BILLY ELLIOT 2024(20)終演後も拍手鳴り止まず!これはもしかしてカムイファンクラブ?
一昨日の公演はカムイビリーに絞ってから、16回目の観劇になります。
今回の客入りは2階席、3階席はバルコニーを除いて満席で、そのほとんどが女子高生でした。まあ、予想はしていましたが、開演前はとてもうるさくて、私は最前列の席からその姿を観ながらほくそ笑んでいました。それは彼女たちの拍手や声援でこの公演を盛り上げて欲しかったからです。カムイビリーにとってはこの日が東京公演の千秋楽なのです。
今回はハプニングはありませんでした。強いて言えば、「M-11 Swan Lake Pas de Deux」でドライアイスの煙が客席まで押し寄せて来たことくらいです。でも、不快ではありませんでした。むしろ、舞台と同じ環境にいることが誇らしくて私も宙を舞っていました。
今回の公演で注目すべき点は終演後の鳴り止まぬ拍手の嵐です。私は明日の東京公演の千秋楽でクワトロのビリーがカーテンコールで登壇すると踏んでいたのでそそくさと席を立ちましたが、会場の出入口にさしかかつても拍手は続いていました。それもそのはずです。ノーミスなのです。その出来は満足度100%、いやいやそんなもんじゃない120%!
この快進撃は、グローブで鍵をキャッチする技の成功に気を良くしたことから始まったように思います。昨日、観劇した東京公演千秋楽のエイトビリーは「クソ!」と言って鍵を咥えました。この前者の技はクワトロにとって鬼門なのだと思います。
カムイビリーとエイトビリーの大きな違いは間の取り方です。「M-13 Electricity」の場面で審査員がジャッキーに「何か質問はありますか?」と言った時、ビリーは父ちゃんに耳打ちします。その時間がエイトビリーは7秒、カムイビリーは15秒以上です。この静寂にエイトビリーは耐えられないのでどうしてもテンポが速くなります。これは年齢差に依るものなのか性格に依るものなのか分かりませんが、確かに言えることは静寂に耐えらるカムイビリーの方が精神的に成熟しているということです。
こうした下地があると表現の幅が広がります。今回の公演で印象深かったシーンを印象深い順に四つ紹介します。
一つ目は、「M-13 Electricity」のビリーの父親役である益岡徹さんの様子です。彼はカムイビリーが椅子の上で側転する時、アクシデントに対応できるような態勢をとっていました。そして笑顔でカムイビリーのダンスを観ながらフィニッシュが決まった時、涙を流していました。それは俳優としてではなくビリーの父親の涙そのものだったと思います。
同じ場面の歌唱の時、
「耳の奥で音楽が鳴り出して
でもそれは聴こえない 聴こえないけど 僕を動かす…」
の箇所でカムイビリーは審査員に力強くバレエ愛を訴えかけます。その時、最前列にいた私は審査員になりきっていて目を通じて合格のサインを出しました。
歌唱が終わって音楽が高鳴りいよいよフィニッシュに入ります。
微動だにしないフィニッシュに長い長い大拍手と「M-3 Solidarity」のフィニッシュで発した女子高生の「凄い!」の一言にカムイビリーの進化を確信しました。
余談ですが、クラシックでは指揮者のタクトが下ろされるまで拍手をしてはいけないというルールがあります。ミュージカルは真逆で演者が動き出したら拍手をやめなければなりません。
二つ目はサンタマイケルのはっちゃけ振りです。
クリスマス会の後の場面でサンタマイケルはビリーにバレエを踊ってと女の子の声で催促します。マイケルになりきる覚悟があってこそできるパフォーマンスです。彼にも大きな拍手を送りたいと思います。
三つ目はレターの音楽性です。宝塚出身のお二人のデユエツトは何度も聴きたくなる美しさで心が満たされます。そこにカムイビリー美声が加わることで芸術の域に達します。人は芸術なしでは生きていけません。めっちゃ特別な才能に触れる時、人は高揚し生き甲斐を感じるのです。私の隣のご婦人はマスクを外しハンカチーフで何度も涙をぬぐっていました。私は嗚咽を堪えるのが精一杯で涙は流れるままにしておきました。
四つ目は会場の一体感です。この日のお客様はリピーターがほとんどで俳優さんのパフォーマンスに合わせて拍手したり歓声を上げたりしていました。こういう空間に身を置くと安心して観劇に集中することができます。レターの涙の後はブギーの楽しいスイングを堪能しました。もう一度この一体感を堪能したいという思いが募り大阪行きを決めました。今しか味わえないこの時をチャンスを大事にしたいと思うから!