「社員をゲームでつなげる会議室」を企画した話
新オフィスに「ガッツリゲームができる会議室」を置く
そんな夢のような話が僕(松井)に舞い込んできたのは、2022年1月のこと。
概要ドキュメントに記載された社長メッセージを読んで、僕のモチベーションは最高潮に高まっていた。
同年8月に移転を控えていた新オフィス。
そのテーマは「たのしさダイバーシティ」に決定した。
freee社員が多様性と自律性を大事にしながら、みんなでワクワクしながら働ける場所。
出社制度が再開するにあたり、freee社員がもっと「出社したい」と思える場所。
そのような場所にしたいという想いがそこに込められていた。
そこで新オフィスには、「コンセプト会議室」と呼ばれる「○○ができる会議室」シリーズが設置されることになった。
料理ができるキッチン会議室
DIYができる会議室
駄菓子が食べられる会議室
パーティができる会議室
など
そのラインナップの中に「ゲームができる会議室」も含まれており、その企画を僕が担当させてもらえることになった。
今回は、そんなゲーム会議室が誕生するまでの経緯や、オープン後の活用状況などについて紹介していきたい。
この記事を読んだ方が、少しでもfreeeに対して「どんなオフィスか見てみたい」「こんなオフィスの会社で働いてみたい」と思ってもらえたならこれ以上の喜びはない。
「カルチャーとしてのeスポーツ」
ゲーム会議室の話が来た時、僕は「チャンスだ」と思っていた。
というのも、実はこの会議室の話が来る前からずっと、僕はゲームを媒介とした交流活動に真剣に取り組んでいたからだ。
中学時代から好きなゲームのファンサイトで交流を広げてきた原体験を持つ僕は、今も「ゲームには人を繋げる力がある」と信じている。
そういう背景もあり、freeeにおいても以下のような活動に取り組んできた。
レトロゲーム(FC~64あたり)の対戦を通じて社内交流する部活「ファミコン部」を立ち上げ、その部長をしていた
同僚と「スマブラSP」の企業対抗大会に出たことをきっかけに「スマブラ部」を立ち上げ、社内外で交流戦を重ねてきた
もともとfreeeは昔からゲーム好きが多く、ゲームに関する情報交換グループも継続的に盛り上がっていた。
そのようなカルチャーも手伝って、ゲーム系の部活は一定の盛り上がりを見せていた。
この頃、少しずつ自分の中で浮かんでいたのが「カルチャーとしてのeスポーツ」というキーワードだった。
テニスやゴルフなどの「スポーツ」が人の繋がりを生み、深めているように、「eスポーツ」もまた広く開かれたカルチャーになり得るはずと考えるようになっていた。
コンセプト会議室のテーマにゲームが選ばれたこと、その企画担当として松井に声をかけて頂いたのは、上記の盛り上がりを見てのことだったらしい。
とても光栄であると同時に、これをきっかけに社内のゲーム交流文化を更に花開かせたいと感じるようになった。
社内SNSですぐに集まった企画メンバー
さて、そんなこんなで始まったゲーム会議室の立ち上げプロジェクト。
せっかくなら色んなジャンルのゲーム好きの声を集めて企画していきたいと思い、社内SNSのゲームチャンネルに声をかけてみた。
そしてそのコメント欄にて、この企画に興味がある人を誘ってみると、早速3名がコメントをしてくれた。
こうして集まったメンバーと一緒にゲーム会議室の具体化を進めることになった。
僕がずっとプレイしてきたスマブラだけでなく、3の発売を控えたスプラトゥーン、TPSとして大きな盛り上がりを見せているApexなど、様々なゲームに関する知見が集まることになった。
コンセプトは「部室のような場所」
その後、コンセプトはすぐに浮かんだ。
「freeerが業後にゆるく集まれる、部室のような場所」というものだ。
ゲーム好きの良いオトナが学生のように「おい、この後あの部屋でゲームしようぜ」と声を掛け合うような場所。
それを帰りがけに見かけた人が、思わず観戦・参戦したくなる場所。
つまり、ゲームガチ勢は思い切り楽しめる一方、ゲームにちょっと興味があるくらいの人も気軽に出入りしたくなるような場所を目指したいと考えていた。
そこで、こんなレイアウトを提案した。
奥側の対戦席はガチ勢向けのスペース
ゲーミングチェア、ゲーミングディスプレイ、Switch Dock、ヘッドセットを4つずつ設置。
スプラトゥーンなどをプレイする際は4台1チームで使う。有線とBluetoothを同時接続できるヘッドセットを常備し、ゲーム音と通話両方をクリアに聞き取れる環境を実現。もちろんネットは有線接続。
スマブラなどをプレイする際は、折りたたみ椅子を使うことで2人対戦×4組を実現できる
手前の観戦席は、気軽にエンジョイしたい人向けのスペース
各対戦席と同じ映像をスイッチャーで切り替えながら大型ディスプレイに移すことができ、ソファやカウンターでくつろぎながら観戦できる
