映画「僕のワンダフル・ライフ」を観る
今日は何の日と聞かれれば、いい夫婦の日と答える。
そんな11月22日に
ネットから流れてきたのは、
Thanks Pets Day ということばだった。
ペットに感謝する日なんて、あったんだね。
映画「僕のワンダフル・ライフ」の主役は、もちろんワンコだ。
スクリーンから はみ出そうな勢いで、
愛くるしいワンコたちが次から次へと登場する。
乱暴な言い方だけど、
ワンコの魅力を知っている人は、それだけで
この作品を十分に楽しめる。
逆に、さほど犬に興味がない人にとっては
物足りない作品かもしれない。
「生きる意味とは?」
これが主人公ベイリー(←ワンコ)の
第一声だ。
アナ雪でオラフ役を務めた
ジョシュ・ギャット氏の声で
ワンコ目線な人間模様が語られる。
ベイリーは思慮深いワンコだった。
いや、ワンコはみんな思慮深い。(たぶん)
犬の輪廻転生ものがたりは、静かな犬語りで進んだ。
人間へ注がれる、まっすぐなペットの愛情を
感じたことがあるだろうか。
彼らは、来る日も来る日も
飼い主だけを見ている。
ベイリーもそうだった。
ワンコとしての生涯を真面目に生きていくうち、
彼は確信した。
「過去を悔やむのではなく、未来を憂うでもなく、
大切なのは今を楽しむこと」
動物の映画といえば
「どうせ、お涙ちょうだい的なアレでしょ」
と日ごろから、ちょっといじわるな
見方をしてしまう。
この日も、劇場でキリッと構えて鑑賞にのぞんだ。
そう簡単に泣くもんか。
しかし、真一文字に結んだ口からは
嗚咽が漏れ、タオルで顔を覆うことになる。
これはいけない。
肝心のスクリーンが見えないではないか。
われながら、ひくほど泣けた。
じぶんが一緒に暮らしていた
相棒を思い出したのだ。
10歳で「お空組」となった。
フレンチブルドッグのいろは。
あのまっすぐな瞳は、
ベイリーのそれと重なって見えた。
劇場で鑑賞しているお客さんのなかには、
明らかに
「あなたも愛犬とお別れしたんですね」
と声を掛けたくなるほど、号泣している人が
何人もいた。
その人たちと、同じところで声をあげて笑い、
同じところで涙をぬぐう。
映画が終わると、目は泣き腫らしていたものの
清々しい気持ちが残っていた。
この映画を観たら、
「うちのかわいこちゃん」に
いますぐ会いたくなる。
ひょっとしたら、いろはも
劇場で一緒に観ていたかもしれないな。
運命というものは不思議なもので。
映画を観た数日後、
つぎの家族になるワンコが決まった。
保護犬と暮らすため、ここ数ヶ月ほど
ずっと準備をしていたのだ。
大阪から神奈川へ面会に行ったり、
本当にまた相棒を看取る覚悟があるのか、
はげそうなくらい悩んだり。
今度のワンコは、ボストンテリア女子。
お互いの生涯がワンダフルになることを
願って、名前を「はなまる」に決めた。
お互いに、癒し癒され
今を楽しんでいこうと思う。
いつか自宅で、もう一度
はなまると一緒にこの映画を観てみたい。
ああ、そこには先代のいろはも一緒だよね。