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BILLY ELLIOT 2024(15)初めてのソワレ

台風7号襲来時の振替対応のことを覚えていらっしゃいますか?同じことが台風10号でも起こりそうになったので、私はそれに備えて公演会場近くのホテルを予約しソワレにも対応できるようにしました。でもそれは杞憂に終わりました。すぐに10月6日のホテル予約をキャンセルしても良かったのですが、キャンセル料が発生するのはチェックインの15時からだったので予約をそのまま放置していました。

東京公演の千秋楽でソワレのチケットは早々と取りました。ホテルの予約も完了しています。何故ならカーテンコールでビリー役の四人が登壇すると踏んでいるからです。この公演のビリー役は石黒瑛土(エイト)さんです。ある日、そのことがふとよぎって春山嘉夢一(カムイ)さんのソワレも観ておきたいという欲求に駆られ急いで10月6日のチケットを申し込んだら10月4日と同じ列の中央より少し左寄りの席が取れました。
何とその席は「M-13 Electricity」のフィニッシュの真正面でした。この日も拍手が鳴り止まず、大いに感動しました。この日は次の場面では息が上がっていませんでした。前回の息切れは疲れが原因だったかもしれません。

ホテルの予約をキャンセルしなかったお陰でお安く泊まることができましたし、ソワレのいい景色も観られて幸いでした。

ソワレの公演がいつもそうかは分かりませんが、マチネと違って1階席は満席に近く、2階席にもお客様が多数いました。しかも年齢層がバラエティーに富んでいてマチネしか知らない私にとっては感動的な光景でした。この日は日曜日とあって会場の外も賑わっていました。
『ビリー・エリオット』300回上演記念特別ペアチケットのお得感が集客数を増やす一因になったことは間違いないと思いますが、ソワレはマチネよりも自由時間を持つ人が圧倒的に増えるということに尽きると思います。

この日の感動的な公演でいくつか気付いたことがあります。

その一つ目は訳詞です。プログラムによると髙橋亜子さんが担当しています。彼女はエルトン・ジョンの曲にマッチするように日本語を吟味して選び魅力的な歌詞に仕上げています。その感性や語彙力には舌を巻かざるを得ません。
カムイビリーの「父ちゃん」や「母ちゃん」の響きには郷愁をそそられます。「お父さん」や「お母さん」ではしっくりきません。ここでも訳詞の素晴らしさが如実に示されていると思います。

二つ目はカムイビリーがビリーエリオットになりつつあるということです。
鍵をキャッチする場面で失敗したので前と同じように鍵を咥えましたが、その前に彼は「クソ」っとアドリブで台詞を入れました。
「クソ」とか「こんちきしょう」という言葉は普段はほとんど使いませんが、ビリーの世界に入るにはこれらの言葉が必須のアイテムとなります。劇中でそれを自然に使えるようになっているところがカムイビリーの進化の証と言えるかもしれません。

三つ目は照明に関することです。カムイビリーに当てられた薄暗い照明が明るい照明にいきなり変わる時、彼は華やぎます。そう、舞台映えするのです。それは彼の笑顔にも活かされています。

舞台映えというとマイケル役の髙橋維束(イツカ)さんも該当します。クリスマス会あとの大きく開いた開脚は盛大な拍手に包まれました。それにマイケルがゲットした大事な人形をもてあそぶカムイビリーのマイケルを慌てさせるに足る工夫した演技も秀逸でした。
残念ながらイツカマイケルとの共演は東京公演ではこの日が最後となります。ホテルを予約する時はマイケル役のことは眼中にありませんでした。本当にラッキーでした。

四つ目はカムイビリーの体幹です。中村海琉さんの大阪公演では福岡在住の姪っ子と一緒に観劇しました。彼女は元ダンサーでカイルビリーは体幹が強い子だと褒めていました。
オールダー・ビリーやブレイスウェイトと踊るカムイビリーのバレエは真っ直ぐな線を描いており姪っ子が観たらきっと褒めると思います。

カムイビリーの「BILLY ELLIOT」を観られるのは後5回。ソワレは予定になかったけれども観ておいて本当に良かったと思いました。