沈黙がもたらすもの
母は沈黙が上手だった。僕がおねだりすると、すぐ口を閉じた。そこに大人の事情があることなど幼い僕に分かるはずがない。だから、必死に考える。どうしたら買って貰えるか?
そんな話を幼稚園で話したら、早速、実践したお母さんがいた。
娘さんと一緒に靴屋さんに行った時、娘さんが靴を二足持って来たそうだ。それを見て、口を開こうとした時、
あ、「沈黙」!
何も言わないお母さん、いつもと違うお母さんに戸惑っていた娘さんは、やをら、こう言ったそうです。
「もったいないから一つだよね。」
お母さんは、
「偉いね。そうだよ。」
怒られて手にした靴と褒められて手にした靴の価値の差は言わずもがな。
沈黙がもたらすもの?
それは愛の結果なのだ!
(See you)