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どうせ、筋トレと断捨離で全部解決するんでしょ。

我ながら、流行りに流されているな、とは思うのだが、「この世の悩みは全て、筋トレと断捨離で解決するよ!」という風潮に抗えない。

健康になって、やる気にあふれて、自己肯定感があがって、仕事の効率もあがって、運気もアップするらしい。

すごい。やってみたい。

運動が体にもメンタルにもいいことは、ずっと前から知られていた。おそらく、私がこどもの頃から言われていたであろう。さらにダイエットブームもあり、そして今は痩せるだけでは満足出来ず、筋肉も求めるようになった。

筋トレはかなり根性がいる。寝不足の二日酔いではとてもできないし、規則正しい生活、筋肉に良い食生活、サボりたい自分との戦い、突き詰めていった先に、「あれ?なんか毎日快適なんですけど?」となることは、なんとなく想像できる。

断捨離のブームも長い。断捨離は一過性のブームではなく、テレビゲームのように世界中に定着していくんじゃないだろうか。

部屋がスッキリすれば気分がいいし、探し物がないから仕事の効率はあがるし、余計な買い物をしなくなるから節約になるし、家が片付いていると、気軽に「お茶でもいかが」と人を呼びたくなるし、その先には、「あれ?なんか毎日快適なんですけど?」となる。

筋トレと断捨離をしていない人が負け組で、してる人は勝ち組。乱暴にそんな言い方もできるような気がしてくる。

筋トレは、お金持ちのセレブがやっているイメージがあるけれど、本当はお金がなくても家でもできる。断捨離もお金がなくてもできる。

誰にでもできる、夢のような解決法なのだ。

ここが、この「全ての悩みは筋トレと断捨離で解決」の肝のようなカラクリのような気がする。

一見、誰にでも開かれた扉のように見えて、多くの人がここにたどり着かない。

筋トレと断捨離には、大いなる心の余裕と、時間の余裕と、精神と肉体の強靱さを必要とするからだ。

お金がなくて働きづめの人に、筋トレする元気は残っていない。精神的に余裕がない人に、あれもこれもいらないわ、と捨てられる潔さはない。判断力もない。

布団の中で屍一歩手前の人に「筋トレと断捨離をしたら、今の悩みが全部解決するよ!」と言っても、指一本動かすエネルギーがないのだ。

「痩せたいな~」と言い合いながらスイーツを食べる女子が揶揄された時代に10代を送った私は、「断捨離したいな~。筋トレもしたいな~」と寝っ転がったまま友達とラインする中年になった。

「筋トレと断捨離で全ての悩みは解決する」は、卵が先か鶏が先か、という話で、そもそも、元気いっぱいだったから筋トレも断捨離もできたんじゃないの?と思うのだ。

しかし、卵か鶏、どちらが先かわからないのであれば、いっそぐるっと逆転してみてはどうか。

屍をたたき起こして、今直面している問題は全て保留にして、筋トレと断捨離だけに集中する。腹筋がバキバキに割れて、部屋が無印良品のディスプレイみたいにスッキリしたとき、振り返ってみたら、あら不思議、全部が解決しているということはないだろうか?

もし、腹筋バキバキで無印良品のディスプレイの部屋に、何も問題が解決していない屍が転がっていた場合、そこで初めて「筋トレと断捨離で全部解決できるなんて、嘘じゃないかー!」と言う権利がある。

「断捨離したいな~筋トレしたいな~」と寝っ転がっている人(私)には、何も言う権利がない。

とても面白い実験だと思う。自分でやってみたい。腹筋バキバキで無印良品で問題解決ゼロで「嘘じゃないかー!」と言うパターンでもいいから、やってみたい。

そして、悔しいかな、私の周りで部屋が片付いている人と、筋トレが続いている人は、本当に、愚痴っぽくなかったり、調子が上向きだったり、いいことが起こったりしている。

これなんじゃないの?やっぱり、筋トレと断捨離が答えなんじゃないの?

今の子育てだけで、心身共にボロボロなのに、これからの反抗期はもっとキツいと噂で聞く。

やっぱり今からやるしかないんじゃないの?

なんとなく、深夜の通販番組に爛々と目を輝かせているだけのような気がするけど、やっぱりどう考えても、筋トレと断捨離に欠点が見つからない。やらない理由が見つからない。

問題はこの屍(私)を、どうやってたたき起こすか、なんだけども。

誰か。起こしてー。

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しじみ
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