妊娠中のおはなし
初めて息子がわたしのお腹を蹴った日のことを昨日のことのようにはっきりと思い出せる。
その日から、起きている時間のほとんどは、仕事中でも常にお腹を撫でていた。
もちろん寝るときは「おやすみ」朝は「おはよう」お昼前になったら「おなかすいたね、待っててね」はあたりまえ。
「寒いね」とか「暑いね」とか「喉渇いたね」とか、家に帰れば歌を歌って聞かせたり、湯船に入って「気持ちいいね、あったかいね」
とにかく自分のお腹に「誰か」がいることが、ほんとうに嬉しかった。
実家で里帰り出産の為、派遣先の職場を円満退社(出産休暇取得)し3週間は自宅で赤ちゃんグッズを揃えたりしながらのんびり過ごして、出産予定日の3週間ほど前には帰省した。
お茶を飲んだり、ごはんを食べている時も、テレビを見ている時も、お腹を撫でているわたしに母は何度も「なんでそんなにお腹なでてるわけ?」とか「張ってるの?」とか「そんなにお腹をなでる妊婦さん見たことない」とか本当に何度も言われた。
そのことを、なぜかさっき急に思い出してものすごくイヤな気持ちになったので記しておくことにした。
追記
物心ついてから、わたしは母に頭を撫でてもらったり、ギュッと抱きしめてもらった記憶がない。
(夜に私の部屋に入ってきて、寝たふりをしている私の布団をかけ直してくれて、頭をなでてくれたことは何回もあったけど)
つわりの酷かった母は、きっと私が自分のお腹にいる時も、なでる余裕がなかったのだと思う。
私は息子のことを1日何度も何度も抱きしめている。
「ママ、やめてよ〜」「やだよ〜」と言われるその日まで、続けるつもり。
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