森博嗣、スカイ・クロラシリーズ考察(1)はじめに
スカイ・クロラシリーズといえば、数ある(2015年時点で280冊)森博嗣小説の中でも特別かつ杞憂な作品なのである。それは森氏が自身の著書で下記のように述べているからだ。
“これ以上のものは書けないだろうという意味で、最高傑作だと確信した。”
引用:森博嗣(2015年)『作家の収入』幻冬舎新書
そう。スカイ・クロラシリーズは作者本人が認める最高傑作なのだ!
ただ語弊を避けるため、上記は下記文章からの抜粋であることは言っておこう。
“『スカイ・クロラ』を書いたときには、自分ではこれが限界だと感じた。つまりこれ以上のものは書けないだろうという意味で、最高傑作だと確信した。”
当時はそう思っていた、ということである。つまりこのスカイ・クロラシリーズ刊行後にも、もしかしたら森氏の中で最高傑作と思える作品は生まれているかもしれない。
話が逸れてしまったが、森氏本人が気に入っている作品を僕自身も一番好きだということが嬉しいのである。そういうモチベーションもあって、今回スカイ・クロラシリーズの謎解きに挑んだ。
素晴らしい作品は、時と共により一層深みを増す。
シリーズ最後となるスカイ・イクリプスが発行されたのは2009年のこと。干支が一巡するほど時間は経過したが、僕にとってこの作品は心の拠り所であり、目指すところなのだ。