こちらにもゲーム機を接続でき、Switchでパーティゲームを楽しんだり、PS5の最新ゲームや、ミニファミコンのようなレトロゲームも気軽に楽しめるように設計
他にも、以下のようなこだわりを詰め込んだ。
会議室としても使いやすいよう、対戦席のディスプレイはモニターアーム式にして動かせるように
大型ディスプレイはオンライン会議システムも利用可能
あらゆるゲームのグッズやポスターを設置してゲーム好きにとって居心地が良い空間に
そして、照明にもHueを導入して、部屋の雰囲気をガラッと変えられるようにする仕組みも導入した。
これは裏話だが、ここまでこだわりを詰め込んだので裏側の配線がとんでもないことになってしまった。
これを完璧に実現してくれたパートナー企業の方には感謝しか無い。
そして最後に会議室の名前について。
freeeでは会議室の名前にバックオフィス関連用語を取り入れてきた歴史があり、ゲーム会議室がある18階の会議室名は「人事労務系の用語」で固めることになっていた。
そこで様々な用語を並べながら検討した結果、
人事労務にもゲームにも出てくる用語で、
かつ最高の設備が整っているワクワク感を表現できる言葉として、
「ボーナス」という名前を付けることにした。
完成したゲーム会議室、その後の盛り上がり等
以上の内容を3ヶ月ほどで(!)固めて着工。
そしてそこからまた4ヶ月ほどで(!!)新オフィスおよびボーナス会議室が完成するという、驚異的なスピード感でオープンに至った。
(新オフィス自体の移転がかなりの短期間で実現したプロジェクトだった。詳しくはこちらの記事を参照)
実際のボーナス会議室の様子がこちら。
オープン後は様々な層に利用されるようになっており、例えばスプラトゥーン勢は3発売後からほぼ毎週のように使うようになっているし、僕が所属するスマブラ部の活動も頻繁に行っている。
僕自身、一人のユーザーとしてこの会議室をガッツリ使っているが、ユーザーとしても使い心地は抜群で、狙い通りになって良かったと安堵している。
また、桃太郎電鉄のようなパーティゲームの予定もちょこちょこと入っていたり、スマブラやスプラトゥーンの対戦をふと見学しに来る人がいたりと、カジュアル層からの受けも良さそうだった。
ちなみに室内に置いてある各種グッズは社内公募で集めたものから厳選しており、そのリクエスト者からも感謝&興奮のコメントが寄せられたのも嬉しかった。
オンラインコミュニティも同時に立ち上げ。ハイブリッド型のコミュニティへ
またこれを機に、freee社員&OBOG向けゲームコミュニティもdiscord(ゲーマー向けのチャットサービス)に立ち上げることにした。
上記オンラインコミュニティへの参加導線はボーナス会議室内にもQRコードとして掲示。
同じゲームのファン同士がオンラインで繋がり、対戦の約束を取り付け、ボーナス会議室に集合する。
そのような流れが定着すると良いなと考えている。
「ムーブメント型チーム」というカルチャー
さて、ボーナスことゲーム会議室誕生の経緯を振り返ってきたが、freeeがここまでコンセプト会議室に本気を出している理由がある。
それがfreeeカルチャーの一要素「ムーブメント型チーム」だ。
まさに今回のプロジェクトはこの要素が色濃く反映されていたと思う。
freeeは今、ユーザーに「統合型経営プラットフォーム」という体験を届けることをビジョンとして掲げている。
「統合型」とはつまり、あらゆるモジュールがまるで一つのように統合されて、シンプルでシームレスに業務を完結できる体験を指す。
それを実際に届ける上では、組織におけるセクショナリズムが阻害要因になりやすい。
組織は構造としては「分断」されているので、各組織のOKRを優先してしまうだけでは、アウトプットとしてのサービスが「分断された体験」になってしまうということが起こり得るからだ。
そのような組織課題の解決は全社を挙げて取り組んでいるが、結局それを解決するのはコミュニケーションの量と質に他ならず、そのためには組織の壁を超えた心理的安全性が非常に重要となってくる。
freeeはそれを仕組みだけでなく「たのしさ」でも解決していこうとしているということだ。
一見遠回りなアプローチのように見えて、実はこれが一番の近道なのではないかと僕自身は考えている。
かくいう僕自身も最近ビジネス部門から開発部門へ異動したが、ゲームを通じて多数のエンジニアと交流してきたこともあり、異動後はスムーズにチームメンバーと関係性を築くことができた。
つまり「たのしさ」をきっかけとしたつながりの効果は、身を持って実証済みなのだ。
人と人が繋がるきっかけは「スポーツ」でも「飲み会」でも「ゲーム」でも何でも良いが、そういうきっかけが生まれる機会の門戸ができるだけ広がっていることが重要なのだと思う。
組織のつながりを強固にしていきながら、その力を持ってユーザーに価値あるサービスを提供しているfreee。
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