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『おちょやん』97 鶴亀帝国の皇帝夫妻
昭和24年(1949年)、鶴亀新喜劇は一年目にして、座長夫妻に亀裂が走っております。
一平、許されると思うなよ
「はぁ?」
浮気宣言に千代は腕組みしたまま、ドスの効いた声でこう言い切る。土下座した一平は、街で酒飲んでそのままだのなんだの言い訳にもならんことを言う。
援軍も強い。
一回だからええというわけやないと天晴。寛治はなんのために殴られたのかと言う。
それでも千代が謝っても許さへんと言い切ると、周囲は流石になだめる。ここで宥めている天晴を演じているのが渋谷天笑さんだし、三代目渋谷天外さんも出ていたわけでして。先輩の醜聞を後輩や実子が演じるという、半端ないところへ突っ込んでおります。
松竹はほんまに肝っ玉が半端ないで。
千代は水を飲めと言われ、コップで日本酒をクイッと飲み干して、魔がさしたとかごちゃごちゃ言うとる一平につかみかかります。朝ドラヒロインがコップ酒、ええもん見せてもろたわ。結構この年代の女性もそういうことはしたらしい。うちの祖母も、夫とその友人やら若い衆が飲み残した酒を片付けながらくいくいっと。
背景で倒れとるテルヲの写真がまた。テルヲの次は一平か。まあでも昭和あるあるやしな。
みつえとシズの加勢
そして千代は、岡福へ向かいます。話を聞いた宗助が困惑する中、みつえは一平をどつきに行くと立ち上がる。
「みつえ!」
シズは止めるのかと思ったら、
「うちも行きます!」
加勢しおったで!
この二人からすれば、親友なり娘が裏切られたわけでして。やっちまいな! かっこいいことに、黙っていたら女が廃ると。千代はずっとここにいてもいいと。離縁しろと。強いわ。
問題は稽古場ですな。
ギスギスする中、天晴が仕切るように促される。いやいやいや……晴れへんやろ。灯子は禁句で役名で言い換えられるわ。後釜を持ちかけられた瞬間、香里が「いやや」と即答するわ。かわいい後輩が“あんな女”に堕落しました。散々世話になっておいて裏切る。面目丸潰れやな。
灯子の役は千兵衛がやることになりそうでも、肝心の千代と一平がギスギスしております。夫婦仲悪化したらあかんわな。
そして稽古がギスギスギスギス……役を超えて喧嘩の続きに。稽古を終えると一ヶ月も持たへんと、香里以外の座員は毒を浴びたようになっております。千代はキッパリと去り、一平はしなしなとしているだけ。
大山社長、最期の挨拶
千代が岡福を手伝っていると、客があるとみつえが言ってきます。一平かと思い塩でも撒いといてと返すと、大山社長でした。
体が悪いにもかかわらず、酒を飲む大山。千代が気遣うと、着付け薬と返してきますが。
用件は一平とのことかと聞く。社長はごまかそうとしますが、千代はほげた達者ですので。
お礼を言う相手に、罪悪感があるのか、ごまかそうとしているんじゃないかとちくり。
男は酒や女に逃げると、またちくり。
千代は知ってる。新作が書けなくなったからこその再演であると。大山は打つ手がもうない。かわなんというのは心底そう思ってのことでしょう。
そしてこれが、千代、そして外にいる一平にとっても最後となる社長の姿だったとか。太っ腹やなぁ、松竹は。こんな先輩のあかんところまで描かせて。でも、社長や熊田への敬愛は感じましたし、これでええとは思う。
「道頓堀の芝居の火、消したらあかんでぇ。頼むでぇ、二代目!」
そう声を振り絞る姿は素晴らしいものがありました。
おう、せやな。でもそんなこと千代には関係あらへんのかもしれんよ。
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『週刊おちょやん武者震レビュー』
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