皆川達夫氏に寄せて
皆川達夫氏の逝去に哀悼の意を表します。
直接の面識やご縁はないのですが、20代にルネサンス作品に傾倒していた私にとっては「どの本を読んでも氏の名前がある」という状態で、ずっと影響を受け続けていたことを思い出します。
著書「合唱音楽の歴史」は私の好きな本です。通常の音楽史の本だとどうしてもバッハ以降に力点が置かれてしまうのですが、本書は音楽の起こりからバッハ以前の項に相当のページ数を割いており、特に多くの譜例を伴ったルネサンス・バロック期の充実具合は合唱人にとっては喜びとしか言いようがありません。気軽に読み返すにはあまりにも重厚な本ですが、折々に手に触れておこうと改めて思いました。
楽譜の監修やコラムも多くありますが、ハーモニー誌に寄稿していた「ルネサンスポリフォニー合唱曲を歌うために」という記事は、プロボルツィオとムジカフィクタについて詳細に書かれており、コピーして何度も読み返しました。今でも手元にあります。
仕事のない日曜の朝にラジオ「音楽の泉」がかかり、私はそれを布団の中で眠気と戦いながら聞いていました(あまり真面目には聞いていませんでした、スミマセン!!!)。
今はルネサンス・バロック期の作品に触れる機会が減ってきましたが(少しはある)、氏から得た知見が血肉となって音楽に現れますように。