トロピコ6 / Tropico6 DLCどれ買えば良いの問題について
発売から5年が経過してもいまだに新しいDLCが発売され続けている息の長いタイトルですが、年単位で遊び続けている濃いプレイヤーの多いParadox作品やシヴィライゼーション、Cities: Skylinesなどと違って継続して遊ばれている方が少ないため、日本語での情報があまりにも乏しく自分自身が購入の際に困ったので書き残しておきます。
先に結論から書いておくと、本編を楽しんだのでどれかDLCを買ってみたい、もしくはこれから本編を遊ぶのでDLCも買ってより楽しみたい/楽をしたい方は"New Frontiers(ニューフロンティア)"から購入することをおすすめします。
本作は他のシムと違って「DLCは発売順に買い集めるのが基本で、MOD等は全DLC所持を前提として作られている」というようなことはなく、それぞれ独立したDLCを好みに応じて使い分けてねという形式になっているのが特徴です。
どのDLCもゲーム全体にわたって広範な影響を与えるものではなく、基本的には設定されたテーマに沿った追加要素を楽しんでくださいねという形になっていますので、気になったものだけ購入すれば問題ありません。
また、DLCごとに追加されるミッションのボリュームが異なるため、サンドボックスモードに興味のない方はご注意を。記載がないものは追加要素のチュートリアル的なミッションが1つあるだけなので、ミッション目当てで購入するとおそらく物足りないです。
以下発売順に紹介していきます。
The Llama of Wallstreet / ラマ・オブ・ウォールストリート
バニラよりもダイナミックな輸出入の相場変動。
具体的にはバニラでは外交関係に応じて+30%~-50%程度の範囲で変化していた輸出入価格がより大きく変動するようになります。
これにより倉庫に備蓄した物資を相場が高いときに売り抜くといった遊び方ができますが、トロピコ6はシリーズでもっとも容易く資金を稼げてしまうタイトルなので、恩恵があるかというとかなり微妙ではあります。
追加産業施設のおもちゃ工場はなかなか便利です。
小規模なDLCですが、PC(Steam)でトロピコ6本編をこれから購入される方はセール時であれば数十円で手に入る点がポイント。
Spitter / スピッター
旧Twitter(自称X)そっくりなUIが追加。
各派閥リーダーや海外からやってきたセレブたちが垂れ流す不平不満に社交辞令的いいねを贈って親睦を深めよう。
スピットに対する返信で派閥の支持率を上下させられるほか、セレブにいいねを連発すると屋敷に住みこんでトロピコのために働いてくれるようになります。チョロい。
ただし、観光をある程度伸ばしていないとセレブがトロピコにやってこないため、基本的には観光向けのDLCになっています。
恩恵は大きいですがSpitterに張り付いてセレブにいいねをし続けないとご機嫌を損ねて島から出て行ってしまうのが玉に瑕。
タイムラインを眺めているだけで島の状態がなんとなくわかるのが楽しく、私のお気に入りのDLCです。
Lobbystico / ロビィスティコ
政治腐敗(汚職)に関するシステムが追加。
各派閥リーダーに対して逆ロビー活動を行うことで支持率を自在に操作し、トロピコを真に操ろう。
これ自体は便利で面白いのですが、同時に追加される"腐敗"というステータスがやっかいで、スイス銀行の口座が動くたびに腐敗が蓄積し、経済や自由度に対して強烈なペナルティを課せられることになります。
具体的には収入のほぼ半分が腐敗に吸い込まれることになるため、裏金を稼ぎたい場合は長期間の赤字に耐えられる預金を国庫に蓄え、破産が見えてきたらクリーンな国家運営に戻すという形になるかと思います。自由度ペナルティによってゲリラが暴れるため、その間は観光もほぼ機能しません。
裏金を自在に溜め込んでやりたい放題できることがトロピコ6の特徴で楽しい部分なのですが、本DLCは導入で受けられるメリットよりもその部分に制限を課されるデメリットのほうが大きく(そもそも支持率は裏金でどうとでもなるので)不評を集めてしまっているようです。
ゲームの難易度が低すぎる点は私も同感なのですが、このDLCは制限のかけ方があまり面白くないかなという印象。総じてバニラでは簡単すぎて物足りない方向け。
なお、購入したDLCは使用するか否かを開始時に切り替えることができますので、その点はご安心を。
余談ですが、残念ながらキャンペーンの日本語の吹き替えが用意されているのは本DLCまでで、以降の音声は英語のみになってしまいました。
おそらくこの時点で国内販売をしていたスクエニからカリプソによる自社販売への移行が行われた影響でしょう。7でも江原正士さんの吹き替えが聞けるとうれしいのですが、ご本人の年齢的なところもありますしどうなるかわかりませんね。
Caribbean Skies / カリビアンスカイ
貨物空港とドローンによる物流強化。
空輸により離島や僻地の開発に革命が。
これにより僻地や離島にある資源を空路で高速輸送し、生産拠点を本島に集める都市設計が効率化します。生産のボトルネックになりがちな金やニッケルをスムーズに運べてたいへん便利。
加えて運送業者によるトラック輸送以外で唯一物資を運搬可能な物流ドローンが登場。
うまく使えば非常に便利ではあるのですが、全てのルート設計を手動で設定する必要があるため運送業者を雑に増やすのと同じような感覚では使えず、加えてUIが微妙に扱いづらいのがネック。
とはいえドローンの生産にこれまで船にしか使えなかったアルミニウムを使えて過剰分をそこそこの価格で輸出できますし、急所の物流ルートだけドローン輸送を使うこともできるため何かと便利。
