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深夜旅人暗殺未遂事件。
皆さんは真夜中に見知らぬ人に
寝床に入られたことがあるだろか。
友人や家族なら然ることながら、
本当に知らない人に爆睡中に起こされると
まるで悪政をしいた古代中国の皇帝が暗殺者に襲われた時の様な気持ちになる。
とにかく、それくらい驚く。
そして、私の場合はそれが木曽山脈に近づく岐阜県・中津川の公園であった。
自転車で北海道を一周する為に、地元の滋賀県から北海道まで自転車をこいでいる旅路の途中にその公園はあった。
初期設定がカオスで申し訳ない。詳細は今後のNoteで綴りたい。
働く代わりに、日中ひたすら自転車をこぎ、
夜は安宿(3000円前後のゲストハウス)か、キャンプ泊か、公園で野宿をしていた。
スタートの滋賀県から名古屋、岐阜を経て長野に差しかかろうとしていた。
岐阜から長野県に入るには、どうしても大きな峠を越えなければいけない。この自転車旅で数々の峠を越えることになるが、この時は初めての峠越えだったので、結構気を揉んで準備した。
出来るだけ山の麓に近い場所に前泊して、早朝に出発、日が暮れる迄には必ず峠を超えられる様に。
そこで選ばれたのが岐阜県・中津川にある男根と女根をまつり、料理の神様を崇めたてまつり、まつった公園だった。
なんと奇妙で珍しい組み合わせの神を祀った公園だといぶかしい気持ちにはなったが、他に宿も無く、テントを張るにも夜遅かったのでここに決めた。
なんと言っても神様がいるのだから野宿しても悪い目には合わないだろうと。
そんな期待に反して、深夜、おそらく0時くらいに寝袋に入ったぼくは何者かにこづかれる。
イノシシやクマといった獣ではなく。。
人型をしたシルエット。
正直殺られると思った。
こんな神々がいる公園なのに、死ぬのかって思った。
いや、逆に神々がいる素晴らしき地を、汗垢にまみれた自転車旅人が汚してしまったのか。
いや、それにしても滋賀出発で、北海道を目指し、北海道を一周しようと考えているのに滋賀⇒岐阜でオワルって情けなすぎるな。。
といったザ・走馬灯がよぎる間もなく、
シンプルに驚いて跳ね起きた(寝袋にくるまれてるから跳ね起きもできず、棒状態。)
目が覚めて、数秒たっても人型のシルエットは黒いままだった。
よく見ると日本人じゃなくて、アジア系の海外の人だった(肌の色が暗闇と同化している)。
彼はコンビニの袋から、ファミマのこだわりカレーを取り出し、ぼくに突きつける。
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彼は仕事帰りのアジア人のようで、ぼくを可哀想な人だと思って、何かしてあげたいという気持ちからカレーをくれたみたいだった。
(寝起き過ぎて、しっかり彼と話せなかった)
ほかにも数枚残っている「超立体型マスク」セットや飲みかけのコーラと千円札をくれた。
夜中の公園で起こされて、ありがとうしか言えないテンパったぼく以上に
彼の方がテンパっていたようだ。
今振り返ると、夜中の公園で眠る謎の旅人を心配し、テンパりながらもカレーをくれた彼の優しさはすごいと思う。
この公園は、確かに神々が宿っている特別な場所かもしれないと納得した。
ちなみに、翌日は1200m級の南木曽の山越えをして長野入りするのだが、食料不足で山頂付近で動けなくなりかけ(ハンガーノックなりかけ)る。
彼のくれた飲みかけのコーラで最低限のカロリーを摂取し無事長野入りを果たした。