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天城燐音の田舎の本家の長男坊思考がしんどい



家父長制スタイルから抜け出してくれ天城燐音〜!!!!!


あんさんぶるスターズ!!のメインスト公開当時、ふせったーで公開していた呻きを加筆修正したものです。


メインスト公開時、その言動で色んな議論をかもしていた天城燐音。

自分の頭で考えて、選択して、善と悪を考えろ。他人から与えられた思考をそのまま受け取るんじゃねえ。


そう繰り返し主張する姿は、問題児でもあり、ある種の指導者でもあり、うるさい頑固オヤジのようでもあり、生徒指導の先生ぽくもあり。ストーリーを読むごとに、天城燐音、めちゃくちゃ田舎の本家の長男坊思考だな…ひしひしと痛感したので以下からその呻きです。※私個人の話とかも含みます。



天城燐音、どう足掻いたって、天城村(仮)の次期当主っていうフィルターを抜いても田舎の長男なんですよ。


昔のテンプレ的な価値観ですが、田舎って基本お墓の相続とか、家族の面倒って長男が見るもの。学校出たら早々に仕事して、早々に地元に帰って、いい嫁貰って、子を作って、墓を引き継いで…みたいな。

令和3年の今でもそういうザ・田舎の長男坊(あるいは長子)の人生を社会とか、家族から求められてる人、一定数いると思う。田舎でなくても、都会でも。


天城燐音は、そのテンプレ人生を用意されてることをちゃんと知っている。知ってるからこそ暴れているし、自分の人生として歩む覚悟あるんだなっていうのがキツいな…ってメインスト公開当時思ってた。


なんというか、これもすごく主観的で、私が実際そうってだけですが、田舎から出てきた人は都会での生活=ある種のモラトリアム期間として過ごす、みたいなところありません?
高校、あるいは大学は地元じゃないところ選んで、卒業式したら地元に帰るパターンがそれかなあと思う。
天城燐音も似たようにいつか帰る時がくるから、その日が来るまで都会で暴れてる。

天城燐音って21歳じゃん。 21歳ってさ、大学卒業が見えてくるころじゃないですか。都会とか大都市の大学に進学したのに地元で就職しなさいよ、あんた長男/長女なんだから、って言われてる位の年。
学校っていうシステムを抜け出して、未知の社会に対してどう向き合う?って1番考える頃だと思うんです。

だからこそ刹那的なきらめきが見えてクソしんどい



天城兄弟の故郷が現代生活とかけ離れてるの、あんまり作中でハッキリ言われてないですがかなり家父長制が根強いところだと思うんですよね(君主制云々のやつとか)
現代社会でいうなら、昭和1桁生まれ〜団塊世代あたりの価値観が1番近いのかも。

その辺の世代によくある話で
・親戚にも大学院に行って研究所に入れたのに、長男だから40過ぎて地元に戻ってきた
・長男だから高校卒業してすぐ就職して下の兄弟達の学費を工面する、俺が弟たちを大学に行かせた
・長男だから小学校までしか行けなくて下の兄弟をおんぶして家畜の世話しながら音読の声を真似した

これは全部私の親戚の話ですが、似たような話をちょこちょこ聞いたりします。

私の地元、というか親の故郷ですが、地域に信号機もないし、未だに木製の電線柱立ってて天候が荒れれば1ヶ月に1回貨物船がギリ運行するみたいな田舎なので極端な例ばかりですけれど。


でも今でも、長男なんだから、長女なんだから、1番上なんだから、地元にいつか帰って来ることを他の人より強く言われてることはあると思う。
そしてそれをいちばん自由で社会の枠組みから外れてそうな燐音が選んだうえで、ブンブン暴れ回ってるっていうのが、もう…何???


私も田舎者なんですが、都会って全てにおいてめちゃくちゃ選択肢が多いところなんですよ。着る服、コンビニの種類、外食の種類、遊びに行くところ、交通機関の種類、乗れる本数とかね。
そして自分で自分にフィットするものを選べるって結構うれしいこと。
コロナで外食や遊ぶ場所が制限される世の中になってしまいましたが、「選択の制限」って結構しんどい。選択肢があるうれしさってそういうことです(抽象的すぎんか?)


あの故郷で過ごす人生よりも沢山ある喜びが都会にはある、って知ってしまったら、結局自分がそこに根を張れなくても惹かれてしまうんだよね。
誘蛾灯みたいに都会の光には憧れてしまうし、限りある時間の中で思う存分その快楽を消費したいと思ってしまう。


燐音の快楽主義みたいなとこはその反動でもあると思うんですが、だからといってそれが他のアイドルたちを誹謗中傷する大義名分にはならないんだよな。
でも残りの燐音の人生で敵意や憎悪を自分にちゃんとぶちまけてくれる人って、あの時会場にいた、アイドルやファンくらいしかいないのかもな。好きの反対は無関心というから。

圧倒的な敵意・憎悪はその対象を認識しているからこそ起きるものだと思うので、やっぱり複雑だなあ。
でも、仮にあの後ニキと故郷に帰っていたら、燐音の人生ってどれだけ味気の無いものなんだろうと思う。


大多数の人間(というか家の人間)の幸福を願うなら、誰もがやりたくない家の棟梁、君主の条件を生まれながらに持ってきた本人がやるのが一番いいんだよね。自分の夢も希望もクソもなくなるけど。
そのぶん自由な身の下の子にはちゃんと好きなことを見つけて好きなことにまっすぐひたむきに生きててほしいっていうのわかる。

同じ血が流れてるだけだけど自分の分身みたいに夢を託しちゃってるんだろうな
一彩くんに弟として純粋に生きててほしいと思うと同時に、都会で生きる自分の幻影を重ねてそうだなあ。
故郷で君主となったあと、ほろ酔い気分で小さい息子に、むかし絶縁した弟の話を聞かせる天城燐音、辛いから見たくないです。


天城家から勘当したら一彩くんは都会でしか生きられない。それでもアルカロイドのみんなが寄り添ってくれるからちゃんと都会でも生きられる。
それが天城燐音にとっての正しいことだけど、一彩くんの正しいこととは少しズレている。そのズレがなんとも愛しいな…と思いました。



そして一彩には自分がアルカロイドのみんなと過ごす事で得られた幸福や楽しみが、お兄ちゃんにも同様にあったことに早く気づいてほしいよ!!!!!(メインスト完結で気づいてくれてよかった)
これからも、天城家の次期当主としての天城燐音じゃなくて、一個人の何の肩書きもない天城燐音の人生において正しいことがなんなのか一緒に見つけてあげてほしいな………
だからこそ、燐音はめちゃくちゃ自分で選択することを重要視してるんだと思う。


まとめると燐音くんの主張は簡潔に行ったら選挙権があるのに選挙に行かないのは税金をドブに捨ててるのと同じみたいなアレです。以上!




【余談】
『kiss of lifeは「起死回生」の意味とおり劣等生から一等星にかけあがるアルカロイドのメンバー全員の曲だけど、「人工呼吸」の意味をとるなら、一彩にとって偶像に成り果て、自分の知ってる君主としての兄を生き返らせるための曲でもあるんだよなあ…』

ってメインスト更新されてすぐ呟いたけど、今思うと燐音と一彩の立ち位置全然違うなあって思う。
天城燐音自らアナフィラキシーショックを起こして木偶のように自ら選択できずにいる一彩くんに「目を覚ませ」って発破をかけて、そこから蘇生しアイドルになる一彩くんの歌だと思います。

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