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柿次郎さんに会いに行った話 その1

2021年9月24日、普段人から連絡の来るはずのないメッセンジャーに一通のメッセージが入っていた。

「柿次郎さんが京都に行くので、もしタイミングが合えば宮本さんとお茶したいとのことです」とのことだった。

これはやばいことになるぞと思った。

この柿次郎さんという方は株式会社Huuuuの社長であり、webメディア「ジモコロ」の編集長でもある方で、「今後、ファーマー(農家)って名乗りたいなぁ〜」とさらっと言うような、とにかく面白くてかっこいい大人である。

翌日の17時に京都のLen (ゲストハウス&カフェバーラウンジ)でお茶をすることに決まった。

僕は絶対に遅れてはいけないと14時には京都に到着し、緊張で心臓をバクバクさせながら時間を潰した。レコードプレーヤーも持っていないのにレコード屋に入り、レコード盤を物色したり、CD屋にも行った。もちろんCDプレーヤーも持っていない。

ところで、どうしてそれほど緊張することがあるのかと疑問に思う方もいるだろうが、何を隠そう僕はHuuuuの正社員募集に応募し、落ちた者の一人なのである。柿次郎さんに憧れ応募していたのだ。これから京都も拠点にして活動されるということは知っていたので、京都に来られるときは絶対に連絡をして会ってもらおうと意気込んでいたのだが、どういうわけか連絡をいただいてしまった。これほどありがたいことはない。そりゃあ緊張もするだろうと納得していただきたい。

時間になり、緊張で重たくなった足を持ち上げ待ち合わせ場所へ向かうと、店前の喫煙スペースで数人とタバコを吸っている柿次郎さんが見えた。
「うわやべー、ほんまに行っていいんかな。なんてお話したらいいんやろ」と、緊張から訳のわからないこと考えはじめていた。「落ち着け、すごい人やけど相手も人間や。話せばなんとかなるぞ」と、なんとか自分を落ち着かせ、覚悟を決めて向かった。

「初めまして、宮本です」と挨拶をし、同じ場にいた方々に僕のことを紹介してもらい、僕はくいしんさんいっしーさんを紹介してもらった。

そこでは現在進めている事業の話や、これから始まるイベントの話などを聞かせてもらった。目の前のかっこいい大人たちが話す、僕の知らない世界のレベルの高い会話を理解することにとにかく必死だった。

Lenではコーヒーを一杯いただき、買い物をしてから近所のバーでお酒をいただくことになった。

「京都の面白い人たちがいる」と聞いていたので、また少し緊張しながら向かうことになったのだが、お店に入ってみるとまたもや気さくでかっこいい大人たちばかりで少し安心した。

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Photo by いっしーさん

お酒をいただきながらいろんな大人たちのお話を聞かせてもらった。人生の深い話を聞き、沢木耕太郎の「深夜特急」を語り合い、ときには「宮本!柿次郎にこれ言ってきてみ!」と野球部時代を思い出すような無茶振りもさせられた(上の写真はそのときのセリフを告げられているときの写真)。

仕事をバリバリして、自分がしていることを人に話す大人たちがすごくキラキラと僕の目には映っていた。そして同時に、何も話せるような武器がない僕の心の中には少しザラザラしたものがあった。かっこいい大人に出会えた喜びと、自分がまだ何者でもない悔しさが混在していた。

結局、5時間ほどバーでお酒を飲み、ベロベロになった僕はそのままタクシーに乗って柿次郎さんの家で寝させてもらうことになった。飲み代もタクシー代も全部出してもらって、さらに家に転がり込むなんて我ながらかなり厚かましいなと思う。

フラフラとよろけながらシャワーを浴びさせてもらい、布団に入った。

屋根が少し動いているように見えるなか、はっきっりとした意識で「今日のこの気持ちは絶対に忘れたらあかんで」と自分自身に語りかける。

夢のようだった一日を振り返りながら今日は眠ることにした。


おかげさまでいつも楽しくやらせてもらってます。ありがとうございます! これからもどうぞよろしくお願いします。