肉、山鶉と牛の骨髄をみじん切りにし、それぞれの詰め物を分けて分けて、ブイヨンで煮込み、パイに包んでオーブンでじっくり焼く」と読み上げます。
洋梨の?
 洋梨のコンポートのように思えるのですが、最後に赤紫色にみえるソースのようなものをかけているのです。これが何なのかは謎です。

〈Ⅵ〉
雛鳥のスープ煮(?)

 https://plaza.rakuten.co.jp/purupuru777/diary/?ctgy=14
クランブル
  もともとは、イギリス生まれのようです。
 https://cookpad.com/recipe/2663868

〈Ⅶ〉
ロワール川とその支流(ただし、家庭料理風?)
 このネーミングは個人的につけたものです。もともとは、大統領が年に一度、毎年5月に開催する一族恒例の昼食会の料理を依頼されたオルタンスが、メニューを考える上で、打ち出した基本コンセプトに由来します。今回に限り、合わせるワインにも言及があります、言うまでもなく全てロワール産で統一されています。残念ながら、何年ものかまでは分かりません。
フォアグラに白のコトー・デュ・レイヨンのジュレ&ヴーヴレ(おそらく白ワイン)
 「コトー・デュ・レイヨン」というのは、ワインの銘柄ですので、要するに白ワインのジュレということだろうと思います。
コーンのパン
 コーンのパンとはいえ、「スパイスのパンに似せ、ガレットのような端をサクサクに」というオルタンスの要請に応じて、窯焼きパンのレシピをアレンジし、とうもろこし粉を三分の一、蜂蜜とサフランを入れ、オーブンではなく敢えてパン焼き器で焼く、さらに仕上げに今度はオーブンで表面にだけ焼き色を付ける。その時間がなんと45秒キッカリという助手でパティシエのニコラ渾身の作です。 
ナント産エスカルゴのカスレット&(ディディエ・)ダクノーのシレックス(白ワイン)
 「カスレット」というのは、小鍋という意味で、シュー皮を器にしてカスタードクリームに果物などを詰めてキャラメルで蓋をしたもののようです。今回は果物の代わりにエスカルゴを入れたようです。
 「シレックス」は有名なピュイ・フュメに出自をもつ天才ディディエ・ダグノーが創出した新興ワインのようです。が、この物語の時間軸がミッテラン大統領の時代をモデルにしているようですから、彷蜃斎の解釈は間違っているかもしれません。
メイン:シャラント風スープ(ヒラメとイカのスープ)&クレードセラン(白ワイン)
 あさイチ(2015年7月7日)で再現された模様 https://www.osarai-kitchen.com/nhk/nhk
ロシュフォール風ジョンシュ 
 作中、「凝固乳に月桂樹の香りをつけ、巻き簾で水分を切ったフロマージュブランのようなもの」と説明されています。ただし、最終的にこれはメイン厨房からのクレームでメニューから削除しました。
チーズ
 「山羊と羊」とオルタンスが指示しますので、ロワール産に限定した場合、山羊は「モール・ド・トゥーレーヌ」をはじめ何種類かありますが、羊となると調べても確定できません。
フコー兄弟のクレード・ジャール
 クレード・ジャールが何かは不明です。フコー兄弟も不明。最初はワインの醸造家かと思ったのですが、ググっても分かりませんでした。

〈Ⅷ〉
トリュフのタルティーヌ&シャトーラヤス69年度もの(赤ワイン)
 タルティーヌというのは、要するにオープンサンドのことですが、ここではトリュフバターをパンにぬり、薄切りトリュフを載せたものです。 
 シャトー・ラヤスについては次に示すURLで、1998年物を試飲し、「黒砂糖を思わせるどこか暖かみのある甘い香りと、みずみずしいバラのような香りが重なった、非常に華やかな印象の赤ワイン」と記されています。また、そこではこの映画に登場するその他のワインに関する言及もあります。「http://www2c.biglobe.ne.jp/~hitoshi/vino55.html」

〈Ⅸ〉
フォアグラのタイ風スープ
 タイ風というのは、要するにパクチー、レモングラス、さらにナンプラーが入ったもののようです
鴨の甘酢仕立て
https://www.gourmet-world.co.jp/shopping/?page=show_review&prod=81&review=3608   
サルラ風ポテト
 サルラ風とは、トリュフの産地ペリゴール地方のジャガイモ料理のことを指すようです。
サントノレおばあちゃん風
 サント・ノレは〈Ⅰ〉と同じ、おばあちゃん風というのは〈Ⅳ〉のジュリアに同じです。ジュリア風とは、パイ生地を使わず、シュー生地とクリームだけ作るというのが、おばあちゃん直伝のレシピのようです。映画の最後にでてくるもの(同時に南極で最後に作るデザートでもあります)が当該のデザートかと思いますが、とにかくでかい(!)という印象です。そのせいか、オルタンスが南極基地を去るにあたって、挨拶しているにもかかわらず、我慢しきれず、食べ始める輩がいる始末。それだけ、美味しそうだったのでしょう。
 このメニューは、実は映画の冒頭近くで披露されるものですが、料理そのものは最後に映し出されるので、ここにおいた次第。

〈番外〉
ローヌ風牛肉のマリニエール&じゃがいも添え

 「マリニエール」は、漁師風という意味で、白ワイン、魚のだし汁、エシャロットを加え、バターを加えたもののことを指すようですが、ここではオルタンスによって「脂肪分の少ない牛の腕肉をココット鍋に入れ、玉ねぎと肉を重ね、タイムと塩を振る。これを繰り返し最後は玉ねぎで終わる。これを弱火にかけ煮込む。その後肉をとって、肉汁にアンチョビを入れ、これを一時間煮込む。」と説明されます。
 番外編としたのは、オルタンスが大統領の健康と経費節約という二重の制約下で考案した苦肉の作のようで、彼女が本当に作りたかった料理ではないように思えるからです。
 結果的に大統領が食したかどうかも作中では判断できないことでも番外編とした理由の一つです。これ以外にも数種の料理が出てきますが、料理の過程が描写されているだけで、出来上がりが推測できないもの、ほぼ確実に大統領が口にしていないと考えられるものなので、具体的に記してはおりません。


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