サンドボックスで街を作りこむプレイスタイルの方にも刺さるのではないでしょうか。
これまでのDLCと違い、前作トロピコ5のようなストーリーの連続した5ミッションからなるキャンペーンが付属しているのもポイント。
巨大隕石衝突の憂き目にあったトロピコを救うべく、過去にタイムトラベルしてマッドな3博士の協力を仰ぎつつ隕石を撃墜する施設を作るという謎に壮大なストーリー。ついでにまたしても立ちはだかるウィンダム卿とも戦う。ついでに。
10時間超のボリュームがあって私はとても楽しめたのですが、メインタスクの達成に多大な手間がかかる(自由な開発がしづらい)パズル色強めな内容なため、好き嫌いがかなり別れるところだと思います。
Festival / フェスティバル
資材を消費して短時間周囲の施設にブーストをかけられるフェス施設を追加。
花火と風船を打ち上げて退屈を吹き飛ばそう。
フェスのブースト効果そのものは大きいのですが、数か月程度で終わってしまい次は数年後なので使いどころがなかなか難しい。
利用コスト自体はたいしたことがありませんが、選挙対策や各種ミッション達成のために使う以外は効果が実感しづらくやや微妙。
先述のドローンと同じく見た目には楽しいので、なんとなく使えれば良い方向け。
一方でカリビアンスカイと同じく5ミッションからなるキャンペーンも追加され、こちらはかなり楽しめました。
火山に眠る"退屈"の化身が世界を襲い、仲間のパーティメガネと共にまたしても過去にタイムトラベルを行って世界を救う謎に壮大なストーリー。このお約束のノリが好きなんです。
フェス以外の追加要素が少ないのでキャンペーンを遊びたい方向けのDLCかなと思います。
New Frontier / ニューフロンティア
ロケットを組み立て、火星へ飛び立とう。
宇宙開発と近未来の先進技術をテーマにした施設の数々。
とにかく強力かつ楽しい施設が大量に揃う筆者イチオシのDLC。
特に"大気浄化施設"があまりにも強く、全てのDLCの中でもっともゲームに与える影響が大きいです。
「汚染から資源を回収する」と言うとゴミ処理施設と似た役割かと思ってしまいますが、こちらはなんと消費・生産した鉱物資源をほぼ全量"複製"するトンデモ施設。
都市部にはリサイクル資源が豊富に存在することから大都市を都市鉱山と呼んだりしますが、大気中から膨大なミネラルを取り出すさまはそれどころではなく、もはや錬金術。
建設可能になる冷戦時代以降はこれを建てるだけで経済が完成してしまうため、少々興を削がれてしまうレベル。飽きたら封印しましょう。
追加される施設の数が多く、そのどれもが強力なため挙げればキリがないほど。
5ミッションからなるキャンペーンも付属しており、月面着陸を捏造したトロピコは事実がバレて世界から糾弾されるもやがて実際に火星に…というストーリーが展開されます。
先述した2つのDLCと違ってパズル的なタスクがほぼ無く、最終的にロケットを飛ばすためにのんびり開発を進められるので、どなたでも楽しめる内容かと思います。
また、ロケットを火星に到達させるたびに世界遺産を超えるボーナスを得られるので、サンドボックスでじっくり遊びたい方にもおすすめ。
質、量ともに高い満足感を得られるDLCなので、まずはこれから買いましょう。
Going Viral / ゴーイングバイラル
パンデミック(というか567)がテーマ。
現実で我々が経験したロックダウンと感染症対策、ワクチン開発を疑似体験。
新たなゲームシステムが追加される久々のDLCで、導入すると感染症が発生し、流行するようになります。
感染症が発見されると、治療薬の開発までどのように凌ぐか判断を迫られます。
マスクの着用義務を発令、出入国の禁止などの水際作戦で被害を抑えるか、あるいは感染者が少ないうちに隔離し"強引"な手段を取る事も出来ます。
ロビィスティコと同じく難易度を上昇させるDLCですが、あちらと比べて感染症に対処するプロセスが面白く、既存のシステムが封印されるわけでもないので楽しさと納得感があります。
ただし既存のミッションで導入すると難易度が上がりすぎてしまうため、基本的にはサンドボックス向け。追加施設も感染症に関するものがほとんどです。
いつもより1つ少ない4ミッションのキャンペーンが付属。
567の影響が強い時期に製作されたためか、深刻なトーンで扱うことを避けたゆるめなノリ。
かつて病に倒れたウィンダム卿のせがれと兵器代わりにウイルスをまき散らして戦うシュールなストーリーが展開されます。
独自の面白さはありますが常時有効化してプレイする類のDLCではないため、テーマに興味のある方向けと言えます。
Tropican Shores / トロピカンショアーズ
水上利用がテーマ。
海や湾岸に設置できる施設の詰め合わせ。
ニューフロンティアと同じくらい大量の施設が追加され、かつ使い勝手も良いためこれがバニラになかったのが不思議だなという感覚になります。
強力な施設が揃っていた前作トロピコ5におけるWaterborneのようなインパクトはありませんが、とりあえずで導入してもプレイが楽しくなる良DLC。
残念ながらミッションは新要素のチュートリアル的なものがひとつだけなので、既存プレイヤーでサンドボックスを遊ばない方にとっては物足りないと思います。
ニューフロンティアと違ってゲームバランスに対する影響がマイルドであるため、どちらかと言えばトロピコ6を遊び尽くした方よりもこれから初プレイの方が導入して遊ぶとより楽しめるかなという感じのDLCです。
定価2,500円近いので値段に見合うかというと微妙なところですが、今後セールが行われたタイミングで買うならちょうど良いでしょう。
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