ウールとエール
仕事終わりに飲む1杯のビールは最高。
でも、仕事が終わった後でわざわざ立って飲まされる意味がわからない。
働くおばさんはそう思うのですよ。
駅のところにできたことは知っていたけれど、クラフトビールはやっぱりちょっと高いし、その上立ったまま飲まなきゃいけないなんて…と、まだ一度も入ったことがなかったお店、新しく誕生した一宮の地ビールの尾州ブルーイング。
でも、ちょっと待てよ?一度も行ったこともないのに文句ばかり言ってちゃいけないよねと、ふと思った夕暮れ時。思い立ったらまっしぐら。
早速帰りに寄ってみました。
「は・じ・め・て・です」と顔に書き、ガラスの引き戸をそっと開けると、すかさず私の顔面を読み取った男性スタッフが
「当店は初めてですか?」
と声をかけてくれ、「はい」とこたえると置いてあるビールについてさらさらっと説明をしてくれました。
最近はIPAビールがお気に入りの私、ここで作っている3種類の中からまずはRED IPAを飲んでみることにしました。
「ビール好きな人はこれをたのまれますね」
と、ビールをサーブしてくれたそのにこやかな顔には「クラフトビールのことなら、き・い・て・く・れ」と太字で書いてありました。
「やっぱりビールは飲まれるんですか?」
と聞いてみると、30代のスタッフは
「僕はもう、飲みます。大好きです」
とうれしそうにこたえてくれました。
この業界を渡り歩いてきたそうでクラフトビールについて本当に楽しそうにあれこれお話ししてくれました。
しばらくすると、さっき私がしたような仕草でドアを開けて1人の女性が入ってきました。
家族の用事でたまたまこちらに来ているというビール好きの方でした。
「どれを飲まれてるんですか?」
「私はこれを」
「じゃあ、私はこれを」
初めて同士の見知らぬ2人とビール好きのスタッフとまだ二十歳でビールはよくわからないというバイトスタッフで、ビール1杯分の短いひと時がとても楽しい時間になりました。
サクッと1杯、立ち飲み、これは有りですね。
そう思った働くおばさんなのでした。
さぁ、今度はどれを飲もうかなぁ。
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